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自分の事務所でスキャナ保存をするかしばらく検討していましたが、最終的にやらないことに決めました。スキャナ保存の向き・不向きについて整理しておきたいと思います。

スキャナ保存、最終的にやらないことにしました

「これからはペーパーレスだ!デジタル化だ!」ということで、自分の事務所でもスキャナ保存をやってみようと検討していましたが、最終的にスキャナ保存はやらないことにしました。

いろいろと検討した上で、実際に数日間運用してみたのですが、やってみて感じたのは

「作業量に見合ったメリットがない」

ということ。

運用としては

  • スキャンデータはマネーフォワード確定申告に保存
  • レシートの撮影にはマネーフォワード確定申告スマホアプリを使用
  • 仕訳登録時にレシート等をアプリで撮影・添付

という流れです。

やってみたものの、普段パソコンで経理処理をしているのに、スキャナ保存のためにわざわざスマホに持ちかえて処理するのがまずもってメンドクサイ。

※パソコンでスキャナ保存をせずスマホアプリを使う理由については、以下の記事をご参照ください。

レシートを受け取ったらすぐにスキャンして、マネーフォワードクラウドBoxに保存することも考えましたが、Boxはスキャナ保存にまだ対応していません。

スキャナ保存のためにわざわざ作業を増やすような運用になってしまい

「こんなやり方では続けられない」

ということで断念しました。

もともと電子データとして受け取る請求書等が多く、紙のレシートがそれほど多くないことからメリットが少ないというのもありますが

  • 電子取引:紙に印刷する「代わりに」パソコン内などにデータを保存
  • スキャナ保存:データ保存するためにスキャンするという作業が「追加

ということで、スキャナ保存は電子取引データの保存と違って、どうしても作業が増えてしまいます。

義務ではないのに作業が増えるのもどうかと考え

「ムリにやらなくてもいいかな」

という結論になりました。

「マネーフォワードだからうまくいかないんじゃないの?」という意見があるかもしれませんが、freeeであっても「スキャンして」ファイルボックスに保存するという作業は増えますので、ソフトやサービスの問題ではありません。

私の場合は、実際に試してみた結果

紙で保存するための作業量 < スキャナ保存するための作業量

となったため、やらないことにしたというわけです。

最適解は事業者ごとに異なる

今回スキャナ保存を断念しましたが、すべての事業者に当てはまるとは思っていません。

私のような零細事業者で、もともと紙の請求書・レシートが少ないとあまりメリットがないということです。

例えば

  • 普段から紙の請求書や領収書が多く、経理の机上は紙だらけで保管場所にも苦労している
  • 請求書の受取窓口となる担当者が複数いるため、電子取引と紙の請求書で業務フローを分けると担当者が混乱する
  • テレワークを導入したいが、取引先が請求書のデータ化に協力してくれない

といった事情がある場合には、スキャナ保存を検討する価値は十分にあるはずです。

事業者ごとに抱える課題・経理処理のフロー・優先して解決すべきことはそれぞれ異なります。

法律上の義務である電子取引保存のみに対応した方がよい事業者もあれば、スキャナ保存まで含めた検討をして完全ペーパーレス化を目指した方がよい事業者もあります。

あくまでスキャナ保存は事業者が使ってもいい制度のひとつに過ぎません。

他社がどのように対応しているかではなく、自社の経理処理が最もスムーズになる方法を検討すべきでしょう。

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最終的には紙で受け取らない方法を考えるべき

スキャナ保存をやるべきかどうかは、それぞれの事業者の事情により異なると書きましたが、将来的にはやはり

「紙で受け取る請求書や領収書を減らす」

という方向に持っていくべきでしょう。

とはいえ、これは自社だけでなんとかなるものでありません。

取引先の協力は当然必要ですし、デジタルインボイスといったデータで請求書をやりとりするためのインフラが整わないと進まない面もあります。

店頭でモノを購入した際に受け取るレシートがデータに変わるなんて、いつになるやらといった感じです。

(以前、電子レシートについて取り上げたことがありましたが、その後普及が進んだという話も聞きません)

「紙を完全になくす」という状況にはまだまだ時間がかかりそうですが、世の中の仕組みは少しずつ変わっていきます。

紙のやりとりをせずに済むような世の中に変わったときに取り残されないよう、今から少しずつ準備を進めておきたいものです。

投稿者

加藤 博己
加藤 博己加藤博己税理士事務所 所長
大学卒業後、大手上場企業に入社し約19年間経理業務および経営管理業務を幅広く担当。
31歳のとき英国子会社に出向。その後チェコ・日本国内での勤務を経て、38歳のときスロバキア子会社に取締役として出向。30代のうち7年間を欧州で勤務。

40歳のときに会社を退職。その後3年で税理士資格を取得。

中小企業の経営者と数多く接する中で、業務効率化の支援だけではなく、経営者を総合的にサポートするコンサルティング能力の必要性を痛感し、「コンサル型税理士」(経営支援責任者)のスキルを習得。

現在はこのスキルを活かして、売上アップ支援から個人的な悩みの相談まで、幅広く経営者のお困りごとの解決に尽力中。

さらに、商工会議所での講師やWeb媒体を中心とした執筆活動など、税理士業務以外でも幅広く活動を行っている。
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