ダイレクト納付という税金の支払い方法を今年から使い始めましたが、地方税のところで最初かなりつまづきました。同じことで悩む方が出ないよう、どこでつまづいたか整理しておきます。
ダイレクト納付のやり方がわからない
今年からダイレクト納付という税金の支払方法を、お客さまに導入いただいています。
まずは法人税・消費税・法人住民税・事業税の支払からスタートしていますが、悩ましいのは国税(法人税・消費税)と地方税(法人住民税・事業税)で使うシステムが異なるという点。
国税については、電子申告後にメッセージボックスに配信される「納付情報登録依頼」というメッセージから、カンタンに手続できるのですが、悩ましいのが地方税。
税務ソフトによっては、電子申告後に同じソフトの中で手続できるものがあるようですが、現在私が使っているJDL社の電子申告ソフトのQ&Aでは、地方税のダイレクト納付について
口座情報の登録→納付情報発行依頼→納付までのすべて作業を「PCdesk(WEB版)」で行っていただくこととなります。
と書かれていて、要するに全部PCdeskというeLTAXが提供しているソフトで手続してください、と。
eLTAXの対応ソフトウエアの中にJDLは含まれているのですが、残念ながらすべての作業に対応しているという訳ではないみたいです。
で、お客さまにダイレクト納付の申請をしていただく前に、やり方をJDL・PCdeskマニュアルそれぞれ見ながら調べていったのですが、一点だけどうしてもわからないことが。
それが、
「JDLで電子申告したデータを、PCdeskに引込むにはどうすればよいか?」
という点でした。
JDLのQ&Aに「すべての作業をPCdeskで行って」とあったため、
「もしかして、電子申告自体をPCdeskで行わないと、ダイレクト納付って使えないの?」
と勘違いしてしまい、どう対応すべきかかなり悩みました。
わかってしまえばカンタンなこと。でもどこにも書いていない。
結論からいえば、
「JDLで電子申告したデータについては、PCdesk(Web版)で呼び出せる」
ということで、特別な手順は不要でした。
わかってしまえば、当たり前というか、何ら難しい話ではないのですが、
- JDLの説明:全部PCdesk(Web版)で作業してね
- PCdeskのマニュアル:PCdeskの使い方だけ説明するね。他社ソフト使うときは知らないよ。
みたいな書き方になっているため、JDL→PCdesk間での連携方法についての記述がどこにもなく、よくわからない。
JDL側の説明として、この点一言加えておいてほしかったな、というのが本音です。
実際この点がわかるまで、eLTAXのヘルプデスクに問い合わせつつ、Twitterにて愚痴っていたら、心優しき人たちからコメントいただき、なんとか解決できたという状況でした。
PCdeskの中を見ても、納付情報発行依頼は「個人住民税」しか見つからないので、電子申告ソフトがダイレクト納付に対応していなければ、法人住民税や法人事業税のダイレクト納付にはPCdeskでの電子申告が必須ということ??
— 加藤博己@税理士・FP in 京都 (@katoh_tax) July 28, 2020
今になってこのツイートを読み返してみても、当時の自分が全然理解できていなかったことがよくわかります。
ちなみに、PCdesk(Web版)での納付手順については、以下のサイトやPCdesk(WEB 版)ガイド(1.5版 2020年5月)の「8 納税の手続を行う」に詳しく書かれています。
なお、税理士が代理で作業を行う場合には、
- 事前にPCdesk(Web版)にて代理行為の承認が必要
- 納税手続を行う際に、税理士のID・PWでログインしてから「代理人メニュー」で操作を行う
という点も慣れていないと、つまづく点かもしれません。これらの点については、以下のサイト・ドキュメントが参考になるでしょう。
PCdesk(WEB 版)ガイド(1.5版 2020年5月) の中の「5.1.2 代理行為を実施する」
異なるシステムを連携させるときは要注意
今回、JDLの電子申告を使って、ダイレクト納付(地方税)を始める際に、私自身がつまづいた点をまとめてみました。
なお、特別徴収の個人住民税についてダイレクト納付を行う場合には、今回の内容とやり方が異なりますので、ご注意ください。
最近では、異なる会社が提供するサービスを連携されて使うというケースがかなり増えてきました。
もちろん連携方法について丁寧に説明してくれているサービスも多いのですが、他社間連携である以上、
「この点については、向こうの会社に確認してね」
という書き方になる部分はどうしても出てきます。
今回私がつまづいたような細かい点については、どちら側にも記述がないという可能性があります。
そうした時の効果的な対処法というのは、正直なところ思いつかないのですが、それぞれに問い合わせて疑問点を一つずつ解消していくしかないでしょう。
ちなみに今回のケース、eLTAXヘルプデスクにも問い合わせていましたが、少し回答まで時間がかかったものの、Twitterで教えていただいたものと同内容の回答をいただいております。
やはり「わからないことは素直に問合せ窓口に確認する」というのが、最も確実な対処法でしょう。
今回私が悩んだような点でつまづく方はほとんどいないかもしれませんが、これからダイレクト納付を導入する方が、同じことでつまづくことがないよう、参考になればということでまとめておきました。
投稿者
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大学卒業後、大手上場企業に入社し約19年間経理業務および経営管理業務を幅広く担当。
31歳のとき英国子会社に出向。その後チェコ・日本国内での勤務を経て、38歳のときスロバキア子会社に取締役として出向。30代のうち7年間を欧州で勤務。
40歳のときに会社を退職。その後3年で税理士資格を取得。
中小企業の経営者と数多く接する中で、業務効率化の支援だけではなく、経営者を総合的にサポートするコンサルティング能力の必要性を痛感し、「コンサル型税理士」(経営支援責任者)のスキルを習得。
現在はこのスキルを活かして、売上アップ支援から個人的な悩みの相談まで、幅広く経営者のお困りごとの解決に尽力中。
さらに、商工会議所での講師やWeb媒体を中心とした執筆活動など、税理士業務以外でも幅広く活動を行っている。
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