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先日AI-OCRのサービスを試してみたのですが、弥生のスマート取引取込との組合せで利用することを断念しました。特に弥生のスマート取引取込について改善してほしいと感じるポイントについてまとめておきます。

AI-OCRを検討した結果・・・

紙の通帳などをデータ化する際にSTREAMEDというサービスを利用していますが、AI-OCRといわれるサービスに切り替えできないか先日検討をしていました。

流れとしては

AI-OCRでデータ化 → 弥生のスマート取引取込でCSVファイルを取り込み

となります。

STREAMEDは非常に便利なサービスだと感じていますが、AI-OCRに切替えた場合

  • 長くても数分程度でデータ化できる(データ化までの時間短縮)
  • コストがSTREAMEDよりも安い(コスト削減)

というメリットが期待できますが、結論からいえば当面はSTREAMEDをそのまま使うことにしました。

AI-OCRのデータ化精度が少し期待していたものと違ったというのもありますが、最も大きな理由は弥生のスマート取引取込でデータを取り込む際の機能不足です。

データ化の精度が多少悪かったとしても、自動仕訳のルールである程度カバーできますが、弥生のスマート取引取込はこの部分が弱いと感じています。

もちろん仕訳ルールを登録できるのですが

  • 消費税率の細かい設定ができない(軽減税率対象かどうかの設定のみ)
  • 複数行仕訳への対応が弱い(可能だが設定がわかりにくい)
  • 部門をルールに含めることができない

といった課題があり、通帳データなどから仕訳を作成するには不十分だと感じます。

弥生スマート取引取込での仕訳ルール登録画面

部門設定については、弥生ホームページのスマート取引取込での部門設定に説明があるとおり、取り込み時に部門を指定することは可能ですが、すべてのデータに同じ部門が植え付けられてしまい、取り込んだデータ行ごとに異なる部門を設定する方法がありません。

「スマート取引取込での部門設定」より抜粋

複雑な仕訳(複数行仕訳や部門)がないシンプルな記帳だけであれば問題なくこなせるのですが、実務上生じる様々なケースに柔軟に対応するのは厳しいと思います。

スマート取引取込については仕訳ルールを細かく登録するというよりも

「登録した内容を学習して次回から自動的に適用する」

というスタンスで作っていると感じていますが、使っていくと

「違う、そうじゃない!」

と感じることが多くあります。

仕訳インポートすれば解決する?

「スマート取引取込が力不足なら、自分で科目や税区分を設定して、従来からある仕訳インポート機能を使えばいいのでは?」と一瞬考えましたが

  • CSVデータの種類ごとに、Excelファイルで関数などを使って科目や税区分を植え付ける必要がある
  • 変更があったときの修正に手間がかかる
  • 自分以外に誰もメンテができなくなる

といった理由で断念しました。

そもそもそこまでするのならSTREMAEDを使い続ければいいわけですし。

以前は自分でExcelなどを活用していろいろと仕組みを作って・・・と考えていましたが、その後のメンテナンスにかかる手間などを考慮して、最近は既存のサービスを組み合わせてできる範囲で効率化するという考え方に変わってきています。

自分の事務所の効率化だけであれば、ゴリゴリと作り込んでいくのもよいかと思いますが、例えば使えそうな組合せをお客さまに提示する可能性もありますので、メンテが大変という仕組みにはできるだけしたくないと考えています。

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自動仕訳ルールの弱さをSTREAMEDでカバーしている

結局のところ、現状のスマート取引取込では機能が不十分なので

CSVファイルを準備 → 弥生のスマート取引取込で仕訳作成

ではなく、STREAMEDの仕訳学習機能を使って

STREAMEDでデータ化 → 弥生の仕訳インポート機能を使ってインポート(スマート取引取込は使わない)

というケースが多くなっています。

弥生の会費については今年値上げがありますが、その理由のひとつとして

各種製品・サービスの機能やクラウドサービスとの連携強化

を挙げているわけですから、せめて他社並みの仕訳学習機能を提供してもらえればと期待しています。

弥生:価格改定に関する質問FAQ より抜粋

投稿者

加藤 博己
加藤 博己加藤博己税理士事務所 所長
大学卒業後、大手上場企業に入社し約19年間経理業務および経営管理業務を幅広く担当。
31歳のとき英国子会社に出向。その後チェコ・日本国内での勤務を経て、38歳のときスロバキア子会社に取締役として出向。30代のうち7年間を欧州で勤務。

40歳のときに会社を退職。その後3年で税理士資格を取得。

中小企業の経営者と数多く接する中で、業務効率化の支援だけではなく、経営者を総合的にサポートするコンサルティング能力の必要性を痛感し、「コンサル型税理士」(経営支援責任者)のスキルを習得。

現在はこのスキルを活かして、売上アップ支援から個人的な悩みの相談まで、幅広く経営者のお困りごとの解決に尽力中。

さらに、商工会議所での講師やWeb媒体を中心とした執筆活動など、税理士業務以外でも幅広く活動を行っている。
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