インポート機能がない古いソフトの場合、データの転記にはRPAが有効です。こうした転記をする際の手順について、ひとつの事例を取り上げて解説します。

インポート機能がないソフトって・・・

セミナー等でRPAを活用できる場面を解説することがありますが、そのひとつとして

インポート機能がない古い(古くさい?)ソフトへのデータ転記

を挙げています。

「今どきインポート機能のないソフトなんてあるの?」と思うかもしれませんが、これがあるんです。

そこで今回はそうした事例をひとつ取り上げます。具体的には、JDLの勘定科目内訳書というソフト。

法人税申告書に添付する「勘定科目内訳書」という資料を作成するソフトですが、インポート機能は・・・ありません。

そこで今回は、以下のようなExcelで作成した在庫リストがあることを前提に、RPAを使って自動転記する手順を解説します。

※「区分」欄はJDL内で使用される科目コードです(1731:原材料、1681:商品)。

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在庫データをRPAを使って転記する手順

フローのポイントと大まかな流れ

RPAとして今回もPower Automate for desktopを使います。

フローの大まかな流れとしては、次のようにしました。

  1. デスクトップに保存した在庫リスト(Excelファイル)を読み込む
  2. 事前に開いておいたJDL勘定科目内訳書のウインドウを選択
  3. ソフト内の「追加」ボタンを押す
  4. Excelデータを一行ずつ読み込む
  5. ソフト内の入力欄にカーソルを移動させる
  6. 該当する箇所にデータを貼り付けする

今回のフローを作成する上でのポイントは以下の2つ。

  1. 勘定科目内訳書ソフトの中で入力する位置をどうやって決めるか(手順ⅴ)
  2. Excelのデータを貼り付けする際の手順をどうするか(手順ⅵ)

手順をすべて解説すると長くなりますので、Excelデータの読み取り手順とかは省略して、上記の2点に絞って解説します。

他の手順について、過去の記事でどこまで取り上げたか記憶が定かではありませんが、参考として過去記事の一覧を貼っておきます。

この流れに沿って作成した今回のフローはこちら(画質が粗くて見にくくてスミマセンン)。

ポイント1:貼り付け位置へのカーソルの移動方法

実際のソフトの画面はこんな感じですが、RPAを使うときに悩むことのひとつが

データを入力する位置にカーソルをどうやって持っていくか

という点。

入力行が1行だけならシンプルですが、大量のデータを貼り付ける際には順番に下にずらしていく必要があります。

ひとつの入力欄を「UI要素」として認識することはできても、それを順次ずらしていくのは大変です。

こういうときは、ソフトの動かし方を改めて確認してみましょう。

このソフトの場合、最初に「追加」ボタンを押した後は、Tabキーで次の欄にカーソルを移動させることが可能です。

そこでUI要素として認識させるのではなく、Tabキーをキー送信(「キーの送信」アクション)することで対応します。

ポイント2:データの貼り付け方法

インストールされたソフトにデータを貼り付ける方法として

「ウインドウ内のテキストフィールドに入力する」

というアクションがあります。

これを使うには入力する欄(テキストボックス)をUI要素として、ひとつずつ指定しなければなりません。

ポイント1においてUI要素として指定することは諦めたため、今回このアクションは使えません。

そこで今回はスマートではありませんが、読み込んだExcelデータを格納した変数の内容を

「クリップボードテキストを設定」アクション

でクリップボードに読みこみ、Ctrl+Vをキー送信する方法で対応することにしました。

読み込んだExcelデータについては、For eachという処理で読み込むと、CurrentItemという変数に1行分のデータが格納されます。

その上で、CurrentItemの最後に[0]といった形で番号を指定すると、行の中の特定のデータを呼び出せます(最初のデータは0番目である点に注意)。

ここまでの説明をフローにするとこのようになります(For each部分は省略)。

あとはポイント1のTabキーを送信することで入力位置を移動させる方法と組み合わせることで、データを自動的に転記していきます。

実際にどのように動くかについては、次の動画でご確認下さい。

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大事なのは、やりたいことを実現すること

デスクトップアプリへのデータ転記の事例として、大まかな流れを解説しました。

使いこなしている人ならもっとスマートな手順を考えるのかもしれませんが、手順のスマートさよりも大事なのは実現したいことをきちんとできることです。

手順が回りくどくて少々動作が遅かったとしても、RPAを動かしている間に別の仕事ができるのなら十分意味はあります。

さらに経験を積むことで、もっと効率的なやり方を見つけることができるものです。

自分で作ってみないとこうした気づきは得られませんので

「RPAに興味あるけど自分にできるかな」

と二の足を踏んでいる方は、簡単なものでいいのでまずはご自身で作ってみてはいかがでしょうか。

投稿者

加藤 博己
加藤 博己加藤博己税理士事務所 所長
大学卒業後、大手上場企業に入社し約19年間経理業務および経営管理業務を幅広く担当。
31歳のとき英国子会社に出向。その後チェコ・日本国内での勤務を経て、38歳のときスロバキア子会社に取締役として出向。30代のうち7年間を欧州で勤務。

40歳のときに会社を退職。その後3年で税理士資格を取得。

中小企業の経営者と数多く接する中で、業務効率化の支援だけではなく、経営者を総合的にサポートするコンサルティング能力の必要性を痛感し、「コンサル型税理士」(経営支援責任者)のスキルを習得。

現在はこのスキルを活かして、売上アップ支援から個人的な悩みの相談まで、幅広く経営者のお困りごとの解決に尽力中。

さらに、商工会議所での講師やWeb媒体を中心とした執筆活動など、税理士業務以外でも幅広く活動を行っている。
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