自分の仕事について上司など注意してくれる方がいればいいですが、そうでなければ抜け・モレが起きないよう自分で注意を促す必要があります。そのために、落ち着いて見直す機会を持つことの重要性について考えてみましょう。
決算での抜け・モレを防ぐためにやっていること
税務についての判断ができるのが自分ひとりという状況で仕事をしていますので、抜け・モレを起こさないための仕組みについていろいろと考えています。
例えば決算処理での抜け・モレがないようにするために、毎月月初に当月・翌月の決算処理について、業務や検討事項の抜け・モレがないか見直す時間を定期的な予定として確保しています。
こうした機会をきちんと持たないと、特に消費税関係の届出などを漏らしてしまうリスクがあり、最悪のケースでは賠償責任事案になりかねません。
だからこそ、「仕組みとして」「定期的に」「複数回」チェックするよう心がけています。
士業全般に言えることですが、専門家として仕事を受ける以上、雇われて働くケースと比較すると、ミスによる賠償責任のリスクはどうしても高くなります。
そのため「ミスを起こさない仕組み」については、人一倍気を遣う必要があります。
人が行う以上はミスの発生をゼロにすることはできませんので、ミスが起きる確率を下げるために、「仕組化」して、いかにしてミスを発見するかという方法を考えていく必要があるかと。
そこで今回は、ミスの原因の一つである仕事の抜け・モレを防ぐための対策について考えてみたいと思います。
やるべき仕事の抜け・モレをなくすためにできること
やるべき事を見落とさないという観点からは、ある程度気持ちを落ち着けた状態で、見落としがないかチェックする必要があります。
気持ちに余裕がない状態でチェックをすると、チェック自体の精度が落ちるという経験をされた方も多いのではないでしょうか。
また、日々仕事をしていく中で、雑用含めていろいろな仕事に追われていることが多いと思われますが、そのような状況の場合、注意しておかないと、
- そもそも事前にチェックすること自体を忘れてしまう
- 突然思い出してチェックしようとするが、他の仕事が気になって集中できない
- なんとかチェックはしたものの、やるべき仕事を見落としてしまう
といったことになりかねません。
そうしたことを避けるためにも、
- チェック・レビューをする日を事前に決めておく
- 決めた日時はカレンダーに定期的な予定として記入し、その時間は他の予定を入れない
- チェックすべき項目をチェックリストとして準備しておく
といった対応が必要です。
予定として決めておくことでチェック自体を忘れることがなくなりますし、そこに予定を入れないと決めておくことで時間をきちんと確保することができます。
さらに、チェックリストとして事前に準備しておくことで、その日の自分のコンディションによって、チェックの精度が変わってしまうリスクを減らすことができます。
ひとつひとつの対応はそんなに難しいものではありませんが、大事なのはこうしたことを自分の仕事をする上でのルールとして「仕組化」することです。
ミスを防ぐ仕組みをどれだけ持てるか
今回挙げた内容については、特に難しいものはありませんので、あとは自分の仕事の流れの中に組み込むかどうかだけです。
組織としてチェックする体制がないのであれば、ミスを防ぐための仕組みをどれだけ持てるか。
かける時間とのバランスを考慮する必要はありますが、可能な限り二重三重にチェックがかかるような仕事の流れ・仕組みを作るべきでしょう。
仕事をする中では、「ヒヤリハット」といわれるミスにつながりかねない事象は、どうしても起きます。
そうしたことが起きたときに、対策を仕組みとしてどれだけ組み込めるかにより、その後のミスの発生確率が変わってくるでしょう。
普段から今回のような内容を意識しつつ仕事をしていますが、正直なところそれでも
「どこかでミスを見落としているんじゃないか?」
という感覚は常にあります。
そんなことばかり考えていると気疲れしてしまうのですが、専門家として仕事を受け、ミスを起こさないためには、臆病なくらいでちょうどいいんじゃないかと。
これをお読みになった方も、抜け・モレをチェックするための時間をカレンダーに確保するところから始めてみてはいかがでしょうか。
投稿者
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大学卒業後、大手上場企業に入社し約19年間経理業務および経営管理業務を幅広く担当。
31歳のとき英国子会社に出向。その後チェコ・日本国内での勤務を経て、38歳のときスロバキア子会社に取締役として出向。30代のうち7年間を欧州で勤務。
40歳のときに会社を退職。その後3年で税理士資格を取得。
中小企業の経営者と数多く接する中で、業務効率化の支援だけではなく、経営者を総合的にサポートするコンサルティング能力の必要性を痛感し、「コンサル型税理士」(経営支援責任者)のスキルを習得。
現在はこのスキルを活かして、売上アップ支援から個人的な悩みの相談まで、幅広く経営者のお困りごとの解決に尽力中。
さらに、商工会議所での講師やWeb媒体を中心とした執筆活動など、税理士業務以外でも幅広く活動を行っている。
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