確定申告の時期になったためか、1年ほど前に書いた確定申告書のプレプリント用紙の送付についての記事が(意外と)読まれていたりします。
昨年の記事のアップデートのような形になりますが、少し補足をしておきます。
大阪国税局からの要請事項
昨年末に近畿税理士会から届いた会報の中に、大阪国税局からの要請事項として、次のような記載がありました。
「プレプリント申告書送付対象者の見直しについてのお知らせ」
平成29年申告から・・・
・前年の申告に税理士が関与し、
・書面により申告書を提出されている納税者
の方には、プレプリント申告書が送付されなくなります。
この案内自体は、1年ほど前に書いた記事でも触れており、税務署が紙での申告から電子申告に変えていこうとする方向性が読み取れます。
確定申告書用紙の送付廃止の流れについて思うこと – 加藤羨一税理士事務所
さすがに税理士関与でない方の用紙送付を辞めてしまうと混乱が生じるため(毎年税務署まで用紙を取りに行かないといけませんので)、そこまではやらないのだろうと思っていました。
支部研修会での税務署からの説明内容
ところが、先週支部の研修会で、税務署の方から確定申告期の留意事項などについて説明を受けた際の資料には、「税理士関与がなくても納税協会や商工会議所、無料相談会場などで書面提出した方にも、プレプリント申告書は送付されなくなる」旨の記載がありました。
プレプリント申告書が送付されるのは、税理士や相談会場などを利用せずに自力で申告書を作成し、かつ紙の申告書を提出される方のうち、青色申告決算書等の作成見込者・公的年金等を有する者(申告不要に該当する方を除く)・消費税等の申告書提出者などに限定されるようです。
それ以外の方については、「確定申告のお知らせ」というタイトルのお知らせハガキのみが送付されるとのことです。
正直なところ、想定していたよりも早いペースでプレプリント申告書の送付はほとんどなくなります。
昨年も書きましたが、個人的にはプレプリント申告書の送付廃止には賛成ですが、以前の記事でも触れたe-Taxからの連絡方法は全く改善されていません・・・。
ただ、「確定申告のお知らせ」というタイトルのハガキに記載されている内容は、e-Taxにて配信される案内とほぼ同じ内容になっていますので、とりあえずは現実的な対応なのでしょう。
e-Taxのメッセージボックスを見ない方には、ハガキでほぼ同内容を案内して、無料相談会場などで電子申告の提出に誘導して紙ベースの申告書の提出を減らしていく流れと思われます。
時間はかかっても便利な方に世の中は変わっていく
個人的にはペーパーレス化の流れは着実に進んでいくと考えていますので、電子申告ウエルカムですが、やはり新しい仕組みが世の中に定着するには時間がかかります。
その一方で、所得税の準確定申告や相続税の申告書は電子申告で提出できないため、紙の申告書を税務署まで持っていくか郵送する必要がありますが、そんな時「あれ、わざわざ持って行かないといけないの?」という気持ちになるくらいには、実務の現場では意識は変わってきていると思います。
ちなみに、相続税は関連資料が多いため紙の申告書での提出もやむを得ないと思いますが、所得税の準確定申告は電子申告にしても良いのでは?といつも感じます。「死亡した者の所得税及び復興特別所得税の確定申告書付表」という書類に相続人全員の印鑑に代わる電子署名や利用者識別番号を付与するのが難しいためでしょうか?
電子申告であれば、税務署で並んで待つ必要もありません。銀行の窓口やATMに並んで振り込みしていたのが、ネットバンキングの登場により、自宅や事務所で済むようになったのと同じ変化です。
確定申告の時期の無料相談会場などでは、未だに長蛇の列ができることも多く、多くの方の貴重な時間をいただくことになってしまっているのが現状です。
もちろん申告の内容について相談したい方もいらっしゃるでしょうから、e-Taxの仕組みがさらに改善するだけで自力で申告できるようになるわけではありませんが、行かずに済むのであれば誰だってそうしたいはず。
時間はかかるかもしれませんが、電子申告という流れは少しずつ着実に進んでいくのでしょう。
投稿者
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大学卒業後、大手上場企業に入社し約19年間経理業務および経営管理業務を幅広く担当。
31歳のとき英国子会社に出向。その後チェコ・日本国内での勤務を経て、38歳のときスロバキア子会社に取締役として出向。30代のうち7年間を欧州で勤務。
40歳のときに会社を退職。その後3年で税理士資格を取得。
中小企業の経営者と数多く接する中で、業務効率化の支援だけではなく、経営者を総合的にサポートするコンサルティング能力の必要性を痛感し、「コンサル型税理士」(経営支援責任者)のスキルを習得。
現在はこのスキルを活かして、売上アップ支援から個人的な悩みの相談まで、幅広く経営者のお困りごとの解決に尽力中。
さらに、商工会議所での講師やWeb媒体を中心とした執筆活動など、税理士業務以外でも幅広く活動を行っている。
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