2022年3月の確定申告期限直前に起きたe-Taxのトラブルにより期限通り申告できなかった方が、申告期限を延長する場合に注意すべき点を確認しておきましょう。
確定申告期限の直前にe-Taxが不調に
所得税・贈与税の確定申告期限の直前である2022年3月14~15日にかけて、e-Taxで断続的に接続障害が発生し、ログインできない等のトラブルが発生しました。
ネット上でも多くの納税者や税理士などの方の「困った!」という声を見かけました。
この障害を受けて国税庁より
などの資料が公表され、e-Taxの接続障害により期限までに申告書を提出できなかった方は、申告期限を個別に延長できることとなりました。
今回は、この個別延長について注意すべき点などを確認しておきましょう。
まず、FAQに記載されている主な内容は以下の通りです。
対象期間 | 令和4(2022)年3月14日から3月18日に期限が到来する申告・届出・申請などが対象(更正の請求や所得税の青色申告承認申請なども対象となります) |
延長期限 | 令和4(2022)年4月15日まで申告・納付期限を延長できる |
適用方法 | 延長を受ける場合には、所定の欄に「e-Tax の障害による申告・納付期限延長申請」とコメントを書いてe-Taxで提出する |
許可の通知 | この方法で個別延長した場合には、税務署から期限延長を許可するといった通知は来ない |
訂正申告の取扱い | 確定申告書提出済みの方で、訂正した申告書を提出しようとして、e-Taxの接続障害により提出できなかった方も、同様の方法で期限延長が可能 |
振替納税による振替日 | 令和4年5月31 日(火)(所得税) |
所定の欄への「e-Tax の障害による申告・納付期限延長申請」の記載方法については、
申告所得税、贈与税の申告・納付期限の個別指定による期限延長手続の具体的な方法
にてご確認ください。
注意事項として、令和4(2022)年3月14日から3月18日に期限が到来する申告が今回の対象であるため、例えば令和2(2020)年の申告書を提出しようとしていてe-Taxの接続障害により提出できなかった場合には、今回の延長の対象とはなりません。
また、3月15日に申告書を送信したものの、受信通知の日付が3月16日以降となっていたというケースもあるかもしれません。
この場合には、4月15日までに「e-Tax の障害による申告・納付期限の延長申請」と記載した申告書を、再度 e-Tax で送信すれば期限内に提出があったものとされますので、念のため受信通知の日付を確認されることをオススメします。
所得税で青色申告控除65万円を受けている方は要注意
【2022年3月23日追記】
2022年3月22日付けで「e-Tax の接続障害に伴う 65 万円の青色申告特別控除の取扱いについて」が更新され
※ 令和 4 年 3 月 14 日(月)又は 15 日(火)に、65 万円の青色申告特別控除を適用する申告書を e-Tax で提出しようとしたものの、今回の接続障害のために、当該申告書(65 万円の青色申告特別控除を適用する申告書)を書面に印刷して提出した方は、改めて当該申告書を e-Tax で再提出していただく必要はありません。
という文章が追加されました。
要するに
- 3月14日又は15日に青色申告特別控除65万円を適用した所得税申告書を電子申告で提出しようとした
- e-Tax接続障害により3月14日・15日に提出できず、国税庁の呼びかけに応じて急遽書面提出に切替えた
- 書面で提出した所得税申告書において65万円の青色申告特別控除を適用している
のすべてを満たす方は、改めて電子申告で所得税申告書を提出する必要はないということになります。
この後の記事内容については、2022年3月20日時点の情報を元にまとめており、かつ投稿時のままとしておりますので、その点ご注意の上お読みください。
【追記ここまで】
所得税の申告で事業所得や不動産所得があり、青色申告特別控除として65万円の控除を受けている方は他にも注意すべき点があります。
令和2(2020)年からは65万円の控除を受ける条件として
- e-Taxで確定申告書を提出する
- 電子帳簿保存を利用
のどちらかを満たさなければなりません。
この点を満たさない場合、青色申告特別控除は55万円になります。
令和3(2021)年分までの申告については、電子帳簿保存を利用するには事前に税務署長の承認を得る必要があり、個人事業主でここまでされている方はほとんどいないと思われます。
そのため65万円控除を受けようとする方のほとんどは、電子申告で確定申告書を提出することが必須となります。
※青色申告特別控除に必要な条件については、以下の国税庁のパンフレットなどをご参照ください。
e-Tax 又は電子帳簿保存を行うと65 万円の青色申告特別控除が受けられます
今回のe-Taxの障害に伴い、国税庁からの呼びかけに応じて、書面で確定申告書を提出してしまった場合、そのままでは65万円控除を受けられません。
この場合には、書面の申告書とは別に「e-Tax の障害による申告・納付期限の延長申請」と記載した申告書を4月15日までにe-Taxで提出する必要があります。
対象となる方にとっては
『「書面で出せ」というから期限に間に合うよう書面で出したのに・・・』
という不満はあるかと思いますが、対応しないと損をするのはご自身です。
面倒ではありますが、期限までにご対応ください。
この内容については
e-Tax の接続障害に伴う 65 万円の青色申告特別控除の取扱いについて
にて詳細の説明がされていますので、必要な方はご確認ください。
消費税を申告・納税している場合の注意点
所得税だけでなく消費税の確定申告書も提出されている方は、さらに注意すべき点があります。
所得税・消費税ともに申告されている方は、恐らく同時に提出されているケースが多いのではないでしょうか。
ところが、もともと所得税(3月15日)と消費税(3月31日)では申告・納税期限が異なります。
今回個別延長の対象となるのは
「令和4(2022)年3月14日から3月18日に期限が到来する申告等」
とされているため、もともと申告・納税期限が3月31日である消費税は対象とはなりません。
そのため消費税の申告については、期限は以下のようになります。
- 申告・納税期限:令和4(2022)年3月31日
- 振替納税:令和4(2022)年4月26日
つまり、今回のe-Tax障害の対象となる方で消費税の申告も必要な方については、消費税については3月31日までに提出しなければなりません。
所得税と同様に期限延長が可能と勘違いしてしまうと、消費税だけ期限後申告となってしまいますのでご注意ください。
ここまでe-Taxの接続障害に伴う個別延長の注意点について確認しましたが、ご自身の状況により注意すべき点は異なります。
対応が漏れた場合に不利益を被るのは自分自身ですので、国税庁からの資料をご確認いただき、ぜひ必要な対応を取っていただければと思います。
投稿者

- 加藤博己税理士事務所 所長
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大学卒業後、大手上場企業に入社し約19年間経理業務および経営管理業務を幅広く担当。
31歳のとき英国子会社に出向。その後チェコ・日本国内での勤務を経て、38歳のときスロバキア子会社に取締役として出向。30代のうち7年間を欧州で勤務。
40歳のときに会社を退職。その後3年で税理士資格を取得。
中小企業の経営者と数多く接する中で、業務効率化の支援だけではなく、経営者を総合的にサポートするコンサルティング能力の必要性を痛感し、「コンサル型税理士」(経営支援責任者)のスキルを習得。
現在はこのスキルを活かして、売上アップ支援から個人的な悩みの相談まで、幅広く経営者のお困りごとの解決に尽力中。
さらに、商工会議所での講師やWeb媒体を中心とした執筆活動など、税理士業務以外でも幅広く活動を行っている。
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