説明のための資料を作るケースはみなさん多いのではないでしょうか。せっかくがんばって作ったのに、「何かよくわからない」と言われた経験をお持ちの方も多いのでは?今回は年調ソフトを例に、「見やすい資料」について考えてみましょう。

まるで新入社員が作ったような年調ソフトの印刷物

今年から国税庁より提供されている「年調ソフト」。

年末調整を電子化するためのツールですが、先日使い勝手を確認するために試しに使ってみました。

事前に印刷物についての情報はあったので知ってはいたのですが、印刷した帳票の実物を見ての感想は「なに、この見にくい資料」。

例えば、年調ソフトを使わない場合の扶養控除等申告書は、次のようなフォーマットです。

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ところが、年調ソフトから印刷した扶養控除等申告書はというと・・・

最初の部分を抜粋しましたが、こんな感じで2ページにわたる書類が印刷されます。

これを見たときの印象は、

『新入社員がとりあえず資料作れと指示されてつくったものの、上司に見せたら「わかりにくい」と怒られて作り直すレベルの資料』

というものでした(わかりにくいたとえでスミマセン)。

もちろん、最終的には入力した内容をデータで渡して、会社側もそのまま取り込むことが目的のソフトなので、印刷物に力が入っていないことは理解しています。

ただ、国税庁のパンフレットなどでは、保険料控除額などが自動で計算されるため、紙で運用する場合でも、年末調整はラクになるといった旨の説明がされています。

しかしながら、給与担当者がこの紙を受け取った場合、給与ソフトへの入力に苦労しないかどうか。

従来のフォーマットであれば、必要な情報がどこにあるかすぐにわかると思いますが、このように単なる情報の羅列といった形で渡されると、必要な項目を見つけるのに一苦労するのではないかと。

結果として、給与担当者の入力にかかる時間が増えて、トータルではラクにならないのではないかと心配しています。

そう考えると、「見やすい資料」というのは、それだけで大きな価値を持つということが、改めて理解できます。

そこで今回は、「見やすい資料」って一体何?ということについて考えてみたいと思います。

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「見やすい資料」の条件とは?

「見やすい資料」と一言でいっても、状況に応じて必要な条件は変わってくるでしょう。

とはいえ、先ほどの年調ソフトの印刷物から、条件として重要となる点を見つけることは可能です。

具体的には、

  1. 配置(レイアウト)
  2. 強弱
  3. 従来の資料との連続性

といった点を挙げることができます。

配置(レイアウト)

先ほどの印刷物では、「提出及び本人に関する情報」「源泉控除対象配偶者」といった区分はされているのですが、とにかく情報を順番にすべて並べているだけの状態です。

そのため、「勤労学生」といったほとんどの方が使用しない項目も、他の項目と同列に扱われています。

見やすい資料にするための工夫としては、例えばよく使う情報だけを取り出して、最初に概要やサマリーという形で表示させる方法が考えられます。

こうすることで入力担当者が、最初に概要欄を見ながら入力して、それで不足する情報だけを、詳細欄から探すことができます。

受け取った相手が使いたい・知りたい情報が、わかりやすい位置に配置されているか、これが「見やすい資料」の一つの条件でしょう。

強弱

白黒の書類なのでやむを得ない部分はありますが、先ほどの印刷物では、すべての情報が同列に扱われています。

先ほど挙げたような概要欄が作れないのであれば、主に使用する情報について太線にするとか網掛けをするという工夫は可能です。

こうすることで、使う人が必要な情報を探す際に、見つけやすくなります。

受け取った相手が使いたい・知りたい情報を、見つけやすくするための工夫がされているか、これも「見やすい資料」の一つの条件と考えます。

従来の資料との連続性

最終的に電子化することを目的としているため、従来の資料との連続性は一切考慮されていませんが、紙の書類を使う移行期においては、従来の資料との連続性にも配慮が必要と考えます。

使い勝手が悪い資料を改善するために、大胆な変更が必要なケースもありますが、過去から長きにわたって使われてきた資料であるほど、従来の表示方法との連続性にも配慮が必要かと。

そうしないと、使う人はどこに必要な情報があるかわからず、戸惑いを覚えることになります。

使う側が従来の資料に慣れているケースでは、こうした点に配慮することも「見やすい資料」の条件と一つといえるでしょう。

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相手に対する配慮が仕事をスムーズにする

「年調ソフト」から出力された印刷物をもとに、「見やすい資料」の条件について考えてみました。

もちろん「見やすい資料」の条件は、その資料を使う人によって異なってくるものです。

とはいえ、大事なのは、「その資料や書類を使う人がどのように感じるか」という点に配慮をすることではないでしょうか。

こうした気遣いができれば、相手は無意識のうちに「この人とは仕事がしやすい」と感じてもらえるものです。

その結果として、自分の仕事がスムーズに進むこととなります。

なので自分の仕事をスムーズにするためにも、人に見せる資料を作る際、見る人がどう感じるか少しだけ想像してみる、ということをオススメします。

投稿者

加藤 博己
加藤 博己加藤博己税理士事務所 所長
大学卒業後、大手上場企業に入社し約19年間経理業務および経営管理業務を幅広く担当。
31歳のとき英国子会社に出向。その後チェコ・日本国内での勤務を経て、38歳のときスロバキア子会社に取締役として出向。30代のうち7年間を欧州で勤務。

40歳のときに会社を退職。その後3年で税理士資格を取得。

中小企業の経営者と数多く接する中で、業務効率化の支援だけではなく、経営者を総合的にサポートするコンサルティング能力の必要性を痛感し、「コンサル型税理士」(経営支援責任者)のスキルを習得。

現在はこのスキルを活かして、売上アップ支援から個人的な悩みの相談まで、幅広く経営者のお困りごとの解決に尽力中。

さらに、商工会議所での講師やWeb媒体を中心とした執筆活動など、税理士業務以外でも幅広く活動を行っている。
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