業務フローを見直す際のポイントはいろいろありますが、今回は「シームレス」という観点で考えてみたいと思います。

業務フローを見直す際のポイントは?

仕事をしていて

「段取りが悪い」

「スムーズに流れている気がしない」

と感じるのであれば、業務フローを見直すべきサインです。

「忙しいから」とこうした状況を放置していると、業務の度にストレスを感じることになりますので、早急に見直しをした方がトータルでみれば時間もストレスも減らすことができます。

こうしたケースでの業務フローの見直しについてのポイントは

「シームレス」

です(横文字ばかり使ってカッコ良く書くつもりはないのですが・・・)。

シームレスとは「継ぎ目がない状態」のこと。

業務フローにおいて継ぎ目がない状態とはどういうことか、確認してみましょう。

継ぎ目の多い仕事とは

継ぎ目のない状態を理解するために、まずは「継ぎ目の多い仕事」とはどんなものか考えてみましょう。

例えば、ネットバンキングなどが普及する前の振込業務。

手順としては

請求書を受け取る
→ 郵便物を開封する
→ 請求金額に間違いがないかチェックする
→ 通帳・印鑑を準備する
→ 銀行に移動する
→ 銀行窓口で振込手続きをする
→ 会社に戻る

という流れになっていた会社が多いのではないでしょうか。

これがネットバンキングを導入したあとは

請求書を受け取る
→ 郵便物を開封する
→ 請求金額に間違いがないかチェックする
→ 自席にてネットバンキングにて振込手続きをする

と変わりました。

業務フローにおける「継ぎ目」とは、ここでいう「→」が該当します。

「振込をする」という目的を達成するまでにやらなければならない手順が多ければ多いほど、業務フローにおける「継ぎ目」が多いということです。

ネットバンキングを導入することで「→」の数が6つから3つに減りましたので、以前の業務フローよりもシームレスな業務フローとなりました。

今回は紙で請求書を受け取る前提でフローを検討しましたが、電子データで請求書を受け取れるようになれば

請求書をデータ受け取る
→ 請求金額に間違いがないかチェックする
→ 自席にてネットバンキングにて振込手続きをする

とさらに「継ぎ目」を減らせる可能性があります。

もう一つ別の例として、会計ソフトへの入力業務を考えてみましょう。

ネットバンキングとの自動連携や自動仕訳ルールがなかった頃は

銀行に行く
→ 通帳記帳する
→ 会社に戻る
→ 摘要を見ながら仕訳を考える
→ 会計ソフトに入力する

という流れでした。

通帳の摘要をみて瞬時に判断しながら会計ソフトに仕訳を入力できるという職人技ができる方もいますが、誰でもできることではありません。

これが銀行口座との連携や自動仕訳ルールを設定できるようになると

会計ソフトの同期ボタン押す
→自動仕訳ルールが適用された内容を確認して登録ボタンを押す

となります。

会計ソフトと銀行口座の連携については、セキュリティ上の理由などから「やりたくない」という方もいるかもしれません。

この場合には、ネットバンキングからダウンロードしたCSVファイルを会計ソフトにインポートするという方法になるかもしれませんが

ネットバンキングからCSVファイルをダウンロード
→会計ソフトにCSVファイルをインポートする
→自動仕訳ルールが適用された内容を確認して登録ボタンを押す

となり、先ほどのフローより「→」がひとつ増えてしまいます。

「継ぎ目のない」業務フローという観点からは、銀行口座と直接連携した方が、よりよいフローということになります。

妥協すべきケースはあるものの…

業務フローを検討する際には「継ぎ目」が少ない方がよい、という話をしました。

「継ぎ目」ができるだけ少ない方が理想ではあるのですが、様々な理由で理想通りにできないケースもあります。

そうした場合であっても、ベストではなくても現状できうる限りの見直しはやるべきです。

今の業務フローよりも「→」の数が減るのであれば、それだけ流れやすいフローになるということ。

「理想はこうなんだけど・・・」という点は理解しつつ、現実的な対応を行うことも業務を見直す上では欠かせません。

業務をする中で「なんかスッキリ流れていない」と感じるようであれば、業務フローを一度きちんと書いてみてはいかがでしょうか。

「→」の多さにビックリするようであれば、その数を減らせないか見直してみませんか。

投稿者

加藤 博己
加藤 博己加藤博己税理士事務所 所長
大学卒業後、大手上場企業に入社し約19年間経理業務および経営管理業務を幅広く担当。
31歳のとき英国子会社に出向。その後チェコ・日本国内での勤務を経て、38歳のときスロバキア子会社に取締役として出向。30代のうち、7年間を欧州で勤務。

40歳のときに会社を退職。その後3年で税理士資格を取得。

中小企業の経営者と数多く接する中で、業務効率化の支援だけではなく、経営者を総合的にサポートするコンサルティング能力の必要性を痛感し、「コンサル型税理士」(経営支援責任者)のスキルを習得。

現在はこのスキルを活かして、売上アップ支援から個人的な悩みの相談まで、幅広く経営者のお困りごとの解決に尽力中。