非常に便利な「検索」機能ですが最近は本当に必要な情報にたどり着けないことも増えてきました。最近の新しいサービス等を踏まえて今後の「検索」について考えてみます。
検索しても欲しい情報が見つからない
最近始まった税理士等向けのサービスで丸善リサーチというのがあります。
毎月定額を支払えば、会計や税務に関する書籍がオンラインで読み放題というサービスです。
個人的には「読み放題」という点よりも、掲載されている書籍や雑誌について全文検索できることの価値が大きいと考えています。
税金に関する調べ物をする際には専門書を確認することも多いのですが
- どの書籍に必要な情報が載っているのか読んでみるまでわからない
- そもそも本屋に置いてない本も結構ある
ということで、その場ですぐに確認できるという点は非常に魅力的です。
ちなみに税金について調べるときに、参考情報として検索エンジンを使ってネットの情報を確認することもありますが、出てきた情報については根拠を確認しないと怖くてそのままは使えません。
実際のところGoogleなどの検索エンジンを使った検索は非常に便利ですが
「本当に必要な情報が見つからない」
と感じることが最近増えてきました。
この感覚はネット上の検索もそうですが、パソコン内に保存したデータを検索して探す際にも同じことを感じます。
もう20年くらい前でしょうか、野口悠紀雄先生の書いた「超整理法」という本がとても流行りました。
続編のパソコン編に書いてあったと記憶してますが
「これからはパソコン内のデータはムリに整理せずに検索して探せばいい」
といったことが書いてあって、それを読んだときは
「おお、なるほど。時代は変わったんだ。」
と感動したのを覚えてます。
ところが当時と比べて扱うデータの量が大きく増えました。データが増えすぎたことにより、不要な情報まで検索で表示されるようになってしまい
「整理せずに検索で探せばいい」
という考え方が段々と機能しなくなっていると感じています。
今後は選別済みの情報に対する検索が主流となる?
検索しても必要な情報が手に入らないことへの対処法というか、今後の流れですが、先ほど取り上げた丸善リサーチのように、ある程度信頼できるフィルタリング済みの情報に対する検索が増えていくんじゃないかと考えています。
この場合の「検索」についてはいわゆるキーワード検索だけではなく、AIを使ってフィルタリング済みの情報から答えを引き出すといったことも含めて想定しています。
最近であれば
- ChatGPT:ユーザーが独自のチャットボットを作れるサービス
- Notion:質問するだけでNotion内のドキュメント等の情報から答えを返すサービス
- Microsoft:copilotをカスタマイズできるcopilot studio
といったサービスが次々と発表されています。
まだ全然試せていませんので勘違いがあるかもしれませんが
「手元のある程度信頼できる情報に対して、そこから答えを引き出す」
という流れがあるように感じています。
選別されていないデータに対して検索を行っても、不要な情報が多すぎて必要な情報に効率的にアクセスできなくなってしまったので、ある程度フィルタリングされた情報から必要なものを見つけ出すということでしょう。
とりあえず検索エンジンで検索すれば答えが見つかる、という流れが変わりつつあるのではないでしょうか。
共有ファイルは検索で探す?フォルダで管理する?
必要な情報に効率的にアクセスできないという観点でいえば、組織内でデータファイルを共有する方法も改めて考え直す時期かもしれません。
具体的には
- ファイル名をきちんとつけて検索で探す
- フォルダ構造をきちんと決めて決められた場所に保存する
のどちらの方法を採用するかということです。
もともとフォルダ管理には横串がさせないという限界があり、ネット上に保存してタグをつけたり、検索機能を活用してという流れがありましたが、ファイル数が増えすぎたことにより検索では見つけられないというのは先ほど書いたとおりです。
そうなると、一周回ってフォルダ構造を作り込んで管理した方が、探す手間が減るんじゃないかという気がしています。
要するにフォルダ構造自体が情報を探すためのひとつの情報になっていて、この情報を使った方が効率的に探せるのではということです。
もちろんファイル名のルールを決めてきちんと運用できるのであれば検索で探すという方法もアリだと思います。
AIが手元の情報を元に必要な答えを出してくれるという方法が一般化すれば、データはとりあえず一箇所にまとめておいて、あとはAIにやってもらうという流れに再び変わっていく可能性は十分あると思います。
ただ、過渡期としてフォルダ構造をキッチリ作り込むという方法にも改めてスポットライトを当ててみてもいいんじゃないかと。
ファイルを探す時間は何ら価値を生み出しません。可能な限り減らすことは生産性の向上にもつながります。
だからこそ「検索」について改めて考えてみませんか、というお話でした。
投稿者
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大学卒業後、大手上場企業に入社し約19年間経理業務および経営管理業務を幅広く担当。
31歳のとき英国子会社に出向。その後チェコ・日本国内での勤務を経て、38歳のときスロバキア子会社に取締役として出向。30代のうち7年間を欧州で勤務。
40歳のときに会社を退職。その後3年で税理士資格を取得。
中小企業の経営者と数多く接する中で、業務効率化の支援だけではなく、経営者を総合的にサポートするコンサルティング能力の必要性を痛感し、「コンサル型税理士」(経営支援責任者)のスキルを習得。
現在はこのスキルを活かして、売上アップ支援から個人的な悩みの相談まで、幅広く経営者のお困りごとの解決に尽力中。
さらに、商工会議所での講師やWeb媒体を中心とした執筆活動など、税理士業務以外でも幅広く活動を行っている。
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