今日で今年の税理士試験の日程が終了します。受験生の皆様お疲れ様でした。
今はまだ「来年に向けて・・・」という気分では無いと思います。まずはゆっくり休んで来年の受験に向けた英気を養って下さい。

9月以降の学習の参考になるかわかりませんが、私が受験勉強をする中で意識して行っていたポイントを書いてみたいと思います。

1.試験勉強のためのポイントは3つ

私は、簿記論・財務諸表論・法人税法・相続税法・消費税法の5科目を受験しましたが、税理士試験に向けた試験勉強を行う中で意識していたのは次の3点です。

(1)事前に学習スケジュールを立てておく
(2)情報は一カ所に集約する
(3)反復練習を怠らない

以下、順に内容を説明します。

2.事前に学習スケジュールを立てておく

税理士試験の学習内容はかなりのボリュームがありますから、いざ勉強しようとすると「あれもやらなきゃこれもやらなきゃ」といろいろなことが気になってしまい、結局集中できずに中途半端にしか勉強できないことがよくありました。

税理士試験は一定程度の時間をかけてかつ集中して勉強しないとなかなか合格できない試験ですから、その日の勉強を始めるタイミングで何をやるか考えていては遅いということに気づき、事前に学習スケジュールを立てるようにしました。
要するに、勉強を始める前にやることを明確にしておくことにより少しでも勉強そのものに集中できる環境を作り上げようということです。

スケジュールの立て方ですが、これは学習時期により変わってきます。
最初の頃は基礎を固めるのが大切ですから、曜日毎に学習内容を固定していました。
例えば、月曜日の夜は個別問題集をやって、火曜日は総合問題を1問解いて、といった感じです。

特に週末についてはある程度の時間を確保できますから、時間をムダにしたりサボったりしないためにも何をやるのか事前に決めておくべきです。
また授業の準備をする必要もありますから、そうした準備の時間も何曜日にどこまでやるか週間スケジュールに組み込んでいました。

ただし、気をつけなければいけないのは頑張ろうとしすぎてこなしきれない量の予定を立てないことです。
大事なのは一定のリズムで1年間勉強を続けることです。短期的に長時間勉強するよりも、「ちょっと物足りないかな」という量でも1年間コツコツ続けた方が確実に実力は上がります。

一方で4月頃からは模擬試験が増えてきますので、そうした試験に合わせて1ヵ月単位でのスケジュールを立てていました。
スケジュールを立てる際には、総合計算問題・個別計算問題・理論暗記・理論問題に分けて自分の弱い分野に多めに時間を配分するようにしていました。

大切なのはやるべきことを事前に明確にして、一度決めたら迷わずにこなしていくということです。

3.情報は一カ所に集約する

これは特に理論学習にいえることですが繰り返し内容を確認することが試験勉強の上で大事です。
常にサブノートを持ち歩いて空き時間に読み返すということは多くの方が実行されていると思います。

この点について私が意識していたのは、「空き時間に見るものを決めておくこと」と「その決めた教材に情報を集約すること」の2点です。

私は大原に通っていましたので空き時間には市販の理論サブノートを見ると決めていましたが、この理論サブノートには条文のサマリーしかなく内容解説が一切記載されていません。
そうした内容はすべて授業で使用する理論テキストに記載されているため理論サブノートを見るだけではテキストの内容の理解がすすまないのです。

そのため、授業で習った理論についてはテキストの中で重要であろうと思われる解説を縮小コピーしてそれを理論サブノートに貼付けていました。
(解説の多い理論については、コピーを貼付けすぎて本文が見えないということも・・・)

こうすることにより理論サブノートを見る際にテキストの内容解説も併せて確認することができるため、空き時間を活用して理論の理解を深めることができました。

この話をすると「コピーして貼り付けする時間がもったいない」と思われる方もいらっしゃると思いますが、この方法のポイントは次の2点にあります。
<1>テキストを読んでどの部分が重要か判断するという作業が理論の理解に役立つ
<2>授業によるインプットが終わり模擬試験が始まる頃には1冊で全てを確認できるコンパクトな理論テキストが手元に残る

模擬試験の直前や本試験の直前期に気になった内容をその場ですぐに確認できるというのは、思っている以上に効果があるものです。
前半戦で苦労して後半戦で一気に引き離すか、前半戦で楽をして後半戦で苦労するか、どちらを選びますか?

4.反復練習を怠らない

これは意識したポイントというよりも「根性論」的な部分もあるのですが、特に計算ではどれだけ自分で問題を解いたかということが試験当日の自信につながります。

本試験では未学習の論点が出ることも当然ありますが、合否を最後に分けるのは皆が解ける問題をいかに確実に正解するかという点になります。

多くの問題に接し演習量を増やすことで解答スピードを上げると同時に得点すべき問題を選ぶ「眼」を養うことができます。

本番に臨む心構えとして「自分はやれる」と思うのと、「今回はダメかもしれない」と思うのとではどちらが合格できる確率が高いかは一目瞭然です。

その自信の源になるのは「反復練習」と「演習量」だというのが私の考え方です。

5.他の学習への応用

ここまで書いてきた内容は税理士試験への対策として実行してきたことですが、税理士試験に限ったことではなく他の資格試験やある程度ボリュームのある内容を勉強しようとするときにも当てはまります。

何か新しいことを学ぼうとする際には、「時間をいかに確保するか」「モチベーションをどうやって保つか」といった問題が常に立ちはだかります。

こうした課題に対処するためにも勉強を始める際には、まず学習スケジュールを立てるところから始めて他の2つのポイントも意識しながら進めていくべきと考えています。

 

投稿者

加藤 博己
加藤 博己加藤博己税理士事務所 所長
大学卒業後、大手上場企業に入社し約19年間経理業務および経営管理業務を幅広く担当。
31歳のとき英国子会社に出向。その後チェコ・日本国内での勤務を経て、38歳のときスロバキア子会社に取締役として出向。30代のうち7年間を欧州で勤務。

40歳のときに会社を退職。その後3年で税理士資格を取得。

中小企業の経営者と数多く接する中で、業務効率化の支援だけではなく、経営者を総合的にサポートするコンサルティング能力の必要性を痛感し、「コンサル型税理士」(経営支援責任者)のスキルを習得。

現在はこのスキルを活かして、売上アップ支援から個人的な悩みの相談まで、幅広く経営者のお困りごとの解決に尽力中。

さらに、商工会議所での講師やWeb媒体を中心とした執筆活動など、税理士業務以外でも幅広く活動を行っている。
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