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仕事をする上では、多かれ少なかれミスは起きるものですが、仕組みを作るときにそうしたミスに対してどのようなスタンスで臨むべきか?そんなことを考えてみました。

ミスに対してどう付き合うか?理想はミスが起きないこと

仕事をしている上で、ミスをしてしまうことは多かれ少なかれあると思います。

そうしたミスをどうやって防ぐか、というのは仕事をしていく上での永遠の課題です。

ミスが流出する前に見つかればまだ良いですが、やはり理想はミス自体が起きないこと。

そのために意識しておきたいのが、「ミスできない」仕組みをつくることではないでしょうか。

「ミスできない」仕組みとは?弥生会計の事例で考えみる

では「ミスできない」仕組みとは何か。弥生会計を例に考えてみたいと思います。

弥生会計で入力作業の経験がある方であれば、一度は経験したことありませんか。

「年度を間違って仕訳を入力してしまったこと」

そもそも弥生会計の仕様として、仕訳入力時に月日しか入力しないことが問題であり、この仕様自体が変わることが理想ではあるのですが、ユーザー側としてはそんなことばかりいっていられません。

こうしたミスが起きる原因としては、前年度の仕訳を確認するために「年度切り替え」を行い、年度を元に戻さずに、そのまま仕訳を入力してしまうということが考えられます。

こうしたミスを防ぐための方法としては、例えば、

  • 仕訳入力前に対象期間を確認することをルール化する
  • 前年度の仕訳の確認は「年度切り替え」ではなく、「前年度仕訳日記帳」しか使用しないルールにする

といった方法が考えられます。

しかしこれら方法では、仕訳入力のたびに年度の確認が必要となり現実的ではありませんし、入力する方が不注意で「年度切り替え」を使ってしまうことを物理的に防ぐことはできません。

つまり、こうしたやり方では、「ミスは起こりえる=ミスできる」状況であることに変わりはありません。

そうではなくて、この場合でいえば、そもそも古い年度で入力できないようにすることが、最も確実なミスを防ぐ方法です。

弥生会計の入力制限については、

  1. 「設定」-「帳簿・伝票設定」メニューを選択
  2. 「入力制限」タブを選ぶ
  3. 「仕訳の入力を制限する」にチェックをつけた上で、「制限する日付」を入力する

とすれば、「制限する日付」以前の日付での仕訳は入力できなくなります。

「設定」-「帳簿・伝票設定」を選択

「入力制限」タブの中で、「制限する日付」を設定します

このように設定すると、「制限する日付」以前の日付で仕訳入力しようとすると、エラーメッセージが表示されて、仕訳を登録することができません。

入力期間を制限してしまえば、どんなに不注意であっても間違った年度に仕訳を入力することはありません。

これが「ミスできない」仕組みの考え方です。

もちろんこのやり方であっても、入力制限をかけ忘れてしまえば、ミスは起こります。

少なくとも、いつ・どのように入力制限をかけるかというルールを決めて、正しく運用する必要はありますが、入力作業の都度確認をするよりも、ミスが起きる可能性を大きく下げることができます。

「この程度のことすでにやってるよ」という方も多いとは思いますが、大事なのは考え方です。

仕事のやり方が、「ミスしようにもできない」仕組みになっているか。

弥生会計以外にも、Excelシートに入力してもらう際に、入力すべきでないセルに保護をかけるといった方法も同じ考え方といえます。

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仕組みをつくるとき「ミスしようにもできない」という視点は持っておくべき

「ミスできない」仕組みをつくりましょうと書きましたが、チェックが不要といっているわけではありません。

何事にも絶対はありませんので、本当にミスが起きていないか最終段階のチェックは必要です。

ただチェック段階でミスが見つかった場合、そこから修正作業が発生します。

ミスがそもそも起きなければ、修正作業自体が不要です。

もちろん、仕事の内容によっては、「ミスできない」仕組みをつくれないケースもあるでしょう。

そうした場合には、次善の策としてチェックリストやダブルチェックなど、別の方法を考える必要があります。

しかし仕組み・運用・ルールなどを考える際には、まず最初に「ミスできない」仕組みがつくれないかという視点を持つことが重要です。

ミスが起きたときに、それをミスした人の問題として片付けていては、いつまでたってもミスは減りません。

「仕組みを工夫することで、ミスそのものが起きないようにできないか?」、そうした考え方を持つことがミスを減らす第一歩ではないでしょうか。

投稿者

加藤 博己
加藤 博己加藤博己税理士事務所 所長
大学卒業後、大手上場企業に入社し約19年間経理業務および経営管理業務を幅広く担当。
31歳のとき英国子会社に出向。その後チェコ・日本国内での勤務を経て、38歳のときスロバキア子会社に取締役として出向。30代のうち7年間を欧州で勤務。

40歳のときに会社を退職。その後3年で税理士資格を取得。

中小企業の経営者と数多く接する中で、業務効率化の支援だけではなく、経営者を総合的にサポートするコンサルティング能力の必要性を痛感し、「コンサル型税理士」(経営支援責任者)のスキルを習得。

現在はこのスキルを活かして、売上アップ支援から個人的な悩みの相談まで、幅広く経営者のお困りごとの解決に尽力中。

さらに、商工会議所での講師やWeb媒体を中心とした執筆活動など、税理士業務以外でも幅広く活動を行っている。
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