この時期になるとプレプリント申告書(税務署から紙で送られてくる住所等が印字済みの申告書)について書いた記事のアクセスが増えます。最新状況の確認と、あわせて納付書の送付や納付方法についても少し考えてみたいと思います。

プレプリント申告書が送られてくるのはどんな人?

現在は国税庁の確定申告書等作成コーナーで、申告書が作成できることもあり、税務署から紙の所得税申告書が送付されるケースはほとんどなくなっています。

最新の状況については、国税庁の下記ページに記載がありますが、

【国税庁】確定申告用紙に代えて「確定申告のお知らせ」はがきをお送りしています

無料相談会場の応援前の研修で税務署の方から受けた説明では、紙の所得税申告書が送付されてくるのは、前年に国税庁の確定申告書等作成コーナー等を使用せず、税理士にも依頼せずに、手書きの申告書を提出した方くらいのようです。

ご自宅で確定申告書等作成コーナーを利用して申告書を書面提出した方や、税務署の申告会場で申告書を提出した方には、「確定申告のお知らせ」はがき(または通知書)が送付されることになっていて、ここにe-Taxを利用するのに必要な情報や事前に支払った税額などが記載されています。

ちなみに、e-Taxを使って自分で電子申告をされた方や、税理士に電子申告をしてもらった方については、プレプリント申告書だけでなく、「確定申告のお知らせ」はがき(または通知書)も送付されてきません。

代わりに、「申告のお知らせ」というメッセージが、e-Taxのメッセージボックスに届きますので、そこで必要な情報を確認することになります。

プレプリント申告書がなくなっても、「申告のお知らせ」があるから平気と思っていたら・・・

電子申告が普及する前は、プレプリント申告書が送付されてきて、予定納税(事前に支払った税金)の額なども印字されていましたので、そこで確認をしていました。

ここ数年急速にプレプリント申告書が送付されなくなりましたが、電子申告に切り替え済みのお客さまについては、e-Taxのメッセージボックスに配信される「申告のお知らせ」に同様の情報が記載されていますので、特に不便も感じていませんでした。

ところが今年の1月から、この「申告のお知らせ」を見るために、納税者本人のマイナンバーカード(紙の通知カードではない、プラスチック製のもの)が必要になるという変更があったため、「申告のお知らせを税理士が確認できないじゃないか!」と、税理士界隈では話題になっていました。

この変更の詳細は、下記記事にまとめてあります。

環境に配慮するという観点から、紙の用紙の送付を減らすことには賛成ですが、別の流れとしてセキュリティ強化でメッセージボックスの閲覧制限という話が出てきたため、委任関係の設定とか余計な仕事が増えたなというのが正直な感想です。

管轄する役所が恐らく違うからだと思いますが、申告の実務の流れを無視してものごとが決まっている印象を受けます。社会全体のコストを下げるという観点からいえば、もう少し全体的な視点で検討をしてもらいたいと思います。

税金の納付をどうするか?納付書、ネットバンキング、クレカなど

確定申告をする際、還付を受ける方も多いと思いますが、納税が必要となる方にとっては納付をどうするかという問題もあります。

紙の納付書が送付される基準については、税務署の方から受けた説明では、
「今年も申告・納税が発生しそうな方で、下記以外の方に送付する」
とのことでした。

  • 振替納税またはダイレクト納付を利用している方
  • 前年に還付申告をされた方
  • 前年の申告税額が0円で、かつ前々年も申告税額0円または還付申告の方

所得税を毎年納税されている方であれば、納付書が送付されてくるので問題はないのですが、贈与税の場合いつ申告が発生するかわかりませんから、納付書は送付されてきません。

贈与税の申告書だけであれば、確定申告書等作成コーナーで作成できますが、納付の仕方については、現状であれば、

  • インターネットバンキング等による納付
  • クレジットカードで納付
  • QRコードを準備してコンビニで納付
  • 税務署に納付書を取りに行き、自分で記入して金融機関の窓口で納付

などの方法からどれを選ぶか決める必要があります。他にも振替納税やダイレクト納付という方法もありますが、振替納税は贈与税に対応していませんし、ダイレクト納付も事前に税務署への届出が必要となりますので、今回は割愛します。

電子申告をされている方であれば、インターネットバンキング等を使って納付する方法が最も手間がかからないでしょう。

クレジットカード納付はクレジットカードをお持ちの方には便利だと思いますが、手数料が発生することと専用サイトで手続きが必要なことの手間をどう考えるかです。

コンビニ納付は、金額の制限があることや結局コンビニに行く必要がありますので、その点が気にならなければ使ってみればよいのではないかと。

税務署に納付書を取りに行く方法は、個人的には面倒なのでやりたくないと感じるのですが、年配の方だとネットやクレジットカードを使いたくない、新しいやり方は試したくないということで、納付書で支払いたいという方も大勢いらっしゃいます。

この場合、納付書を税務署に取りに行くという手間が発生するわけですが、個人的な意見としては、いつまで複写式の納付書使うんだろうかと思います。

納付書は3枚綴りになっていますが、国税庁のホームページで1枚の紙に収まるように3部印刷できるようにして、3枚に切り取って使えるようにできれば、税務署に取りに行く手間も税務署で対応する手間も減るのですが、システム開発するコストが見合わないのか、こうした対応の話は全く聞きません。

税務署の方からは、振替納税やダイレクト納付の推奨を依頼されますが、紙の書類を事前に出さないといけないので、めんどくさいんです。銀行印の確認が必要なのでやむを得ないのですが、「これくらいならやってもいいかな」という気持ちにさせてくれるような仕組みになってほしいと願う今日この頃です。

余談ですが、インターネットバンキングでの納付に必要な情報があれば、ペイジー対応のATMでも納付できるわけですが、地元の信用金庫のATMでは使えなかったです。京都は信用金庫使ってる方多いので、この方法も勧められないとちょっとショックをうけました・・・。

投稿者

加藤 博己
加藤 博己加藤博己税理士事務所 所長
大学卒業後、大手上場企業に入社し約19年間経理業務および経営管理業務を幅広く担当。
31歳のとき英国子会社に出向。その後チェコ・日本国内での勤務を経て、38歳のときスロバキア子会社に取締役として出向。30代のうち、7年間を欧州で勤務。

40歳のときに会社を退職。その後3年で税理士資格を取得。

中小企業の経営者と数多く接する中で、業務効率化の支援だけではなく、経営者を総合的にサポートするコンサルティング能力の必要性を痛感し、「コンサル型税理士」(経営支援責任者)のスキルを習得。

現在はこのスキルを活かして、売上アップ支援から個人的な悩みの相談まで、幅広く経営者のお困りごとの解決に尽力中。