1.「税理士試験の勉強と実務は違うから・・・」

税理士の仕事をしていると「試験勉強と実務は違うから・・・」といわれることがありますが、個人的にはいつも違和感を覚えています。
もちろん試験に合格したからといって実務をすべてこなせるわけではないですから、「試験合格したからといって実務を問題なくこなせるわけではない」という点については異論はありません。

しかしながら、「試験勉強と実務は違うから・・・」という言葉を聞く度に、「試験勉強なんか税理士資格とるためのものだから、実務にはほとんど役に立たない(だからしっかり働いてね)」というニュアンスが含まれているような気がしてなりません(私だけかもしれませんが)。

実際のところ、私がイメージしている試験勉強(=税理士試験)の範囲と実務の範囲の関係は次のとおりです。

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試験勉強の範囲はすべて実務の枠に含まれていて、実務の枠外にはみ出るものはないと理解しています。

こう言うと、「例えば法人税の試験には連結納税といった多くの税理士がほとんど実務で関わる機会のない内容も含まれるじゃないか、だから試験勉強と実務は違う」という意見の方もいらっしゃるかもしれません。

それでも広い目で見ればやはりそれは税理士の実務の範囲に含まれるものですし、普段実務で関わらないから知らなくて良いということにはならないと考えています。

やはり「知っている」ということはとても大切で、いざそうした取引に遭遇したときに何も知らなければ気づくことはできません。
たとえ試験勉強の残骸であっても「知っている」ということは重要です。

2.試験勉強の知識と実務の関係は?

個人的な意見としては、試験勉強は全ての実務の基礎・土台であり、その上に実務及び実務にまつわる勉強を積み上げていくことによりその精度が上がっていくものだと考えています。

もちろん税理士試験は実務をこなしながら試験勉強をする方がほとんどであるため、試験合格前にすでに実務についてはまったく問題ないという方もいらっしゃると思いますが、知識は体系化しないとその威力は半減するというのが私の意見です。

体系的な学習には「教科書」の使用が効果的 | 加藤羨一税理士事務所

実務から入ろうが試験から入ろうが、税に関する知識を効率的に体系化する過程が試験勉強であり、そこから実務(及び試験後の勉強)が広がっていくという形が理想だと思っています。

これを私は家(建物)のようなイメージで理解しています。

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つまり試験勉強による知識は家の土台と同じで、見えないけれどもとても大切。
土台がしっかりしていればその屋根は土台の幅よりもさらに広がっていくというものです。

試験勉強はどちらかというと理論寄りな面があるため、実務とは違うという意見をお持ちの方もいらっしゃるかもしれませんが、税理士が税務上の問題について判断をする際に最後によって立つべきは税法という法律であり、それをどう読んでどのように計算するかを学ぶのが試験勉強ですから、やはり実務の土台になるべきものだと考えています。

3.試験合格後にやるべきことは・・・

税理士試験を通ることは決して楽なことではありませんが、税理士というキャリアの中で見た場合、やはりそれはスタートラインに立つことに過ぎません。

試験に通っても
・申告書を自分で作れるか、またチェックできるか
・試験勉強で学んだ内容を実務にきちんと当てはめできるか
・予備校のテキストに書いていない内容を自力でどうやって学んでいくか
・税目横断的な内容の知識や税法以外の周辺知識をいかに身につけていくか
などやるべきこと学ぶべきことはたくさんあります。

よく言われることですが、試験勉強に費やす時間よりも、その後の勉強に費やす時間の方が遙かに多いわけです。
ですから「試験勉強と実務は違うから・・・」という言い方よりも「試験勉強の先にはまだまだ学ぶべきことやるべきことがそれ以上にたくさんあるから」という言い方の方がしっくりきます。
(こう言ってしまうとモチベーションが急落する受験生の方がいらっしゃるかもしれませんが、これは事実です。)

かくいう私も、本を読めば「こんな考え方や事例があったのか!」と驚き、研修会に行けば目から鱗が落ちまくるような日々を過ごしています。

どこまでやれば一人前の税理士になれるのかと考えると先が長すぎて暗澹たる気持ちになることもありますが、そこは「継続こそが力なり」と信じて前に進むしかないのでしょう。

しかしそう考えると、税理士って結構大変な仕事ですね(汗)