一般の方にとって税金に関する説明はどれだけかみ砕いても難しく感じるものです。そんな税金の話をする際に、最近気をつけていることをまとめておきます。
目次
税金の話はどこまでいっても難しい
仕事柄、税金について説明する機会は多々あります。
最近でいえば、インボイスや電子帳簿保存法。
年末が近づいてくれば年末調整。
年が明ければ所得税。
相続に関する相談などがあれば相続税や贈与税。
こんな風に年がら年中税金の話をしています。
説明する側からすれば日常的なことであっても、説明を受ける側からすれば1年か数年に1回、相続の話であればもしかすると一生に1回説明を受けるだけということも多いはず。
普段接することのない情報をその場ですぐに理解するのは誰であっても難しいものです。
さらにいえばそもそも税金の制度は複雑怪奇。
専門家でない一般の方にわかりやすくお伝えするのは、何年やっていても難しいと感じます。
伝える際に気をつけている3つのポイント
難しい税金の話を相手の方が理解しやすいように、説明をする際に気をつけていることが3つあります。
1. すべての情報を伝えない(情報を伝えすぎない)
「すべての情報を伝えない」なんて書くと、「えっなんで?」と思う方もいるかもしれません。
しかしながら、情報を受取る側にとっては許容量があります。
税金に関する話では例外だったり注意事項だったり、説明しだすといくらでも内容は膨らんでいきます。
それらをすべてお伝えしたとしても、話を聞く側はすべて理解できるはずもなく無理してすべてを説明してしまうと
「結局、どうすればいいのかよくわからなかった」
となってしまうわけです。
なぜ税金の説明をするのかといえば、当然何らかの目的があるはず。
例えば
- インボイスを発行するか決めてもらう
- 年末調整に必要な資料を準備してもらう
- 贈与をするか決めてもらう
などなど。
こうした目的を達成するために必要となる必要最低限の情報をお伝えして、多くの情報を渡しすぎないように気をつけています。
ただ、これって実際にやるのは結構難しいです。
説明していると
「めったにないけどこんなケースもあって、もしかしたら該当する可能性がほんのわずかでもあるなら説明しておくべきでは?」
という葛藤は常にあります。
どこまで説明するかという判断は本当に難しいです。
2. 「専門用語は使わない」にこだわらない
税金の話をする際に、わかりやすくするために
「専門用語は使わない」
というスタンスの方もいらっしゃると思いますが、私はこの点にはこだわっていません。
説明を聞く方が専門用語を嫌うのは
「その意味がわからないから」
です。
説明をする上で専門用語を使う際には
- 使う前にわかりやすく専門用語を定義
- 説明の中で何度も定義を再確認
することにしています。
専門用語を使わないと逆に説明が冗長になってしまい、説明を受ける側が理解しづらくなると考えています。
そのため必要であれば専門用語は使うことにしています。
使う前に「こういうことなんですよ」と説明しますが、1回聞いて完全に理解できるものではありませんので、説明の途中で
「繰り返しになりますが、この言葉の意味ってこういうことなんですよ」
と定義を再確認することにしています。
「専門用語を使うと一般の方は理解できない」というのも、ひとつの先入観・思い込みだという考え方から、このようなスタンスにしています。
3. 説明資料にストーリーを持たせる
以前は説明する際の資料はほとんどExcelやWordで作ってました。
こうした資料ってどうしても文字が多くなってしまって、あとで見直したときに作った自分でさえわかりにくい、ということがよくあります。
そのため、あまりにもボリュームが多くなって理解しづらいと感じる時には、PowerPointで作るようにしています。
スライドで資料をまとめると、資料の中にストーリーとしての流れができて、流れがある方が聞く側も理解しやすくなります。
さらにスライドごとにタイトルがあり、タイトルに関連する内容がスライド1枚に納まるよう簡潔にまとまります。
スライド1枚あたりの情報量が絞られますので、説明を受ける人も理解しやすくなります。
とはいえ、PowerPointで資料を作ると時間がかかるのも事実ですので、資料作成にかける時間と理解のしやすさの向上とを比較しながらいつも判断しています。
仮にExcelやWordで資料を作るときであっても、PowerPointで資料を作るときと同じように
- 資料は理解しやすい流れに沿って上から順に作られているか
- ひとつの項目(見出し)に内容を詰め込みすぎていないか
といった点は注意するようにしています。
伝え方に正解はなし、常に改善策を探す
税金についての説明をする際に、最近気をつけている3つのポイントについてまとめました。
今の私のやり方が絶対的に正しいものとは思っていませんし、今後もいろいろと改善していくことになるでしょう。
今後も「ここまでできれば完成だ」ということはなくて
「より良い説明の仕方はないか?」
と常に模索していくことになりそうです。
投稿者
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大学卒業後、大手上場企業に入社し約19年間経理業務および経営管理業務を幅広く担当。
31歳のとき英国子会社に出向。その後チェコ・日本国内での勤務を経て、38歳のときスロバキア子会社に取締役として出向。30代のうち7年間を欧州で勤務。
40歳のときに会社を退職。その後3年で税理士資格を取得。
中小企業の経営者と数多く接する中で、業務効率化の支援だけではなく、経営者を総合的にサポートするコンサルティング能力の必要性を痛感し、「コンサル型税理士」(経営支援責任者)のスキルを習得。
現在はこのスキルを活かして、売上アップ支援から個人的な悩みの相談まで、幅広く経営者のお困りごとの解決に尽力中。
さらに、商工会議所での講師やWeb媒体を中心とした執筆活動など、税理士業務以外でも幅広く活動を行っている。
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