広告

所得税の確定申告が終わりましたが「還付となるのでまだ提出していない」という方がいるかもしれません。今回は還付申告の提出期限について確認をしておきましょう。

今年も所得税の確定申告が終わりました

今年の所得税の確定申告も、3月15日にて終了しました。

終了したこのタイミングで所得税の確定申告についてのブログを書くのは、情報提供としては意味がないんじゃないかという話もありますが・・・。

所得税の確定申告については税金を払わないといけないケースの他に、事前に支払った所得税(源泉所得税や予定納税など)の一部が返ってくる「還付申告」といわれるものがあります。

最近はご存じの方も増えましたが、この還付申告は5年間できます。

「慌てて3月15日までに提出する必要はないよね、落ち着いて時間ができたらやろう」という人もいるかもしれませんので、今回はこの還付申告について確認をしておきましょう。

還付申告書を提出できる期間

還付申告については

国税庁タックスアンサー:No.2030還付申告

のページに詳細が説明されています。

ここにも記載があるとおり、還付申告できる期間は

その年の翌年1月1日から5年間

です。

「5年間できるんだよね、何か問題ある?」と思うかもしれませんが、ポイントは1月1日から5年間という点です。

所得税の確定申告期限は3月15日だと知っている方は多いかもしれませんが、3月15日から5年間ではありません。

つまり還付となる所得税の確定申告書を提出できる期限は5年後の12月31日です。

ここ数年の確定申告について還付申告書を提出できる期限は次のようになります。

申告年 還付申告の期限
令和1年(2019) 令和6年12月31日
令和2年(2020) 令和7年12月31日
令和3年(2021) 令和8年12月31日
令和4年(2022) 令和9年12月31日
令和5年(2023) 令和10年12月31日

令和1年(2019年)の還付申告について

「確定申告期限から5年だから令和7年(2025年)になってから出しても大丈夫だよね」

というのは間違いですのでご注意ください。

ちなみにもう一つ間違いやすいポイントとして「青色申告特別控除」があります。

個人事業主の方で55万円や65万円の青色申告特別控除を受ける場合は

確定申告書を確定申告期限(翌年3月15日)までに提出すること

が条件のひとつとなっています。

確定申告期限後に提出すると青色申告特別控除が10万円しか受けられません。

55万円や65万円の控除を受ける前提で還付となっていた場合には、還付金額が減ってしまう、もしくは還付ではなく納税となってしまい無申告加算税などがかかってしまう可能性があります。

こうした注意点もありますので「後から提出しても大丈夫」と考えずに、やはり可能な限り期限内に提出しておいた方が無難です。

広告

以前は還付申告なのに提出義務があったケースも

ここからは余談ですが、実は以前は

「還付になるのに翌年3月15日まで提出しなければならない」

というケースがありました。

解説すると長くなるので詳細は割愛しますが

「還付になるから5年間申告できる」

と断言できないケースがあったわけです。

これが令和3年度税制改正において

その計算した所得税の額の合計額が配当控除の額を超える場合であっても、控除しきれなかった外国税額控除の額があるとき、控除しきれなかった源泉徴収税額があるとき又は控除しきれなかった予納税額があるときは、確定申告書の提出を要しないこととする。この場合における確定申告書の提出期間については、現行の申告義務のない者の還付申告書の提出期間(その年の翌年1月1日から5年間)と同様となる。

財務省ホームページ:令和3年度税制改正の大綱 より抜粋

とされました。

要するに所得税の確定申告において、確定申告をしなければならない義務があるケースに該当したとしても

  • 外国税額控除
  • 源泉徴収された所得税
  • 予定納税

を控除しきれずに還付申告となる場合には、申告義務はなくして5年間提出可能としますということです。

還付申告となるケースのほとんどが、事前に支払った(徴収された)源泉所得税や予定納税が返ってくるものですから、実質的に還付申告の期限は5年間になったといえます。

この改正前は

「還付申告の期限って5年ですよね?」

という質問には安易に「はい」と回答できませんでしたが、制度としてスッキリしたといえます。

「還付申告は5年間可能」といっても、注意すべき点はありますので、まだお済みでない方はできるだけ早めに提出されることをおすすめします。

投稿者

加藤 博己
加藤 博己加藤博己税理士事務所 所長
大学卒業後、大手上場企業に入社し約19年間経理業務および経営管理業務を幅広く担当。
31歳のとき英国子会社に出向。その後チェコ・日本国内での勤務を経て、38歳のときスロバキア子会社に取締役として出向。30代のうち7年間を欧州で勤務。

40歳のときに会社を退職。その後3年で税理士資格を取得。

中小企業の経営者と数多く接する中で、業務効率化の支援だけではなく、経営者を総合的にサポートするコンサルティング能力の必要性を痛感し、「コンサル型税理士」(経営支援責任者)のスキルを習得。

現在はこのスキルを活かして、売上アップ支援から個人的な悩みの相談まで、幅広く経営者のお困りごとの解決に尽力中。

さらに、商工会議所での講師やWeb媒体を中心とした執筆活動など、税理士業務以外でも幅広く活動を行っている。
広告