一時より少し落ち着いたとはいえ、生成AIが話題に上ることはまだ多いものです。ただ本当に活用できているかといえば、中々難しいものがあるのではないでしょうか。今回は私が現状でどのような使い方をしているかについて整理しておきます。

生成AIで税理士の仕事ってそこまで変わるの?

先日、AIやITについての研修を受けましたが、いろいろと参考になる考え方や情報がたくさんありました。

生成AIについては、ブログで何度か取り上げていますが、もともと

「これで税理士業務が劇的に変わることはなさそう」

というどちらかというと否定的なニュアンスで書いていることが多いです。

ただ、話を聞いた上で自分の現状の使い方を改めて見直してみると、以前より少しは活用するようになってきたかなと感じます。

そこで自分のアタマの整理も含めて、今どんな使い方をしているのか、一度整理しておきます。

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現状での生成AIの使い方

現在、主に使っているツールとしては

  1. ChatGPT
  2. Perplexity
  3. Adobe Firefly

の3つです。

それぞれの現時点での用途を確認しておきます。

ChatGPT

現状での使い途としては

  • 文章(メール返信など)の添削
  • プログラミングのサポート(コーディング)
  • 英訳・和訳

といったものが挙げられます。

メールの返信などで長くなりそうな文章については、返信したいポイントを伝えて、文面を考えてもらうといった使い方をしています。

従来は

文章を自分で考える → 書いた文章を自分でチェックする

という流れでしたので、特に文章を考えたり、推敲するところでどうしても時間がかかっていました。

下書きを修正する方が、早くかつ複数の視点でチェックした文章を作成できますので、時間短縮だけでなく文章の精度も上がります。

次に、プログラミングについては本当にラクになりました。自分で最初からコードを書こうとすると1~2時間なんて一瞬で過ぎてしまいます。

指示を与えれば、コードを書いてくれて、うまくいかない場合も、エラーメッセージを伝えて再度見直してもらえますので、この作業については大きく効率化できます。

ただ、RPAのフローの作成にはこのやり方を使えませんので、あくまでExcelのマクロやGASといったものが対象です。

最後に、ときどき外国人のお客さまから問い合わせがありますが、英語の長文が来たりすると読む気がおきません・・・

こうしたケースでも、ChatGPTに日本語に訳してもらって大まかな意味を捉えてから読むと、かなり早く読むことができます。

和訳してもらったものを読んでオシマイ、でもいいのかもしれませんが、100%の精度ではないので、最後は自分で読むことにしています。

返信する際も、最初から自分で英文を書くよりも、ポイントを伝えて返信文のドラフトを書いてもらった方が、私自身が書くよりもしっかりしたものを準備してくれます。

Perplexity

ChatGPTは今のところ最新の情報に基づいて回答してくれませんので、この点を補完するものとしてPerplexityを使っています。

質問をするとネット上の最新情報も踏まえて回答してくれますし、さらに参照したサイトも表示してくれます。

そのため、最近はGoogle検索ではなく、こちらでネット検索をする機会が増えました。

Google検索では、表示された検索結果から必要と思われる情報を自分でひとつずつ確認しなければなりませんが、Perplexityでは要約した内容を表示してくれますし、その内容の元となったサイトも番号で表示してわかるようになっています。

Perplexityが回答した状態、矢印の部分で参照したサイトがわかる

Google検索を使って調べ物をすると意外と時間がかかるものですが、Perplexityを使うとかなり時間が短縮できます。

Adobe Firefly

これはブログのトップ画像を作成するときに使っています。

以前は無料の画像サイトでブログ記事の内容に合いそうなものを探していましたが、内容にぴったりのものが見つかるはずもなく、意外と時間がかかっていました。

今はブログ記事を書いた上で

「こんな感じの画像をつくって」

と指示することで、(ある程度)イメージに近いものがつくれるようになってきました。

これも指示の仕方でできあがりが変わってきますので、トレーニングや工夫は必要ですが、時間短縮につながっています。

ちなみに今回のトップ画像は

「生成AIを業務に活用しているイメージ図、明るい未来のイメージ」

と指示してつくっています。

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使い続けることで道具が手になじむ感覚がうまれる

ちなみに今回取り上げたサービスについて、現在課金しているのはAdobe Fireflyだけです。

これもAcrobatなど他のツールを使うためにAdobe Creative Cloudというサービスを使っていて、その中に有料版が含まれているだけなんですが。

私なりの現状での使い方をまとめてみましたが、これを見て

「大したことないな」
「税理士業務、ほとんど関係ないじゃん」

と思った方も多いかもしれません。

ただ、業務の中の細かい作業がそれなりに時間短縮されていますので、自分では気付かないうちに効率化につながっている気がします。

他にも「Claudeが便利」といった話を聞いたりもしますが、ツールを増やしすぎるとどれを使っていいかわからなくなりますので、ChatGPTで十分と感じる間は無理に広げる必要はないと考えています。

今回改めて現在の用途を整理してみましたが、少しずつ使う範囲が広がっていることに気付きました。

みなさんも

「この新しい道具って使いにくい、これなら前のやり方の方が早い」

と最初感じていたものの

「使い慣れてくると、意外と便利かも」

といった経験があるのではないでしょうか。

生成AIもあくまで「ツール」(道具)ですから、やはり慣れるための時間は必要です。

時間をかけて使い続けることで「手になじむ感覚」がうまれて、少しずつ使えるようになる。そのような感じで使ってみれば、いいのではないでしょうか。

投稿者

加藤 博己
加藤 博己加藤博己税理士事務所 所長
大学卒業後、大手上場企業に入社し約19年間経理業務および経営管理業務を幅広く担当。
31歳のとき英国子会社に出向。その後チェコ・日本国内での勤務を経て、38歳のときスロバキア子会社に取締役として出向。30代のうち7年間を欧州で勤務。

40歳のときに会社を退職。その後3年で税理士資格を取得。

中小企業の経営者と数多く接する中で、業務効率化の支援だけではなく、経営者を総合的にサポートするコンサルティング能力の必要性を痛感し、「コンサル型税理士」(経営支援責任者)のスキルを習得。

現在はこのスキルを活かして、売上アップ支援から個人的な悩みの相談まで、幅広く経営者のお困りごとの解決に尽力中。

さらに、商工会議所での講師やWeb媒体を中心とした執筆活動など、税理士業務以外でも幅広く活動を行っている。
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