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前々回に、経理を早くするためのテクニックとして、クラウド会計の自動仕訳の活用について説明しましたが、早く終わらせるためには、まず最初に経理の仕組みをきちんと整えることが大切です。

経理処理に手をつけられないと悩んでいませんか?

経理について悩んでいる中小企業は多いと思います。

経理専任の方がいれば良いですが、中小企業だとなかなかそこまで人を準備できないケースも多いでしょう。

「ついつい経理の作業が後回しになってしまい、仕事を溜め込んでしまって、そのボリュームをみてさらに経理をやる気がなくなってしまう。」

とか

「頑張って経理処理をしているんだけど、なかなか終わらず、残業が一向に減らない。」

といった状況がよくあるのではないでしょうか。

こうした状況は、「私が経理の専門家じゃないから起こるんだ」というわけではありません。

たとえば税理士だって溜め込んでしまうと経理に手をつけるのが嫌になります。

税理士自身の確定申告が一番最後になってしまう、というのは税理士業界でよくいわれる話です。

早く終わらせるためのポイントは、「スケジュール」「事前の準備」と「毎日コツコツ」

私は長い間上場企業の事業部で経理をしていましたが、当時毎月の月次決算は月初の3日間で終わらせなければなりませんでした。

「3日もあればそりゃ終わるでしょう」と思われるかもしれませんが、上場企業のため監査法人の監査に耐えうるレベルでの経理処理が必要でしたので、それほど余裕はありませんでした。

3日間で月次決算を終わらせるために、とにかくいわれていたのは、

「事前準備をきちんとしておくこと」

です。

例えば、

  • 売上のデータについては、月初の1日目に確定できるような仕組みを作る
  • 支払いの請求書については、取引先に締切日をきちんと伝えて、それを守ってもらう。締切が過ぎても来なかったらすぐに督促をする。
  • 社内の経費精算については、締切日を徹底して各従業員にそれを守ってもらう(月次であれば、締切後の精算は受け付けないなど)

といった具合です。

とにかく月末までにどれだけ準備をしておけるかが、月次決算を早く終わらせるためのポイントでした。


これをそのまま中小企業に当てはめることはできませんが、ここから経理を早く終わらせるためのヒントを得ることはできます。

それは、「経理の仕組みを整える」ということです。

考え方としては、

その月の経理を早く終わらせようとすると、事前の準備が欠かせない
事前の準備をするには、いつまでに何をすべきか明確にする必要がある
いつ・何をするのか明確にするためには、スケジュールが必要
スケジュールと事前準備が明確になれば、日々の業務は分散する
日々の業務が分散すれば、経理を毎日少しずつ進められる状況になる

という流れです。

この考え方に従って、「スケジュール」を決めて、「事前の準備」を明確にして「日々コツコツ」経理をするということが、経理を早く終わらせるためのポイントとなります。

実際には、そんな経理の仕組みを整えるところまで、とてもやっている時間はない、という方も多いかもしれません。

そんな場合には、仕組みを整えるところまでは、外部の専門家の力を借りるのも一つの手です。

専門家に支払うコストと、その後の経理にかかる時間の節約。その点を比較してメリットがあるのであれば、検討する価値はあります。

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経理が早く終わって困る人はいない。だったら早く終わらせましょう。

なぜ経理は早く終わったほうがいいのか。

もちろん経理担当者の残業時間が減れば、担当者にとっても経営者にとってもハッピーな状況でしょう。

さらにそれだけではなく、会社の数字を早く把握することで、経営者がその数字を元に次の手を打ちやすくなるという効果もあります。

今回のような急激な状況変化があった場合には、例えば給付金等を申請せざるを得ないケースもあるでしょう。

そのような場合であっても、経理を早く終えることができれば、早急に対応することが可能となります。

経理の作業が早く終わって困ることは1つもありません。

だったら早く終わらせるために対応をした方が、そのメリットを享受することができるわけです。

「担当者が経理で苦労している」、「経営者としてもっと早く先月の実績が知りたい」、そういった課題・要望があるのであれば、経理の仕組みがきちんと整っているか、一度見直しをされてみてはいかがでしょうか 。

投稿者

加藤 博己
加藤 博己加藤博己税理士事務所 所長
大学卒業後、大手上場企業に入社し約19年間経理業務および経営管理業務を幅広く担当。
31歳のとき英国子会社に出向。その後チェコ・日本国内での勤務を経て、38歳のときスロバキア子会社に取締役として出向。30代のうち7年間を欧州で勤務。

40歳のときに会社を退職。その後3年で税理士資格を取得。

中小企業の経営者と数多く接する中で、業務効率化の支援だけではなく、経営者を総合的にサポートするコンサルティング能力の必要性を痛感し、「コンサル型税理士」(経営支援責任者)のスキルを習得。

現在はこのスキルを活かして、売上アップ支援から個人的な悩みの相談まで、幅広く経営者のお困りごとの解決に尽力中。

さらに、商工会議所での講師やWeb媒体を中心とした執筆活動など、税理士業務以外でも幅広く活動を行っている。
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