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1 税理士の英語訳って”ZEIRISHI”なの?!

ホームページの開設にあたりドメイン名を検討する際、「税」とか「税理士」に関連する名前にした方が良いかと思い税理士の英語表記を調べたことがあります。
その際、日本税理士会のホームページ(税理士の事業-国際交流)に英語表記に関する方針が掲載されていて次の記載がありました。

日本税理士会連合会は、「税理士」の英語訳について、次のような方針をとっています。
「税理士」の英語訳は、現行のCertified Public Tax Accountantとする。
使用場面により、「税理士」のローマ字表記「ZEIRISHI」を使用することとする。その場合、必要に応じて英語訳Certified Public Tax Accountantを併記することとする。

これを読んだ最初の感想は、
「えっ、税理士って”Tax Accountant”じゃないの?しかも場合によってはローマ字で”ZEIRISHI”って書くの?」でした・・・

私は税理士の英語訳はずっと”Tax accountant”だと思ってましたので。

父親が税理士だったこともあり、高校生の頃(30年近く前ですね(笑))税理士の英語訳を辞書で確認したことがあります。
その際参照した辞書の名前は忘れましたが、そこには税理士の英語訳として”Tax Accountant”と記載されていたため長い間それが税理士の英語訳なんだと思ってました。

勤めていた会社を辞める直前まで海外で勤務していたのですが、現地スタッフから「会社辞めて何をするんだ?」と聞かれたときも自信たっぷりに「父親がTax Accountantやってるから資格取って後を継ぐんだ!」と英語で説明したのですが、今思えば何にも伝わってなかったかもしれません(汗)

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2 概念が存在しなければ言葉は生まれない

先ほどの日本税理士会のページにも記載があるのですが、「税務を専門とする職業が法律により制度化されている国は限られている」ため、英語圏であっても”Certified Public Tax Accountant”という言葉が何を意味するかは単語だけでは伝わらないんですよね。

その一方で公認会計士の英語訳”Certified Public Accountant(CPA)”についてはそうした職業が各国にあるため、この言葉を使えば聞いた側は何を指しているのかわかります。

結局のところ、まず概念(このケースでいえば「税理士」という職業)が存在して初めてそれを説明するための言葉が生まれるわけで、逆にいえばそうした職業が存在しない言語では当然のことながらそれを説明する言葉も生まれません。

英語圏には税務を専門に扱う専門家は存在しないため、英語という言語には「税理士」に対応する言葉が存在しないのだと思います。

そのため昭和45年にはすでに税理士の英語訳を”Certified Public Tax Accountant”とすることが決定されていましたが、一部の国を除いてはこの言葉を使ってもその意味を説明するためにかなりの補足説明が必要だったのだと想像します。

そうした状況を改善するために平成23年にローマ字表記の”ZEIRISHI”をケースに応じて使用することを方針として決定した訳ですが、これは”ZEIRISHI”という言葉を聞けば何を指しているのか一発でわかるようにしたいという思いがあったのだと思います。

3 ”ZEIRISHI”は浸透するのか?

さて、”ZEIRISHI”という表記を使う意図は理解できるのですが、ではこの言葉が世界的に普及するかといわれると「?」というのが偽らざる私の意見です。

確かに日本語でも”TSUNAMI”のように英語の辞書に載る日本語もありますが、これはインパクトのある事象に対してそれを説明する適切な英単語が存在しない場合に英語として採用されるのだと思います。

余談ですが、私は東日本大震災の時は海外勤務中だったのですが、震災直後に現地(非英語圏)のガソリンスタンドでお金を払おうとしたら「日本人か?」と聞かれてそうだと答えたところ”Oh, TSUNAMI!!”といわれた経験があります。
このとき”TSUNAMI”は海外でも通用する言葉なんだと改めて思い知らされました憶えがあります。

話が逸れましたが、”ZEIRISHI”というローマ字表記は一朝一夕には浸透しないとは思います。それでも統一方針が示されていることは大切なことでしょう。

拠り所となる方針がなくそれぞれの税理士が独自の説明をしていてはいつまで経っても言葉は浸透しませんのでそういう点では意味のあることだと思います。

あと、海外に対する発信も重要なのですが、日本に居住されている外国人の方に対する発信をどうするかという問題もあります。

日本で生活されている外国人の中にはあまり日本語が得意でない方も当然いらっしゃることでしょう。そしてそうした方たちの中にも日本での税務サービスを必要とされる方はいらっしゃると思います。

そうした方達に税理士の存在を知ってもらうためにも”ZEIRISHI”というローマ字表記をまずは日本の中で浸透させることが重要ではないでしょうか。

しかし、今回のブログを書くにあたり編集画面では”ZEIRISHI”という言葉の下にスペルミスを疑う赤い波線がずっと表示されています。
こうした文章を書く際に、この赤い波線が入らなくなった時が”ZEIRISHI”が言葉として浸透したときなんでしょうね。

投稿者

加藤 博己
加藤 博己加藤博己税理士事務所 所長
大学卒業後、大手上場企業に入社し約19年間経理業務および経営管理業務を幅広く担当。
31歳のとき英国子会社に出向。その後チェコ・日本国内での勤務を経て、38歳のときスロバキア子会社に取締役として出向。30代のうち7年間を欧州で勤務。

40歳のときに会社を退職。その後3年で税理士資格を取得。

中小企業の経営者と数多く接する中で、業務効率化の支援だけではなく、経営者を総合的にサポートするコンサルティング能力の必要性を痛感し、「コンサル型税理士」(経営支援責任者)のスキルを習得。

現在はこのスキルを活かして、売上アップ支援から個人的な悩みの相談まで、幅広く経営者のお困りごとの解決に尽力中。

さらに、商工会議所での講師やWeb媒体を中心とした執筆活動など、税理士業務以外でも幅広く活動を行っている。
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