先日国税庁のホームページにおいて、来年5月以降電子申告を行っている法人宛に納付書を郵送しない旨が公表されました。今回は納付書を使わずに税金を支払う方法について確認しておきましょう。

会社宛に納付書が送られて来なくなる?

先日国税庁のサイトにこんな案内がでていました。

国税庁:納付書の事前送付に関するお知らせ

いろいろと書いてありますが、一番影響が大きいのは

  • 時期:2024年5月以降
  • 対象:e-Taxにより申告書を提出している法人
  • 税務署から紙の納付書を送付しない

という点です。

※源泉所得税の納付書については引き続き送付する予定とされています。

これにタイミングを合わせるように今週23日(火)に

納税に関する総合案内

というページを開設したという発表がありました。

税理士の集まりなどに税務署の方がお見えになって税務に関するお願いをされることも多いのですが、最近そうした場で必ず依頼されるのが「電子納税」です。

こうした一連の流れをみていると、税務署側は是が非でも「電子納税」を推進したいということなんでしょう。

そこで今回は、納付書を使わずに税金を払う方法にはどのようなものがあるのか確認をしておきましょう。

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納付書を使わない税金の支払方法

先ほどご紹介した「納税に関する総合案内」ページの「①国税の納付手続」をクリックすると現在利用できる支払い方法の一覧が表示され、さらにそれぞれの項目をクリックすると詳細を確認できます。

国税庁:納税に関する総合案内 より抜粋

それぞれの支払い方法の特徴をザッと確認しておきましょう。

振替納税

申告書を提出すれば事前に登録した銀行口座から決まった日に自動的に税金を引落ししてくれる方法です。

ところがこの方法で支払いできるのは

  • 所得税
  • 消費税(個人事業主)

しかありません。つまり法人はこの方法を使えません。

支払う側の工数を考えるとこれが最も便利だと思うのですが・・・。

大企業などで納税金額が大きい場合に問題があるといった理由であれば、利用金額に上限を設けるなどして、法人向けにも使えるようにしてもらえれば利用する中小企業は多いのではないでしょうか。

ダイレクト納付

振替納税を利用できない法人にとっては、納付書以外の支払い方法として最も現実的な方法です。

法人であっても法人税や消費税(さらに源泉所得税も)をこの方法で支払うことが可能です。

事前に登録した銀行口座から自分で指定した日に引落しができますが、毎回自分で引落しの指示をする必要があり、少々面倒です。

法人の場合、法人税・消費税と同時に法人住民税や法人事業税の申告もすることになりますが、国の税金(法人税・消費税)と地方の税金(法人住民税・法人事業税)で引落しの指示をするシステムが違います。

さらにそれぞれの使い勝手はまったく別物。納税のシステムくらい共通化してほしいものです。

ちなみにこの引落しの指示ですが、税理士にやってもらうことも可能です。ミスしたら怖いので嫌がる税理士さんも多いですが・・・。

ネットバンキング

申告書を電子申告で提出したらe-Taxのメッセージボックスに支払いのためのデータが準備されます。

そこから対応している金融機関のネットバンキングに飛んでそのまま支払うことも可能です(事前にネットバンキングの契約は必要です)。

この場合、税務署に事前に銀行口座を登録しておく必要はありません。

個人的には、ダイレクト納付の方が最初に銀行口座の登録をする手間はありますが楽だと思います。

なお、申告に必要な情報がわかればペイジーが使えるネットバンキングで直接支払い処理ができますので、税理士に電子申告を依頼されている会社であっても、支払い情報を連絡してもらえればこの方法を使うことはできます。

クレジットカード

クレジットカードで税金を支払うことも可能です。

ただし、ここまでご紹介した方法には手数料がかかりませんが、クレジットカードで納付する場合は利用手数料を取られます。

そのため基本的にお勧めしていません。

申告後に国税クレジットカードお支払サイトで手続きしますが、上記の理由から実はやったことありません・・・。

また法人だと税金の支払いに使える法人用クレジットカードを準備しているかという問題もありますので、法人税や消費税の納付書に代わる支払い方法として使える会社は限られるかもしれません。

スマホアプリ決済

決済手数料はかからないとされていますので、この点はクレジットカードでの支払いと比べるとメリットがあります。

ただし、納付税額30万円以下という制限があり、納税額が大きくなると使えません。

またクレジットカード以上に、法人名義でスマホ決済アプリを準備しているケースは少ないのではという気がします。

実際に支払う際には国税スマートフォン決済専用サイトで支払処理をしますが、このサイトにはパソコンからはアクセスできません。

コンビニ納付(QRコード)

自分で国税庁のホームページにてQRコードを作成しコンビニで支払う方法ですが、わざわざコンビニまで足を運ぶ時点で納付書と変わらず、経理の効率化にはつながりません。

またこの方法も30万円以下しか使えないという制限があります。

自分でQRコードを作成する以外に、税務署でバーコード付き納付書をもらってコンビニ納付という方法ありますが、わざわざ税務署まで行ってからさらにコンビニに行くというのは通常はメリットがありません。

法人が法人税や消費税を支払う際にはあまり利用する機会はないのではないでしょうか。

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ピンチをチャンスに変える

納付書を使わずに税金を支払う方法について、主に電子申告をしている法人が法人税や消費税を払うケースを想定して確認してみました。

現在納付書をつかって払っていたとしても、電子申告をしているという理由で納付書の郵送を中止するというやり方は、納税者側に一方的に手間を押しつけるものであり少々強引だと感じてはいます。

その一方で、こうした機会がないと電子納税について検討しない会社も多いのではないでしょうか。

今回のような件は後ろ向きに捉えていても何もよくはなりません。

せっかくですからよい機会と考え、経理業務の効率化につなげられるよう税金の支払い方法を見直してみてはいかがでしょうか。

投稿者

加藤 博己
加藤 博己加藤博己税理士事務所 所長
大学卒業後、大手上場企業に入社し約19年間経理業務および経営管理業務を幅広く担当。
31歳のとき英国子会社に出向。その後チェコ・日本国内での勤務を経て、38歳のときスロバキア子会社に取締役として出向。30代のうち7年間を欧州で勤務。

40歳のときに会社を退職。その後3年で税理士資格を取得。

中小企業の経営者と数多く接する中で、業務効率化の支援だけではなく、経営者を総合的にサポートするコンサルティング能力の必要性を痛感し、「コンサル型税理士」(経営支援責任者)のスキルを習得。

現在はこのスキルを活かして、売上アップ支援から個人的な悩みの相談まで、幅広く経営者のお困りごとの解決に尽力中。

さらに、商工会議所での講師やWeb媒体を中心とした執筆活動など、税理士業務以外でも幅広く活動を行っている。
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