税務の専門家である税理士が、中小企業のITに関する相談相手になれるのか?そんなことを少し考えてみました。

中小企業白書のアンケートによると・・・

4月に発表された「2018年度版中小企業白書」に目を通していたのですが、意外だったのは「社外におけるITに関する事柄の日頃の相談相手」として、2番目に多かったのが、「公認会計士・税理士」という回答だったことでした(中小企業白書の第2-4-13図)。

私の少し偏見に満ちた見方では、「税理士=年代高め≒IT弱い」というイメージがあったので、多くの先生方はITについて相談されても「よーわかりません」で終わっていると思っていました。

もちろん、ITに強い若手(以外も含めた)税理士も大勢いらっしゃいますので、税理士が相談相手になり得えないという訳ではありません。

ただ、同白書の第2-4-3図「業務領域別のIT導入比率」を見ると、最も多いのが「財務・会計」です。

これって要するに、会計ソフトメーカーから「IT導入補助金活用しませんか?」とか「ソフト売ってもらえれば、手数料お支払いしますよ」ということで、税理士が窓口になっているだけではという疑問が・・・。

税理士がソフトメーカーの窓口となって、ITツールを導入すること自体を否定するつもりはありませんが、ただ本当に中小企業が活用できるような形で、ITツールが導入されているのか少し心配になります。

ITツールを導入する際に気をつけるべきこと

なぜこのような心配をするかといいますと、私見ではありますが、ITツールを導入する際にもっとも気をつけるべきことは、「事前に」「ITツールに合わせて」「対象となる仕事の流れを見直す」ことだと考えているからです。

大企業であれば、現在の業務の流れに合わせたカスタマイズされたITツールを、お金をかけて開発することも可能です。

一方で資金的に厳しい中小企業では、ITツールを導入するとなれば、通常は完成品である市販のITツールを導入することになります。

このときに、業務フローを見直さずにITツールを導入してしまうと、「今までこのやりかたで仕事ができてたのに、このツールではあれができない。これもできない。」となってしまい、結果としてITツールがほとんど使われない、若しくは導入前よりも非効率な仕事の仕方になってしまいかねません。

そのため、導入に当たってはある程度ITツールに合わせた仕事の仕方に変えていただく必要も出てきます。

このように言うと、「えっ、今までと仕事のやり方変えないといけないの?」とITツールの導入自体を躊躇されることもあるかもしれません。

でも、こうした見直しをすることにより、今までの仕事の仕方の問題点が明確になり、さらにITツールに合わせた仕事の仕方に変えることによって、導入の効果が2倍・3倍に変わる可能性がでてくるのです。

つまりITツールを導入することの最も大きな効果は、ツールそのものの導入ではなくこの「仕事の流れの見直し」にあります。

もちろんこうした作業はラクではありません。導入に当たっては時間もとられますから、仕組みが安定するまでは大変です。それでもきちんと事前に検討した上で、ITツールを導入すれば、それは作業時間の短縮などの形できちんと返ってきます。

ですから、こうしたことを考えずに「補助金が出るからとりあえず入れてみよう」といったスタンスでITツールを導入してしまうと、結局はお金を使っても効果がなかったということにならないか、と心配になるわけです。

目指すのはWIN-WINの業務効率化

私も税理士の中ではそれなりにITツールを理解していると思っていますので、お客さまに「ツールを使って仕事の流れをこんな風に見直しませんか?」といったお話しをさせていただくこともあります。

でも特に新しいツールを使うとなると、「なんか大変そうだからいいわ」と言われることがほとんどです。

「なんか面倒なこと言ってきたな」という感じで身構える方もいれば、「税理士がラクするために言っているんじゃないか?」なんて思われる方もいらっしゃるかもしれません。

もちろんお客さまが楽になっても、税理士側の業務が激増するのではこちらが持ちませんので、そうした提案をすることはありませんが、目指しているのは双方にメリットのあるWIN-WINの提案です。

税理士側の業務が増えずにお客さまが楽になるのであれば、当然そうした提案はさせていただきますが、やはり目指したいのはWIN-WINの業務効率化。

「働き方革命」や「生産性向上」という言葉がメディアに出ない日はない昨今、そうしたことに少しでも貢献できればと思います。

そのためにも、まずは自分のスキルをさらに磨いておかないといけませんね。