先日、有償版のGoogle WorkspaceでもGeminiアプリを使えるようになりましたので、その使い勝手などを確認します。

Google WorkspaceでGeminiアプリが使えます

仕事で使うGmailやGoogleドライブについては、有料のGoogle Workspaceというサービスを使っています。

ビジネスアプリとコラボレーションツール | Google Workspace

当初は独自ドメインのメールアドレスをGmailで使うのに、無料ではうまくいかなかったからですが、今は仕事用のデータを勝手に学習用とかに使われるのもイヤだな、といった点も利用している理由のひとつです。

ただ実際に利用しているのは一番安いプランで、それほど高度な使い方をしているわけではありません。

Googleが提供している生成AIであるGeminiについては、Google Workspaceの料金とは別に追加でコストを負担することで利用可能でしたが、そこそこ高かったので、使っていませんでした。

ところが先日

「AI アシスタントとして Gemini アプリをご利用いただけるようになりました」

というタイトルのメールがGoogleから届きました。

「また有料プランの押し売りか?」くらいの感じで読んでいたのですが、書いてある内容がいつもと少し違います。

改めてGoogle Workspaceのサービスアイコンを確認すると、いつの間にか「Gemini」が(私が気付いていなかっただけで以前からあったのかもしれませんが・・・)。

どうやら追加料金なしでも、Geminiの機能の一部が使えるようになったようです。というわけで、今回はこのGoogle Workspace用のGeminiについて確認しておきます。

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Geminiを使うと便利な点・一般用と異なる点

データの取り扱いの違い

Geminiが使えるようになったとはいっても、要するに一般用に提供されているアプリと同様のものが使えるだけのようです。

ただ、プロンプト入力後に画面の下を見ると

「チャットはモデルのトレーニングには使用されません。」

とのメッセージが表示されます。

データがAIの学習に使われることはなさそうです。

そのため、生成AIでよく言われる

「顧客を特定できるような情報は入力しないように」

といった点は気にしてなくてよいかもしれません(本当に問題がないかは、慎重に見極める必要があると思いますが)。

この点、一般向けのGeminiでは

「Google AI の改善のため、レビュアーがチャットの内容を確認することがあります。これは [設定] で管理できます。」

と表示されていますので、明らかに扱いは異なります(ちなみに「設定」画面で、該当するような内容を見つけられませんでした)。

Google Workspaceのデータの取り扱いについては、昨年の情報ですが、以下のページにまとめられていますので、ご参考まで。

生成 AI 時代における Google Workspace データの保護の取り組み

利用できる拡張機能の種類

Geminiでは拡張機能により、別のサービスのデータを含めて質問をすることが可能です。

プロンプト画面で「@」を入力することで、対象とするサービスを指定できます。

拡張機能で使えるサービスですが、一般向けGeminiではGoogleマップやYouTubeなども対象として選べますが、Google Workspace版では、Gmail・Googleドキュメント・Googleドライブしか選べません。

一般向けのGeminiで拡張機能を表示

Google Workspace向けのGeminiで拡張機能を表示

個人的には、Googleカレンダーも対象にして欲しいなと思ってます(どちらにもないですが)。

「Aさんと前回会ったのはいつ」とか「Bさんとの打合せ次はいつ」といった内容を調べたいことがあるので、使えると便利かなと思ってます。

ちなみに追加料金が必要ですが、Gemマネージャーという機能を使うと、ChatGPTのGPTsのようなことができるようになってるんですね、知りませんでした・・・。

拡張機能を使ってどこまでできる?

Geminiが使えるようになってから、メールを探す際にはこちらを使うようになりました。

精度が高いとはいいきれませんし、少し時間もかかるのですが、検索で探すよりも見つかりやすくなったと感じています。

データが増えすぎると意外と通常の検索では必要なものを見つけることができません。キーワードだけでは不十分な一方で、適切な検索条件を設定するのが難しいものです。

Geminiを使っても、存在するはずのデータを「ない」と回答するケースもありますが、さらに問い詰めると割と見つけてくれます。

また、Googleドライブを対象に質問すると、PDFファイルも読み込んで回答してくれました。ただ現状では、想定しているものと違う回答が出てくることが多いと感じています。

Googleドライブなどを対象に質問できるのは便利ですが、まだ機能的には物足りないかなと印象を受けます。

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「手元のデータをいかにして活用するか?」という視点

現状、追加料金なしで使えるのが「Gemini1.5Flash」です(一般向けも同様)。

アップグレードすると「Gemini1.5Pro」が使えるようになり、物足りないと感じた回答の精度も変わってくるかもしれません。

またアップグレード後は、GmailやGoogleドライブの横にサイドパネルというのが表示されて、メールに対する返信文をGmailの画面内で作成したり、Googleドライブ内のフィルを指定してAIに指示することができるようです(まだ自分で確認していませんが)。

Googleドライブにすべてのデータをまとめているのであれば、追加料金を払ってアップグレード版のサービスを使うと便利になりそうですが、以前も書いたようにDropboxの方に主にデータを保存しているので、悩ましいところです。

手元のデータはネットに公開しませんので、当然生成AIはそのデータを元に回答することはできません。

でも、本当に代わりにやって欲しい仕事は、こうしたデータを参照しないとできないもののほうが多いはず。

例えば、Gmailでメールを探すというのも、卑近な例ですがそのひとつ。Gmailの過去データにアクセスできるからこそ、代わりに探してもらえるわけです。

そうなると、やはり手元のデータにアクセスできる生成AIを活用するというのは、常に意識しておく必要があるのでは、と思います。

Geminiもその選択肢のひとつとなるので、どのように活用できるかもう少し調べてみようかなと。

投稿者

加藤 博己
加藤 博己加藤博己税理士事務所 所長
大学卒業後、大手上場企業に入社し約19年間経理業務および経営管理業務を幅広く担当。
31歳のとき英国子会社に出向。その後チェコ・日本国内での勤務を経て、38歳のときスロバキア子会社に取締役として出向。30代のうち7年間を欧州で勤務。

40歳のときに会社を退職。その後3年で税理士資格を取得。

中小企業の経営者と数多く接する中で、業務効率化の支援だけではなく、経営者を総合的にサポートするコンサルティング能力の必要性を痛感し、「コンサル型税理士」(経営支援責任者)のスキルを習得。

現在はこのスキルを活かして、売上アップ支援から個人的な悩みの相談まで、幅広く経営者のお困りごとの解決に尽力中。

さらに、商工会議所での講師やWeb媒体を中心とした執筆活動など、税理士業務以外でも幅広く活動を行っている。
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