公共料金などのインボイス対応を調べていて少し思うところがありましたので、雑感をまとめておきます。

インフラ会社のインボイス対応

インボイス制度が来月から始まりますので、電気や電話などインフラ系の会社の対応を確認していたところ

「紙の請求書はインボイス対応しませんので、必要な事業者はネットからダウンロードしてください」

という会社がチラホラと。

例えば、NTTや関西電力といった会社は上記のような対応を予定しています。

適格請求書等保存方式(インボイス制度)のご案内

インボイス制度における当社の対応について│関西電力 個人のお客さま

現状、紙の請求書を受け取っている事業者に対しては紙の請求書をインボイス対応すると思っていましたので少し意外でした。

世の中の流れとしてペーパーレス化に向かっていますので、今後発行数が減少する紙の請求書にコストをかけたくないということなのでしょう。

請求書を受け取る方すべてがインボイスを必要とするわけではありませんので、「必要ならば自分で対応してね」ということのようです。

インボイスの発行については紙以外にデータで発行(=電子インボイス)することも認められていますので、各社の対応については法律上は問題ありません。

問題ないのですが、紙で受け取っている方にまで

「欲しかったら自分で取りに来てね」

という対応は少しモヤッとします。

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ペーパーレス化したときのダウンロードの手間をどう考える?

モヤッとするのは

「受け取る側の手間を増やしている」

というのが理由です。

個人的にはペーパーレス化には賛成なのですが、請求書等のペーパーレス化が進む中で感じるのは

「各会社のサイトにアクセスしてIDとパスワードを入力してから請求書をダウンロードするのって意外と手間がかかる」

という点です。

紙の請求書だと何もしなくても手元に届いていたわけですが(その代わり未着・紛失というリスクはありますが)、これが能動的に対応しないと入手できなくなります。

インフラ系の会社の場合、請求書をダウンロードするまでの工程としては

  1. 請求確定のメールを受け取る
  2. メール内のリンクをクリックしてサイトにアクセス
  3. ID・パスワードを入力してログイン
  4. メニューから請求書ダウンロードを選ぶ
  5. ダウンロードする

となります。

会社により手順が異なる部分もありますが、おおよそこんな感じです。

情報漏えいなどのセキュリティリスクに配慮して、請求書をメールに添付して送るという対応をしていないのだと思いますが、請求書をダウンロードする程度の作業を厳格にしすぎじゃないかと。

今後インボイスを必要とする事業者は、毎月「各社ごとに」これだけの作業が増えることになります。

社会全体で見た場合に、どれくらいの工数が増えることになるのかはわかりませんが

「紙で受け取っていた事業者がダウンロードすることによる工数の増加」

「インフラ会社の紙の請求書に対するインボイス対応コスト」

のどちらが大きいのだろうかと考えさせられます。

こうした工数の増加をビジネスチャンスと捉えて、請求会社に自動的にログインしてインボイスを一箇所に集約してくれるサービスが出てくるかもしれません(私が知らないだけで既にあるのかもしれませんが)。

社会的なコストが増加したとしても、民間企業である以上自社のコストを最小化する方法を採ること自体は否定できません。

ですが、せめてインボイスのダウンロードは手間をかけずにできるようにして欲しいと思います。

パスワード付きであってもメールにファイルを添付すること自体に問題があると考えるのであれば、例えばメールのリンクをクリック後パスワードを入力したらすぐにダウンロードできるくらいの対応はしてほしいものです。

請求書等をダウンロードするための各社のユーザーインターフェースは使いやすいとはとてもいえません。

こうした状況については少しでも改善してほしいと切に願います。

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バラバラのデジタル化って逆にコストが増える?

各社ごとにインボイスを提供する方法がバラバラだと、受け手としてはダウンロードの手間が増えるなど、工数が増加してしまう可能性があります。

そうした意味では電子インボイスを受け取るためのインフラ的なものがあった方がよいのではと考えます。

現状ではデジタルインボイス(Peppol)がその候補となるのでしょうが、具体的なサービスが少なすぎて判断がつきません。

本来デジタル化って人の仕事を減らせるものなのに、中途半端にデジタル化を進めることで逆に仕事が増えてしまうのではないか。

せっかくデジタル化するのであれば、コストや工数が増えないデジタル化を目指したいものです。

投稿者

加藤 博己
加藤 博己加藤博己税理士事務所 所長
大学卒業後、大手上場企業に入社し約19年間経理業務および経営管理業務を幅広く担当。
31歳のとき英国子会社に出向。その後チェコ・日本国内での勤務を経て、38歳のときスロバキア子会社に取締役として出向。30代のうち7年間を欧州で勤務。

40歳のときに会社を退職。その後3年で税理士資格を取得。

中小企業の経営者と数多く接する中で、業務効率化の支援だけではなく、経営者を総合的にサポートするコンサルティング能力の必要性を痛感し、「コンサル型税理士」(経営支援責任者)のスキルを習得。

現在はこのスキルを活かして、売上アップ支援から個人的な悩みの相談まで、幅広く経営者のお困りごとの解決に尽力中。

さらに、商工会議所での講師やWeb媒体を中心とした執筆活動など、税理士業務以外でも幅広く活動を行っている。
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