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仕事をしている限りはミスはどうしても起きてしまいます。特にひとりで仕事をしている場合に、こうしたミスを外部に流出させないためには何をすべきか、そんなことを考えてみました。

ひとりで仕事をしているとどうしてもミスは起きるもの

税理士という仕事をひとりでやっていると、作成した申告書や税務に関する判断を誰かがチェックしてくれるわけではありません。

そのため計算ミス・判断ミス・勘違いなど、いろいろなミスが生じてしまうことはどうしてもあります。

先日も、たまたま税法の通達を眺めていたら、とある事例で見落としていたポイントがあることに気付きました。

致命的なミスではありませんでしたが、こうしたことに気付いたときはやはりヒヤッとします。

人間がやることである以上、ミスはどうしても発生しますが、申告書であれば提出する前に、税務判断であればお客さまに伝える前になど、そうしたミスを発見し、外部に流出させないための仕組みを仕事の中に組み込む必要があります。

ミスを避けるために注意している3つのこと

ではミスを外部に流出させないために何ができるか?普段から気をつけていることを3つ挙げておきたいと思います。

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時間を空けてからダブルチェックを行う

ダブルチェックを行うというのは多くの方がされていると思いますが、大事なのは時間を空けて行うことです。

人間は不思議なもので、自分が作った資料であっても、時間が経ってから見るとまるで他人が作成したような資料に感じることがあります。

数日前に自分で作成した資料を再度チェックすると

「なんでこんなミスしたのかな?」

と思うようなミスが見つかる経験は皆さんもお持ちではないでしょうか。

そのため、

  • 資料を作成して、大まかなチェックをする(1回目のチェック)
  • 資料作成の数日後に、細かくチェックする(2回目のチェック)
  • 提出前に、ざっと資料を眺める

という風に、最低2回のチェック+提出前の軽い確認をするようにしています。

意外と提出前の俯瞰的な確認でミスが見つかることもありますが、大事なのは、それぞれのチェックの間に最低1晩以上空けることです。

一度眠って間隔をあけることで、前回チェックした視点とは別の視点からチェックすることができるため、他人の目によるチェックに近い形でダブルチェックを行うことができます。

もちろんこうしたチェックをするためにも、余裕を持ったスケジューリングが欠かせません。

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チェックリストを作る

よく言われることですが、やはりチェックリストは作成しています。

特に過去にミスしたこと、ミスしそうになったことはチェックリストに都度加えていきます。

例えば申告書のチェックであれば、1年前に自分がチェックしたことを現在の自分がすべて記憶している保証はありません。

仮に昨年チェックした内容のメモを残していたとしても、チェックリストという形で体系的にまとめておかないと、チェックすべき項目を漏らしてしまったり、チェックすべき項目が何だったか確認するというムダな作業が発生する可能性があります。

過去の自分から将来の自分への引継として、チェックリストを作成しています。

先ほどのチェックのタイミングでいえば、2回目のチェックの際にこうしたチェックリストを使用します。

判断のもととなる資料を判断の都度確認する

普段遭遇しないような事例について判断するとなると、その根拠となる考え方の細かい部分まできちんと覚えていないことが多いです。

「確かこんな通達・判例・資料なんかがあったはずなんだけどな」

という感覚はあるものの、その内容をすぐに思い出せるほどの記憶力は残念ながら私にはありません。

そのため、そうした場合には、面倒でも元資料をきちんと確認してから判断することにしています。

とはいえ、あまり処理したことのない事例などであれば、根拠を確認せざるを得ないことも多く、あまり問題にはならないかもしれません。

それ以上に怖いのが、普段何気なく判断している内容について勘違いしているケースです。

自分が正しいと思い込んでしまっていることを疑うのはなかなか難しいものです。

この対策としては、自分の勘違いに気付く機会を増やすよう心がけています。

例えば

  1. 申告書のチェックや税務判断をする際に、少しでも気になることがあれば、根拠を確認する
  2. 普段から税務雑誌などに目を通して、自分の理解と違う点がないか確認する

といったことを行っています。

しかし実際にはこうした確認作業は時間をとられますので、特に1についてはスキップして手抜きしたいという誘惑に駆られることが多いです。

この誘惑を仕組みで断ち切るのはかなり難しく、精神論になってしまいますが、

「自分の常識は本当に正しいか?」

という意識をほんの少しだけですが、常に持つように気をつけています。

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ミスを避けたかったら組織で働くべき?

ひとりで仕事をする際のミスの発見方法について書きましたが、

「ひとりで仕事すると自分で何回もチェックしないといけないし、ミスしたときの責任も全部自分になってしまうから、組織で働く方がいい」

と思う方もいるかもしれません。

でも、この考え方って怖いんですよね。全員がこう思ってしまうと、組織としてのチェック機能も働かなくなってしまいます。

「誰かがチェックしてくれているはず」という甘えは、必ず不十分なチェックにつながり、結果的にミスにつながります。

組織だからきちんとチェック機能が働くとも言い切れないわけです。

だとすると、ミスを避けることができるかどうかは、ひとりか組織かではなく、あくまで一人一人の個人の意識・姿勢の問題となります。

なのでひとりであってもきちんと仕組みを作っていけば、ミスは最大限に減らせるはずと思ってます。そう信じて仕組みを常にアップデートしていくことが大事ですね。

逆に怖いのは「ミスなんか起きるわけない」という慢心なんでしょうね。「ミスしたらどうしよう」と思っている間はまだ大丈夫じゃないかと。

自戒を込めて、気をつけて仕事したいと思います。

投稿者

加藤 博己
加藤 博己加藤博己税理士事務所 所長
大学卒業後、大手上場企業に入社し約19年間経理業務および経営管理業務を幅広く担当。
31歳のとき英国子会社に出向。その後チェコ・日本国内での勤務を経て、38歳のときスロバキア子会社に取締役として出向。30代のうち7年間を欧州で勤務。

40歳のときに会社を退職。その後3年で税理士資格を取得。

中小企業の経営者と数多く接する中で、業務効率化の支援だけではなく、経営者を総合的にサポートするコンサルティング能力の必要性を痛感し、「コンサル型税理士」(経営支援責任者)のスキルを習得。

現在はこのスキルを活かして、売上アップ支援から個人的な悩みの相談まで、幅広く経営者のお困りごとの解決に尽力中。

さらに、商工会議所での講師やWeb媒体を中心とした執筆活動など、税理士業務以外でも幅広く活動を行っている。
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