プログラミング入門用の「ルビィのぼうけん」という絵本を読んで、専門家として相手の疑問をきちんと解消するような回答をすることの重要性について考えてみました。

「ルビィのぼうけん」を読んで考えたこと

先日とあるインタビューを聞いていて、「ルビィのぼうけん」(リンダ・リウカス著、翔泳社)というプログラミング入門用の絵本のことを知りました。

小学校の授業で考え方が取り入れられているケースもあるとのことで、少し気になって読んでみたのですが、

「入門ってこうやって導いていくんだ」

と気付かされる内容でした。

例えば、ルビィはお父さんが隠した宝石を探すのですが、途中でペンギンに何か知らないか聞いてみても、期待した答えが返ってこない。

そこでルビィは気付きます

なるほど、ペンギンたちにしつもんするときは、もっとくわしく、こまかく言わないといけないようです。もういっぺん、やりなおし。

と。

これって、コンピューターに何かしてもらおうと思ったら、コンピューターが理解できる言葉で指示をしないといけないということを、物語のなかで説明しているわけです。

こんな風に考え方を事前に学んでおくと、実際にプログラムを書こうとするときに、

「どうしてコンピュータはプログラムが一文字でも間違うと動かないの?」

といった疑問を抱いたとしても、答えがすでに自分の中にインプットされていてとっつきやすいはず。

また、物語の最後に「自分でやってみよう」というアクティビティがあります。

こどもが親と一緒にやってみることで、プログラミングの基本的な考え方を学ぶことができるようになっています。

自分のこどもが小さい頃にこの本があれば一緒にできたのに、と思います。

改めて、何かを学ぶときに良質な入門書って大事だと気付かされる内容でした。

「どうして?」に対する納得の仕方でその後の行動は変わってくる

ところで、この本の最初の登場人物の紹介のところで、ルビィについて

すきなことば 「どうして?」

とあります。

新しいことを学ぼうとするときに、「どうして?」という疑問はたくさん湧き上がって来ますが、専門的な話についても同様に「どうして?」はたくさん出てくるものです。

例えば、経理や税金に関する内容もそのひとつかと思います。

仕事柄こうした内容について説明することは多いですが、自分自身は毎日のように触れているものであるため、自分の中でついつい「当たり前」と思ってしまう部分が日々増えてきます。

ところが、その感覚のまま説明をしてしまうと、たとえ相手が経営者であっても、

  • 「どうして試算表をタイムリーに作らないといけないんだ?」
  • 「どうして経営数値をきちんと管理しないといけないんだ?」
  • 「どうして税金をきちんと払う必要があるんだ?」

などなど疑問が山のように湧いてくることになります。

忙しいとこうした部分の説明をついつい後回しにしてしまいますが、こうした「どうして?」についてはきちんと解消していかないと、結局はそのあとの行動につながりません。

だから専門家として、経営者の「どうして?」に対して、できるだけ納得できるような回答を準備することが重要です。

その回答を聞いて納得してもらうためにも、専門家としては知識を増やすとともに、理解しやすい説明をするための工夫・努力というのを続けていく必要があります。

疑問点でつまづいたら、戻るようサポートすることも大事

結局、新しいことを学んだり、何らかの行動に繋げたりするときには、こうした「どうして?」に対する理解や納得が大事です。

疑問を持ったところで納得できずにつまずいてしまうと、そのあとすべて

「なぜやっているのかわからない」

ということになってしまい、うまくいかなくなってしまいます。

プログラミングを教える人であれば、経営をサポートする仕事であれ、「どうして?」でつまずいている人がいれば、そこに戻って納得できるよう手助けすることも大事なんだろうと。

そんなことを考えさせられた本でした。

プログラミングに興味はあるけど、何から始めていいかわからない方がいらっしゃいましたら、考え方を知るための本として一度読んでみてはいかがでしょうか。

プログラムの書き方などは一切出てきませんので、気軽に読むことができます。

ちなみにこの本の登場人物、

ルビィ(Ruby) 、ペンギン、雪ひょう(Snow leopard) 、ロボット(緑色)、ヘビのペットのパイソン

などなどこうした分野に詳しい方が読むと、思わず「ニヤリ」としてしまうものばかりです。

投稿者

加藤 博己
加藤 博己加藤博己税理士事務所 所長
大学卒業後、大手上場企業に入社し約19年間経理業務および経営管理業務を幅広く担当。
31歳のとき英国子会社に出向。その後チェコ・日本国内での勤務を経て、38歳のときスロバキア子会社に取締役として出向。30代のうち、7年間を欧州で勤務。

40歳のときに会社を退職。その後3年で税理士資格を取得。

中小企業の経営者と数多く接する中で、業務効率化の支援だけではなく、経営者を総合的にサポートするコンサルティング能力の必要性を痛感し、「コンサル型税理士」(経営支援責任者)のスキルを習得。

現在はこのスキルを活かして、売上アップ支援から個人的な悩みの相談まで、幅広く経営者のお困りごとの解決に尽力中。