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中小企業もデジタル化しないと生き残れないといった話がありますが、あまり難しく考えずに身の回りのことから始めてみませんか、というお話です。

キャッシュレスもDX?

前回キャッシュレスの進め方についてまとめましたが

「たかがキャッシュレスを進めたくらいで、会社の仕組みは大きく変わらないのでは」

と感じる方もいるかもしれません。

個人的には

キャッシュレス=現金のデータ化

と捉えていて、大げさな言い方をすれば「キャッシュレスもDX」と考えています。

今まで手元で現金として「現物」を扱っていたものが、データに置き換わる。

データに置き換わることにより、現物があった故の制約(数える、保管する、持ち運ぶなど)がなくなり、扱いやすくなります。

さらに現金をなくすために仕事のやり方を変える必要がありますので

「業務を進める上で現金にこだわる必要はない」

といったように考え方も変わってくる。

このように「たかが現金をなくすだけ」でも、いろんな効果が期待できると考えています。

「中小企業にはDXなんて関係ない」ではもったいない

新聞やネットの記事を見ていると「DX」「デジタル化」などの言葉を目にする機会が多いですが、事例などは圧倒的に大企業のものが多いです。

経済産業省は中小企業にもDXが必要と考え

デジタルガバナンス・コード実践の手引き

といった資料などで中小企業の事例についても紹介していますが、なかなかここまで取り組める会社は少ないというのが実態ではないでしょうか。

成功事例というのは往々にして凄すぎて、それを見ても

「ウチには関係ない。そんなことできるわけない。」

と受け止めてしまうものです。

とはいえこれだけ世の中に安価で便利なツールが増えてきている中、何もしないというのは、あまりにももったいないです。

せっかく会社をよくできる機会や可能性があるのに、みすみす逃してしまっていることになります。

そこで手始めにお勧めしたいのが

「周りのものをデータ化する」

という取組です。

具体的には

  • キャッシュレスにより、現金を通帳上のデータに変える
  • ネットバンキングを契約して、通帳上の入出金をデータに変える
  • 現金がなくせないのなら、せめて金銭出納帳を手書からExcelに変えることでデータに変える

といったことが挙げられます。

「その程度のこと、とっくにやってるよ」という方であれば、身の回りの業務の中で紙などでやりとりしているものをデータに置き換えられないか見直してみてはいかがでしょうか。

今まで電話でやりとりしていたものをメールやチャットに変えることも、ここでいう「データ化」のひとつです。

データに置き換えることにより、取扱いが簡単になりますので、そこからさらなる改善のアイデアが出てくる可能性が高くなります。

もちろん身の回りの業務をデータに置き換えたとしても

「そうしたデータを大量に集めて、そこから新たな事業を興して・・・」

という本来言われているようなDXにいきなりたどり着く可能性は低いですが、あまり難しく考えずに始めてみることで、データを扱うことのノウハウを得られます。

データ化することに慣れてくれば

「このツール使えばもっと便利になるのでは」

「仕組みをこう変えればもっと効率が上がるのでは」

といったことが見えてくるものです。

ただ、この「データ化」をする際にひとつ気をつけて欲しいのは

「書類をスキャンしてPDFにしても意味はない」

という点です。

物理的な保管場所の削減や場所を選ばずに閲覧できるといった効果はありますが、データを活用してさらに便利な仕組みをつくることにはつながりませんので注意が必要です。

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仕組みを変える前後のリスクを冷静に判断する

今までと違うことを始めようとすると、不安を感じることも多いでしょう。

特に

「手元に現金がないといざというときに困る」

「ネットバンキングで情報が漏れたらどうするんだ」

など、やり方を変えることにより生じるリスクを心配されるケースがあります。

この点については、新たに生じるリスクへの対策をきちんと検討いただき、対策のためのコストが大きすぎるということであれば、現状のままにするという判断もあり得るでしょう。

ただ、現状を変えたくない理由として

「あれが問題だ、こんな問題が生じる」

と問題点ばかり挙げることは避けるべきです。

事業を行う以上、リスクは常にあります。

現金を扱っていれば盗難のリスクはありますし、ネットバンキングを使わずに通帳で管理するにしても、通帳の盗難・紛失リスクは当然あります。

現状のリスクには目を向けずに、変更後のリスクだけを問題にするのでは正しい判断ができません。

もしも

「今のやり方で問題なく回ってるんだから、無理にデジタル化なんて必要ない」

とお考えであれば、ほんの一部の業務だけでも試しにデータに置き換えてみませんか。

現状を少し変えることで見えてくるものがきっとあるはずです。

投稿者

加藤 博己
加藤 博己加藤博己税理士事務所 所長
大学卒業後、大手上場企業に入社し約19年間経理業務および経営管理業務を幅広く担当。
31歳のとき英国子会社に出向。その後チェコ・日本国内での勤務を経て、38歳のときスロバキア子会社に取締役として出向。30代のうち、7年間を欧州で勤務。

40歳のときに会社を退職。その後3年で税理士資格を取得。

中小企業の経営者と数多く接する中で、業務効率化の支援だけではなく、経営者を総合的にサポートするコンサルティング能力の必要性を痛感し、「コンサル型税理士」(経営支援責任者)のスキルを習得。

現在はこのスキルを活かして、売上アップ支援から個人的な悩みの相談まで、幅広く経営者のお困りごとの解決に尽力中。
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