世の中には「インボイス」と「電子帳簿保存法」が密接に関連したものと誤解されている方もいらっしゃるようです。今回はこの2つの関係等について確認をしておきましょう。

「インボイスのセミナーだと思ってきました」

セミナー講師をしていると「電子帳簿保存法」がテーマの時に

「インボイスのことだと思ってきました」

といわれることがまれにあります。

インボイス制度は消費税に関する話、電子帳簿保存法は帳簿などのデータ保存に関する内容ですから全く別物です。

「全然別のものでほとんど関係ないんですよ」という話をすると驚く方もいたりするわけです。

なぜこのような誤解が生まれるかというと、やはりテレビやネット・SNSでの広告などが影響しているようです。

最近は会計ソフトや経費精算サービスなどの広告の最後に

「インボイス・電子帳簿保存法にも対応」

と銘打っているものが多くあります。

2つの項目を並べてアピールするため、この2つが密接に関連するものだと勘違いしてしまうケースがあるようです。

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広告に惑わされず正しい知識を得ることが大事

インボイスと電子帳簿保存法について関連している点としては

  1. 受け取った電子インボイスを保存する場合
  2. 発行した電子インボイスを保存する場合

の2点くらいしかありません。

インボイスをデータで受け取った場合(これを「電子インボイス」といいます)に、データのまま保存する必要がありますが、この際に電子帳簿保存法の電子取引を保存するのと同じルールで保存しなければなりません。

また自分がデータで発行したインボイスをデータのまま保存したい場合は、電子書類のルールに従って保存する必要があります。

受け取った電子インボイスをデータのまま保存するのは「義務」である一方で、自分がデータで作成したインボイスをデータのまま保存するかどうかは任意です。

そのため主に注意する必要があるのは1だけです。

(注)データで作成したインボイスを紙ではなくデータのまま取引先に送付した場合はデータの保存義務があります。

実際には、消費税法上は1についても紙で保存していても問題ないというややこしい話もありますが、混乱するだけですから

「受け取ったデータはデータのまま保存する」

と覚えておきましょう。

※この2つの関連については以前記事にまとめていますので、詳細を知りたい方はご参照ください。

ここまでインボイスと電子帳簿保存法の関係について説明したのですが、実を言うともう一つどちらにも共通する重要なポイントがあります。

それは

「どちらも経理にまつわる作業を増やしたり、処理を煩雑にするもの」

という点です。

インボイスについては登録番号をチェックしたり、受け取った請求書がインボイスかどうか判定したり、会計ソフトに入力する税区分が増えたりといった形で経理にまつわる仕事を増やします。

電子帳簿保存法については、電子取引に該当するデータについては今まで紙に出力して保存しておけば何も問題はなかったのですが、データも必ず保存しておかなければなりません。

インボイスについては簡易課税を使えない場合には、手作業で対応するのはかなり困難な状況になりますし、電子取引データの保存についても原則的なルールを守って保存しようとすると専用ソフトなどの力を借りざるを得ません。

こうした状況をビジネスチャンスと捉えた事業者から様々なサービスが提供されて

「インボイス・電子帳簿保存法に対応してます」

と宣伝されているのが現在の状況です。

だからといって例えば毎月数件程度のデータしか受け取っていない事業者までこうしたソフトなどを導入する必要はありません。

事業者の規模や状況によって、どのような対応が必要となるかは変わってきます。

だからこそ正しい知識を得て、自分の事業にとって何が必要なのかきちんと判断することが重要です。

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「知らないこと」を放置しない

「最近広告でよくみかけるから、ウチも導入しないといけないのでは?」と感じているのにそのままにしていることはありませんでしょうか。

ご自身に全く関係のないことについて知らないまま放置するのは一向に構いませんが

「もしかしたら何か影響があるのかも」

と感じたまま放置するのはよくありません。

「聞くは一時の恥聞かぬは一生の恥」という諺もあるとおり「知らない」を放置するとその影響は長期にわたります。

コストの面でも「聞くは一時の支払い、聞かぬは一生の損失」となりかねません。

「テレビやネットで最近よく見かけるので心配なんだけど」ということがあれば、まずは一度専門家に相談してみませんか?

投稿者

加藤 博己
加藤 博己加藤博己税理士事務所 所長
大学卒業後、大手上場企業に入社し約19年間経理業務および経営管理業務を幅広く担当。
31歳のとき英国子会社に出向。その後チェコ・日本国内での勤務を経て、38歳のときスロバキア子会社に取締役として出向。30代のうち7年間を欧州で勤務。

40歳のときに会社を退職。その後3年で税理士資格を取得。

中小企業の経営者と数多く接する中で、業務効率化の支援だけではなく、経営者を総合的にサポートするコンサルティング能力の必要性を痛感し、「コンサル型税理士」(経営支援責任者)のスキルを習得。

現在はこのスキルを活かして、売上アップ支援から個人的な悩みの相談まで、幅広く経営者のお困りごとの解決に尽力中。

さらに、商工会議所での講師やWeb媒体を中心とした執筆活動など、税理士業務以外でも幅広く活動を行っている。
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