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緊急事態となると試算表などの経営数字の提出が必要となるケースが増えます。手間をかけずにできるだけ早く数字をまとめるためにも、クラウド会計の自動仕訳ルールはきちんと見直しておきましょうというお話です。

緊急事態に痛感する、経営数字をタイムリーに把握しておくことの重要性

新型コロナウイルスによる外出自粛などの影響により、事業に大きな影響を受けている方も多いと思います。

そうした方の中には、緊急融資や持続化給付金など融資・給付金・助成金などを受けるための準備をされている方も多いでしょう。

このような対応の際に提出を求められるのが、売上などの経営数字。

早く把握できれば、その分だけ申請等を早期に行うことができ、事業の継続に役立てることができます。

また、経営数字を把握しておくことのメリットはそれだけではありません。

仮に融資を申し込むとしても、月々どれくらいの出費があり、どの程度お金が必要か把握できていないと、手持ちの資金が何ヶ月持つのか判断することができません。

そうなると必要となる資金の金額がわからず、概算でお金を借りたものの、すぐに資金が底をついてしまうという可能性もあります。

平時はあまり意識することはないかもしれませんが、緊急事態になると、経営に関する数字をきちんと把握しておくことの重要性を痛感することとなります。

自動仕訳ルールは、一度作って終わりではない

とはいえ、

「毎日経理をしている時間がない」

「仕訳がよくわからないので、やる気が起きない」

と感じる方も多いでしょう。

そうした方こそ、クラウド会計ソフトなどで使われる「自動仕訳ルール」を活用されることをオススメします。

「自動仕訳ルール」というのは、銀行の入出金明細などの摘要からどのように仕訳を作成するか事前にルールを決めておき、実際の入出金などがあればそのルールに基づいて、(半)自動的に仕訳が作成されるものです。

この自動仕訳ルール、導入時にきちんとルールを整備しておかないと経理作業が全然ラクになりません。

例えば、「4ガツド デンキリョウ」といった摘要があるときに、このままルール設定すると、来年の4月まで自動仕訳ルールが適用されてません。

こうした場合には、「部分一致」というルールを使って「デンキリョウ」という摘要の一部分に対して仕訳を作成するようにする必要があります。

そして今回お伝えしておきたいのが、

「こうした自動ルールは、一度決めたからといって放置してはダメ」

という点です。

自動仕訳ルールについて注意すべき点として、

  1. 入出金データの摘要が提供側の事情で変更されて、自動仕訳ルールが機能しなくなる
  2. 登録した自動仕訳ルールがそもそも間違っている

があります。

1については、例えば先ほどの「4ガツド デンキリョウ」と全角で表示されていたものが、「4ガツド デンキリョウ」と半角に変更されてしまったり、「デンキリョウ」ではなく会社名に変更されたりすることがあります。

他にもAPI連携というより安全なデータ取得方式に変更した際に、入出金明細の摘要がそれまでとは変わってしまうケースなどがあります。

このような変更があった場合に、自動仕訳ルールを直さずに放置してしまうと、再度一から自動仕訳ルールを登録しなければなりません。

そんなとき、

「やはり経理は面倒だから後回し」

とは思わずに、少しだけ時間を使って、

  • 自動仕訳ルールの編集画面で一括で修正ができないか
  • 自動仕訳ルールをエクスポートして、Excelなどで一括して修正できないか

といったことを検討してみてください。

このような変更はそう頻繁にあるものではありません。

だからこそ、起きたときに一度だけ、手間を惜しまずにきちんと対処しておくことが重要です。

2については、そもそも自動仕訳ルールが間違っていて、仕訳が正しく登録されていないという可能性もあります。

間違った仕訳に基づいた経営数字では、正しい判断を行うことはできません。

そのため、仕訳が正しく登録されているか定期的にチェックすることが大事なんです。

こうしたチェックに自信がない方については、専門家に定期的なチェックを依頼することを検討されてみてはいかがでしょうか。

そうした取組が、早期にかつ活用できる経営数字の把握につながります。

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経理の仕事は日々の積み重ね、まとめてやるのは誰でも大変

経理という作業は、日々の積み重ねでしかありません。

税理士のような仕事をしていても、数ヶ月分や1年分をまとめて処理することは面倒に感じるものです。

普段から経営数字を把握して、対処すべき課題を明らかにするというのは大切ですが、そこまで求めていない方にしても、今回のように急遽必要となることも考えられます。

それまで何の準備もしていない状況で、急にできるようになることはありません。

なにごとも常日頃からどれだけ準備しているかで変わってきます。

今回の新型コロナウイルスの影響で、数字を把握しておくことの重要性に気付いたという方、経営数字を普段から把握するためにできることを検討されてみてはいかがでしょうか。

投稿者

加藤 博己
加藤 博己加藤博己税理士事務所 所長
大学卒業後、大手上場企業に入社し約19年間経理業務および経営管理業務を幅広く担当。
31歳のとき英国子会社に出向。その後チェコ・日本国内での勤務を経て、38歳のときスロバキア子会社に取締役として出向。30代のうち7年間を欧州で勤務。

40歳のときに会社を退職。その後3年で税理士資格を取得。

中小企業の経営者と数多く接する中で、業務効率化の支援だけではなく、経営者を総合的にサポートするコンサルティング能力の必要性を痛感し、「コンサル型税理士」(経営支援責任者)のスキルを習得。

現在はこのスキルを活かして、売上アップ支援から個人的な悩みの相談まで、幅広く経営者のお困りごとの解決に尽力中。

さらに、商工会議所での講師やWeb媒体を中心とした執筆活動など、税理士業務以外でも幅広く活動を行っている。
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