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業務効率化の結果として法律対応も同時にできれば理想的です。「ペイトナー請求書」というサービスをとりあげて、この点について考えてみたいと思います。

法律に対応するだけの仕事はツマラナイ

電子帳簿保存法への対応を検討していて感じるのは

「法律に対応するだけの仕事はツマラナイ」

という点です。

対応することによって事業者にメリットがあればいいのですが、多くのケースではそうではありません。

実際、お客さんから

「これ対応したらウチにとって何かメリットがあるの?」

と言われると何も言い返せないことがほとんどです。

こういう状況って何とかしたいなと思いつつ、モヤモヤしていることが多いです。

どうせなら業務の効率化のついでに法律対応したい

で、最近知ったのが「ペイトナー請求書」というサービス。

【公式】ペイトナー請求書|回収・電子化・振込を月額0円で自動化!

サービス内容としては、請求書を読み込めば支払いデータを作ってくれて支払いまで実行しているもののようです。

なお先に断っておきますが、私が普段ブログ記事でサービス等を紹介するときは、実際に自分で試してみた上で記事にすることにしています。

ただ今回は実際には使っていなくて、Web上の情報だけで書いてます。

なぜかというと銀行振込みすることが普段ほとんどないんです・・・。

振込み作業はできるだけやりたくないので、仕事における支払いは事業用のクレジットカードか口座振替に集約していったら、振込みすることがほとんどなくなりました。

細かい仕様等について問合せもしていないので、勘違い等あるかもしれません。先に謝っときます、ゴメンナサイ。

そういうわけで今回は仮にお客さんのところに導入するとしたらどんな点が気になるかという視点で、このサービスの内容を確認しておきたいと思います。

まずなぜこのサービスが気になったかというと

「振込み業務の効率化をした結果、電子帳簿保存法に対応できる」

という点です。

電子取引データを保存するためのサービスの多くは

「法律により保存しないといけないので、このサービスを使って対応しましょう」

というスタンスです。

対応するためにかかるコスト(主に工数)をいかにして減らすかという視点で考えているため、利用する側はどうしても「やらされている感」を感じてしまいます。

このサービスの場合

「振込みの処理にかかる手間をなんとかしたい」

という課題がある方が使えば、その結果として電子帳簿保存法の対応もできているという流れになるため取り組みやすいのではないかと。

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サービス内容で気になる点は?

次に実際にサービスの導入を検討する際に、気になる点はないか確認をしておきたいと思います。

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対象となる請求書

Webサイト上の説明を読むと

「専用メールアドレスに送るだけで請求書を自動回収」

という点が強調されているため、専用アドレスに送付することでしか登録できないのかと一瞬考えましたが、Q&Aにおいて手書きの請求書にも対応している旨が記載されていますので、紙の請求書をスキャンしたデータのアップロードにも対応しているようです。

メールで請求書を送付してくる取引先には送付先のメールアドレスを変更してもらえばかなり楽になるでしょう。

ただ、この仕組みって恐らくメールの添付ファイルを自動的にアップロードするものだと思いますが、最近はWebサイトからダウンロードするパターンも多いため、この場合は自分でファイルを一旦ダウンロードしてからアップロードが必要になるのかもしれません。

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料金

料金については月額基本料なしで、1件あたりの振込手数料300円(税込)のみとのことです。

振込みしなければ月額基本料は不要となっていますので、この点は導入する際の敷居がかなり低いと感じます。

ただ、クラウドサービスについては後日値上げというケースを何度も経験していますので、その可能性については十分理解した上で使うかどうか決めるべきでしょう。

専用口座が必要

このサービスを利用するにはGMOあおぞらネット銀行の専用口座を作る必要があるとされています。

詳細についてはGMOあおぞらネット銀行のサイトに情報がありました。

ペイトナー請求書 | 提携サービス口座

ペイトナー支店口座 商品概要説明書

この説明を読むと、無利息・キャッシュカードなし・銀行のネットバンキングから振込みできないなどかなり特殊な口座のようです。

毎月振込みに必要な金額を別の口座から移動させる運用となります。

現在振込みに使用している銀行口座を変更することについては、もしかすると抵抗を感じるケースが出てくるかもしれません。

ちなみに上記の「商品概要説明書」を確認すると「ご利用いただけるお客さま」は

「日本における国内法に基づいて設立された法人のお客さま」

とのこと。

個人事業主は使えないみたいです・・・。

電子帳簿保存法対応

細かい説明はありませんが、タイムスタンプの付与といった記述がないことから、対応しているのは「電子取引」のみと思われます。

つまり「スキャナ保存」には対応してないため、紙の請求書をスキャンしてアップロードしても、別途紙の請求書の保存は必要となるのではないかと。

電子取引データが支払いのために受け取る請求書しかない事業者であれば、このサービスを使うことにより電子帳簿保存法の義務としての対応は完了することになります。

税金の納付書

「GMOあおぞらネット銀行はペイジーに対応しているため、税金の納付書もアップロードすれば自動的に納付してくれるのか?」と一瞬考えましたが、ペイジーはネットバンキング上のメニューも異なるため多分対応してないんだろうと。

税務署側も納付書の送付自体をやめるような動きを取っていますので

「納付書をアップロードすれば納税ができる」

ということには将来的にもならないかなと考えてます。

会計データの出力

請求書情報を会計ソフトに登録できるとされていますが、実際に試してないのでどのようなデータが出力されるかは不明です。

実際の経理処理にあたっては、請求書情報で買掛金計上の処理をした上で、GMOあおぞらネット銀行の専用口座と会計ソフトを連携させて支払いデータを取り込みできるかどうかも確認が必要かと。

インボイス対応

現時点では「対応予定」となっているため詳細は不明ですが、恐らく登録番号をOCRで読み込んで、会計ソフトに登録する情報にインボイスかどうかのフラグを立てるような対応になるのではないかと予想します。


とりあえずネット上の情報を元に気になる点などをまとめましたが、やはり自分で実際に使ってから書かないと文章に「迫力」みたいなものがないですね・・・。

今回お伝えしたかったのは

「法律で決まっているからやむを得ず対応する」

という視点でサービスを探すと、自分にとって何もメリットがありませんが

「業務効率化のついでに法律対応も完了できるようにする」

という視点で探せば、そうしたサービスが見つかる可能性はあるということです。

単なる法律対応で終わらせずに、もう一歩先の効率化まで目指してみませんか。

投稿者

加藤 博己
加藤 博己加藤博己税理士事務所 所長
大学卒業後、大手上場企業に入社し約19年間経理業務および経営管理業務を幅広く担当。
31歳のとき英国子会社に出向。その後チェコ・日本国内での勤務を経て、38歳のときスロバキア子会社に取締役として出向。30代のうち7年間を欧州で勤務。

40歳のときに会社を退職。その後3年で税理士資格を取得。

中小企業の経営者と数多く接する中で、業務効率化の支援だけではなく、経営者を総合的にサポートするコンサルティング能力の必要性を痛感し、「コンサル型税理士」(経営支援責任者)のスキルを習得。

現在はこのスキルを活かして、売上アップ支援から個人的な悩みの相談まで、幅広く経営者のお困りごとの解決に尽力中。

さらに、商工会議所での講師やWeb媒体を中心とした執筆活動など、税理士業務以外でも幅広く活動を行っている。
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