弥生会計で直接CSVファイルのインポートをせずに、スマート取引取込を使って取り込むケースが増えてきました。取り込むファイルが複数あるときの注意点を確認しておきましょう。
直接インポートと比べて、スマート取引取込を使うメリットは?
今回は、弥生会計に取り込みたいCSVファイルが複数ある場合のスマート取引取込の運用方法について確認しておきたいと思います。
弥生会計でのCSVファイルのインポートについていくつか記事を書いていますが、古いものも含めてアクセスをいただいています。
それだけ興味・関心があると共に、エラーが出て引き込めないなど、うまくいかないというケースも多いのではないでしょうか。
まだ機能的に不十分な点もありますが、最近では直接CSVファイルをインポートせずに、弥生スマート取引取込を使ってCSVファイルを取り込むケースが増えてきました。
直接インポートするケースと比べて、スマート取引取込が優れている点は、
- 用意するCSVファイルの形式が、直接インポートする場合と比べてカンタン
- 取り込んだデータに対して、学習した内容を適用することができる
という2点です。
但し、複合仕訳が使えない、学習内容の条件指定が貧弱といった課題もあります。これらについては、以下の記事をご参照ください。
複数のCSVファイルを取り込む際に注意しておきたいポイントは?
では、複数のCSVファイルをインポートする際に注意しておきたい点を確認しておきましょう。
CSVファイルでインポートするケースが多いのは「金銭出納帳」だと思いますが、
- 入金だけ管理しているファイル(現金回収管理表など)
- 出金だけ管理しているファイル(現金で支払う小口経費帳など)
という風に、現金についてファイルが2つに分かれているケースもあるでしょう。
こうした場合に、取り込むファイルの各列がどの項目に該当するかを登録しておく「取込フォーマット」が1種類でも対応できるかどうかという疑問がありました。
結論としては、取引手段(「現金」「未払金」など)が同一であれば、問題なく運用することができます。
「具体的にどのようなファイルを準備すべきか?」という点については、一例として次のようなフォーマットでの運用が考えられます。
どちらも同じフォーマットなのですが、ポイントは、
「入金」欄と「出金」欄を分けておくこと
です。
スマート取引取込では、「入出金」欄として欄を一つにすることも可能ですが、この場合出金についてはマイナスで入力する必要があります。
Excelで経費帳を作成するときに、「金額はマイナスで入力して下さい」というのは、いかにもミスを誘発しそうなルールです。
もしプラスで入力してしまって、気付かずに取り込んでしまうと「入金」として処理されてしまいます。
逆に、プラスで入力してもらって、CSVファイルで取り込む直前に、関数等を使って金額をマイナスにするという方法もありますが、余計な手間がかかるだけであり、メリットは何もありません。
そのため、入金だけのファイル、または出金だけのファイルであっても、上記のようなフォーマットでExcelに入力することをオススメします。
こうしておくことで、一つの「取込フォーマット」でどちらも対応することが可能となります。
なお、「使わないのだから、経費帳の入金欄を削除したい」と思うかもしれませんが、取込時には必ず、
- 「金額(入出金)」
- 「金額(入金)」と「金額(出金)」
のどちらかを割り当てる必要があります。
「金額(出金)」を割り当てしても、「金額(入金)」を割り当てる項目が取り込んだCSVファイルにないと、取込処理を先に進めることができませんので、ご注意ください。
ちょっとした工夫で、余分な工数は減らせます
弥生のスマート取引取込で、複数のCSVファイルを取り込む際の運用の注意点を確認しました。
今回は現金での入金と出金が分かれるケースを検討しましたが、例えばクレジットカードのデータを取り込むのであれば、「経費帳」と同じフォーマットにクレジットカードの支払データを入力し、F列に「支払手段」という項目を追加して「クレジットカード」と入力しておく方法が考えられます。
(この場合、取込時にF列には項目を割り当てません)
こうすることにより、「経費帳」とは異なるファイルと認識されるため、別の取込フォーマットを設定することが可能となります。
考え方さえ整理できれば、このようにいろいろと展開していくことができるようになります。
こうした会計ソフトなどへのファイルの取込処理において、
「なんとなく手間がかかっている」
「取込前にファイルを修正する作業を毎回している」
という状況であれば、ファイルの形式を少し変えてみてはいかがでしょうか。
そのちょっとした変更で、毎回行っている作業をなくすことができるかもしれません。
投稿者
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大学卒業後、大手上場企業に入社し約19年間経理業務および経営管理業務を幅広く担当。
31歳のとき英国子会社に出向。その後チェコ・日本国内での勤務を経て、38歳のときスロバキア子会社に取締役として出向。30代のうち7年間を欧州で勤務。
40歳のときに会社を退職。その後3年で税理士資格を取得。
中小企業の経営者と数多く接する中で、業務効率化の支援だけではなく、経営者を総合的にサポートするコンサルティング能力の必要性を痛感し、「コンサル型税理士」(経営支援責任者)のスキルを習得。
現在はこのスキルを活かして、売上アップ支援から個人的な悩みの相談まで、幅広く経営者のお困りごとの解決に尽力中。
さらに、商工会議所での講師やWeb媒体を中心とした執筆活動など、税理士業務以外でも幅広く活動を行っている。
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