昨日マネーフォワードが主宰するセミナーに参加してきました。
講師はクラウド会計の世界で有名な廣升健生先生です。
「人材不足解決にはMFクラウド会計を導入すべき理由」というタイトルで2時間お話を聞かせていただきました。
今回はクローズドのセミナーという主旨のため、セミナーの全体像については触れずにおきますが、お話を聞いて考えたことについて3点まとめておきたいと思います。
会計業界の人材不足について
世間でよく言われる会計業界の人材不足について、他の会計事務所の所長さんから
仕事はあるんだけど、人がいないから仕事取れないんだよね
という話をよく聞くという話がありました。
それに対する先生の考え方は、「人を雇うための給与に見合う報酬がもらえていないのだから、業務効率化するしかない」というものです。
ここ数年「働き方改革」「業務効率化」など色々言われておりますが、私の感覚としても「人が足りないのなら、やり方を変えて同じ業務を短時間で終わらせるか、無駄な仕事やめるしかない。」と感じておりましたので、共感できるお話です。
人を雇えないのであれば、やり方を変えるしかないということは誰でも理解できることだと思いますが、実際にはなかなか進みません。
結局のところ、現状認識が変わらないと危機感を持てず、危機感がなければ状況を変えようとするインセンティブが働かないということで、「何とかしないといけないんだけど」と思いながらも現状認識は変割らず、結果的に危機感が足りないという状況なのでしょう。
何でもかんでも無駄をカットできるわけではない
今いるメンバーでの業務効率化について、
業務効率化を行う上で無駄を削るといっても、お客様が紙で見たいといっているのにiPad持っていって説明しても顧客満足度が下がるだけ。何を効率化すべきかよく考えないといけない。
という趣旨のお話がありました。
自分自身、業務の中の無駄を削ることに躍起になっていたこともあり考えさせられる一言です。
最近個人的に感じるジレンマとして、「世の中便利なツールが次々に出てきて上手く使えば仕事は楽になるのに、なんで導入が進まないんだろう。」というものがあったのですが、この一言を聞いて改めて考えたのは「ITの普及には時間がかかる」ということです。
以前読んだエストニア(IT先進国として有名)についての本の中で、
ITの改革は時間と忍耐が必要です
という言葉が紹介されていて妙に印象に残っていたり、以前参加した別のセミナーの中で、
産業革命のような大きなイノベーションの効果が社会全体に及ぶには、社会全体の仕組みがその技術を活かすものに根本的に作り替えられる必要があるため非常に長い時間がかかる
という話を聞いたことがあります。昨日のお話を聞いてこうした内容が頭の中で上手く繋がった気がします。
新しいツールは次々と出てくるけれども、社会の根っこの部分が変わるには膨大な時間がかかる。そのことを理解した上で、IT導入には忍耐強く取り組まないといけない面もあるのではないかと。
このことを効率化が進まない言い訳にしてはいけないのですが、一足飛びに変えられない面もあると理解した上での取り組みが必要だと感じた次第です。
クラウドワーカーを活用するという視点
以前事務所のロゴ作成を検討した際に調べたため、ランサーズやクラウドワークスといったクラウドワーカーの方に仕事を依頼できる仕組みがあることは知っていたのですが、この仕組みを使ってオンラインバンキングを使っていない通帳をデータに起こしてもらうという方法は目からウロコが落ちた気分でした。
もちろんお客様のところで、オンラインバンキングを契約してもらうのが一番手っ取り早いことに変わりはないのですが、セキュリティ面の不安やコストの関係で契約いただけないケースもあります。
そうした時には、諦めて会計ソフトに直接入力するしかないと考えていたのですが、データを扱うスキルがあるのであれば、あとはどうやってデータを作るかという点さえクリアすれば良いわけです。
それも低コストで作成できるのであれば、そのために自分で入力したり人を雇う必要はなく、必要に応じて必要なだけ作業を依頼して、出来上がったデータを加工して会計ソフトに取り込めば良いだけ。
データを会計ソフトに取り込む部分は、自分の得意分野であるわけですから(このブログでも弥生会計へのCSVデータの取り込みの記事など今でもよく読んでいただいています)、そこは自分の持てるスキルを目一杯活かせば良いわけです。
オンラインバンキングを契約してもらえないから効率化できないではなく、次善・三善の策を考えていくことが大事だと気付かされました。
以上考えたこと3点まとめてみましたが、セミナーを受講する前はご本人のブログの写真(両腕組んで胸を張っている写真など)の印象から、自信たっぷりにガンガン話をしてくる方かと思っていましたが、実際にセミナーでお話を聞いた印象は、謙虚な姿勢で発想が豊か、そしてその発想に感心させられることが多い方でした。
おかげさまでこちらも色々とアイデアが浮かびそうな刺激を受けたセミナー受講となりました。
以上、廣升健生先生のセミナーに参加して考えた3つのことについてでした。
投稿者
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大学卒業後、大手上場企業に入社し約19年間経理業務および経営管理業務を幅広く担当。
31歳のとき英国子会社に出向。その後チェコ・日本国内での勤務を経て、38歳のときスロバキア子会社に取締役として出向。30代のうち7年間を欧州で勤務。
40歳のときに会社を退職。その後3年で税理士資格を取得。
中小企業の経営者と数多く接する中で、業務効率化の支援だけではなく、経営者を総合的にサポートするコンサルティング能力の必要性を痛感し、「コンサル型税理士」(経営支援責任者)のスキルを習得。
現在はこのスキルを活かして、売上アップ支援から個人的な悩みの相談まで、幅広く経営者のお困りごとの解決に尽力中。
さらに、商工会議所での講師やWeb媒体を中心とした執筆活動など、税理士業務以外でも幅広く活動を行っている。
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