広告

経理を担当する方がいない小規模事業者では、どのように経理処理を進めるべきか?というお話しです。

経理社員がいない会社の経理は大変

税理士になる前は、メーカーでずっと経理の仕事をしていました。そのときは毎日経理の仕事をしていたわけで、経理の仕事というのは給料をもらうためにやらざるを得ない仕事でした。

税理士になると、税理士としてのお金をいただくための仕事に加えて、自分の経理をしないといけなくなりました。そうすると、20年近く経理をやっていたにもかかわらず、こう思うようになりました。

「経理ってメンドクサイ」

「経理なんて大変だ」という声をよく聞きますが、経理の仕事ばかりしていたせいか、税理士になって最初の頃は今ひとつ共感できない部分がありました。

しかし、自分が片手間で経理をする立場になって、ようやく実感として「なんでお金にならないことに、こんなに時間を掛けないといけないんだ」という感覚が理解できました。

自分が苦しまないために、毎日「少しずつ」「時間を決めて」処理する

では、その時間をかけたくない経理をどうすべきか?

もちろん、「数字をリアルタイムに把握して経営判断に活用しましょう」という考え方もあるのですが、今回はそうした高尚な考え方は脇に置いておき、別の観点から考えてみることにします。

税理士という仕事をしていても、お客さまから大量にレシートを預ったりすることがあると、正直なところやる気が萎えて、見るのも嫌になることがよくあります(というか毎回です)。そんな性格ですから、自分のレシートが貯まってしまえば、まったく処理しようとは思いません。

結局、ボリュームがあると人はその大変さを想像してしまって、手を付ける気がおきなくなります。ならば、どうすべきか?答えは「ためこまない、少しずつ処理する」しかありません。

仮に毎日3枚のレシートが発生するとして、20日稼働とすると、月60枚のレシートを処理することになります。

これを月末にまとめてやろうとすると、普通の人であればうんざりするでしょう。でも、毎日処理すれば、1回あたりの処理する量は3枚ですみます。これなら「まあしょうがない、やるか」という気分になるのではないでしょうか。

そしてもう一つ大切なのが、「作業する時間をあらかじめ決めておくこと」です。

広告

習慣の力を活用しよう

私もそうですが、その日の仕事を始めてしまうと、どうしても本来の仕事を優先してしまい、途中で自分の経理をするのは難しいです。

そのため、毎朝仕事を始める前に10分程度自分の経理をする時間をとることにしています。最近では、起きてすぐにパソコンを立ち上げて、着替えもせず髪の毛もボサボサのまま、自分の経理を終わらせてしまうこともよくあります。

ときどき10分以内に終わらないこともありますが、毎日続けていると大体このくらいの時間で終わらせることができます。
( 会社勤めの方が、着替えもせず経理をするわけにはいきませんが・・・)

時間を決める際のポイントとなるのは、

  • 他の仕事で中断されないタイミングで経理処理の時間を設定する
  • 設定した時間に毎日経理を行い、経理処理を習慣化してしまう

という2点です。もちろん人によっては、朝ではなく、その日の仕事を終えてから経理をした方が、1日が終わったと感じてすっきりするという方もいらっしゃると思いますので、どの時間に行うかはご自分の生活リズムに合わせて決めていただければ良いでしょう。

また、ただでさえやりたくない仕事が途中で中断されると、やる気が一層なくなりますので、邪魔が入りにくいタイミングを選ぶことも大切です。

大事なのは、毎日経理をするという習慣を作り上げることです。 毎朝の歯磨きが習慣として、毎日違和感なくできるように、経理という作業も習慣化してしまえば、始める前の苦痛も減ってきます。

そして毎日経理をすれば、処理すべき量は確実に減りますので、手を付ける前のためらいは確実に減ります。

習慣の力というのは侮れません。経理処理に苦痛を感じる方は、是非「少しずつ」「時間を決めて」経理処理を習慣化することを実践してみてください。

投稿者

加藤 博己
加藤 博己加藤博己税理士事務所 所長
大学卒業後、大手上場企業に入社し約19年間経理業務および経営管理業務を幅広く担当。
31歳のとき英国子会社に出向。その後チェコ・日本国内での勤務を経て、38歳のときスロバキア子会社に取締役として出向。30代のうち7年間を欧州で勤務。

40歳のときに会社を退職。その後3年で税理士資格を取得。

中小企業の経営者と数多く接する中で、業務効率化の支援だけではなく、経営者を総合的にサポートするコンサルティング能力の必要性を痛感し、「コンサル型税理士」(経営支援責任者)のスキルを習得。

現在はこのスキルを活かして、売上アップ支援から個人的な悩みの相談まで、幅広く経営者のお困りごとの解決に尽力中。

さらに、商工会議所での講師やWeb媒体を中心とした執筆活動など、税理士業務以外でも幅広く活動を行っている。
広告