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前回業務効率化スキルについて書きましたが、業務効率化に関連してクラウド会計について考えてみたいと思います。

1.仕訳入力の効率化・省力化

クラウド会計導入によりまず最初に効率化されるのは、自動仕訳やCSVファイルの取込による会計入力の省力化です。
これは請求書や伝票を見ながら入力作業をしていた方の業務が効率化されるということで、前回の記事においてレベル1とした自分の業務範囲内での業務効率化に該当します。

これだけでも大きな効果なのですが、この点だけでいえば従来の会計ソフトもCSVファイルの取込や定型仕訳の登録には対応していますので、こうした機能を十分に活用していればそれなりに仕訳入力を効率化することは可能でした。

2.業務プロセスの見直し

これに対して、クラウド会計を提供する各社の説明を聞いていますと、最終的に狙っているのはこうした「作業の効率化」ではなく「プロセスの見直し」という点であるようです。
このため、「中小企業向けのERPソフト」という言い方をされるケースもあります。

これは自社内での業務フローの見直しという意味ではレベル2の業務効率化ですが、税理士の観点から見ればお客様の業務と共に税理士業務も効率化されるためレベル3の業務効率化ということができます。

従来は今の仕組みを前提としていかに効率化するかという考え方でしたが、これからは中小企業についてもこうしたプロセスの見直しによる効率化が必要になってくると思います。
「クラウド会計を導入するためには最初の設定が大事ですよ」という説明を何度かいただいたことがありますが、まさにプロセス改善を行うには最初の設定=「業務プロセスの設計図」を事前に検討してきちんと準備するということが大事になってきます。

3.まとめ

記帳代行が無くなるという話はここ数年いわれ続けている事なのですが、そうした状況になったときに税理士としてどのような価値をお客様に提供できるかということは常に悩み続けているところです。

お客様の業務フローにまで入り込んでプロセス改善の提案ができるようになるということは一つのあり方として考えておく必要があると思います。

会社員時代にも会計システムの変更やERPの導入など大きな仕組みの変更は何度かありましたが、事前準備が不足していたケースではほぼ間違いなくその後の業務に支障を来していました。
そうした失敗体験(もちろん成功体験もありますが)や立て直しの経験を活かしてお客様に提供できる価値は何か?としばらく思い悩む日々が続きそうです。

 

投稿者

加藤 博己
加藤 博己加藤博己税理士事務所 所長
大学卒業後、大手上場企業に入社し約19年間経理業務および経営管理業務を幅広く担当。
31歳のとき英国子会社に出向。その後チェコ・日本国内での勤務を経て、38歳のときスロバキア子会社に取締役として出向。30代のうち、7年間を欧州で勤務。

40歳のときに会社を退職。その後3年で税理士資格を取得。

中小企業の経営者と数多く接する中で、業務効率化の支援だけではなく、経営者を総合的にサポートするコンサルティング能力の必要性を痛感し、「コンサル型税理士」(経営支援責任者)のスキルを習得。

現在はこのスキルを活かして、売上アップ支援から個人的な悩みの相談まで、幅広く経営者のお困りごとの解決に尽力中。
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