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先日ケータイのプラン変更をネットでしようとしたのですが、ショップに行かざるを得ないことがありました。ネットでの手続き対応の難しさについて考えてみたいと思います。

ahamoへの切り替えたのためにショップに行く?

先日プライベートで使っているケータイのプランをahamoに切替えました。

もともとドコモの契約だったのですが、メンドウな手続きだとショップに行かないといけないこともあり、ネットですべて完結してくれると助かる、と考え変更することにしました。

案内サイトのQ&Aなど一通り目を通した上で、家族とパケット共有をしていましたので、念のため家族の分から切替えしようとしたところ、

「現在のご契約状態ではahamoへのプラン変更ができません」

との表示が。

ahamoの問合せはチャットしかありませんので、チャットで問い合せようとすると、

「ただいま大変混雑しております。しばらく経ってからお試しください。」

という表示が出てまったくつながりそうな気配がありません(平日昼間に混雑しているチャットサポートに初めて遭遇しました…)。

最初のエラーメッセージの中に

「利用者年齢:成人の利用者が登録されている状態ではご契約できません。利用者への名義変更をお願いします」

との説明がありましたので、恐らく子ども(成人)の契約者名が私になっていることが問題だろうと予測はついていましたが、ネットで契約者を変更する方法がわかりません。

ようやくつながったチャットサポートで確認したところ、

「ドコモのインフォメーションセンターで契約内容を確認してください」

とのこと。

インフォメーションセンターに電話して、内容を説明した上で、契約者名義変更手続きのために、ドコモショップへ行くことに…(その後ネットで無事切替え手続きはできました)。

ネットですべての手続を完結させるのは難しい理由

多くの企業が顧客サポートの効率化やコスト削減のために、ネットで手続きができるよう誘導しているケースは多いのですが、今回のような事例に遭遇すると、ネットで「すべての」手続きを完結させるというのは、意外と難しいことなのではないかと感じます。

ビデオ会議などを使った対面での対応を含めれば完結できるのでしょうが、そのような対応をすることは人員やコストの観点から現実的ではありません。

改めて、「なぜネットだけで手続きを完結させるのが難しいか」と考えると、次の3つの理由が考えられます。

  1. すべての手続きについて、サイトに手順など掲載するのが難しい

  2. 手続きの数が増えすぎると、わかりやすい手続き画面を提供するのが難しくなる

  3. サイトに掲載された情報が増えすぎるとユーザーが必要な情報を見つけられない

まず、何らかの手続きをネットでしようとした場合、最初に「どこで」「どのような」手続きが必要となるのか確認する必要があります。

FAQを参照するなどしてそうした情報を探すわけですが、すべてのケースを網羅してその全部を自社サイトに掲載しようとすると、相当の労力が必要となるでしょう。

仮にすべてのケースや手続きについての情報を自社サイトに掲載できたとしても、時間の経過と共に必要となる修正が追いつかず、掲載されている情報が正しくないという状態になってしまいます。

私が今回遭遇したケースも、恐らく対応方法などはどこにも掲載されていなかったと思われます。

これがネットで完結させるのが難しい理由の1点目。

次に、サイトを調べてネットで手続きができるとわかったとしても、すべての手続きに対応しようとすると、手続きの入口や途中での質問項目や分岐が増えていきます。

そうなってしまうと、ユーザーが本来選択すべき手続きの手順を見つけられず、手続きを正しく完了できないケースが増えてしまいます。

これが2点目。

最後に、情報そのものが増えすぎると、検索精度が高いとしても、ユーザーが必要な情報を見つけられず、ネットでの手続きを断念する、という可能性が高くなります。

現時点では、大量の情報を準備する方も使う方も扱いきれないということで、ネットですべての手続きを完結させるのは難しいと考えています。

もちろんチャットサポートを組み合わせて人を部分的に介在させる方法も考えられますが、ここで人手を増やすことはサポートの効率化という観点から矛盾しています。

将来的にAIが適切な選択肢を提示できるレベルまで発達すれば、こうした問題は解決するのでしょうが、現時点ではそこまでのレベルには達していないでしょう。

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ネットで全て完結、よりもネットで完結する手続きを明確にする

そうすると、無理に「すべてネットで」と考えるのではなく、ネットで手続きしてもらうものとそうでないものをきちんと切り分けるべきではないかと。

シンプルでボリュームの多いものはネットで手続きしてもらい、普段あまり起きないメンドウな手続きはチャットや電話などに誘導する、というのがひとつの考え方ではないでしょうか。

一方で、税理士事務所の業務を見渡すと、ネットで手続きを完結してもらう、というケースは現状ではあまりありません。

今のところは事務所HPからの問合せに対して自動返信する、といった対応はありますが、逆にいえばこの点はまだまだ改善の余地があるということでしょう。

例えば、よくある手続きを洗い出して、顧客ごとの専用サイトを準備し、税理士事務所への変更依頼や連絡は、メールではなくそのサイトを通じて行ってもらう。

税理士事務所では、そのサイトに入力された情報を元に、(半)自動的に税務署への提出書類などを作成する、といった方法が考えられます(先進的な事務所では、このレベルまでは既に実施されているかもしれません)。

自分が経験した内容から、自分の仕事の一歩先を見据えてみる、そんな視点を持つことも大事では、と思った次第です。

投稿者

加藤 博己
加藤 博己加藤博己税理士事務所 所長
大学卒業後、大手上場企業に入社し約19年間経理業務および経営管理業務を幅広く担当。
31歳のとき英国子会社に出向。その後チェコ・日本国内での勤務を経て、38歳のときスロバキア子会社に取締役として出向。30代のうち、7年間を欧州で勤務。

40歳のときに会社を退職。その後3年で税理士資格を取得。

中小企業の経営者と数多く接する中で、業務効率化の支援だけではなく、経営者を総合的にサポートするコンサルティング能力の必要性を痛感し、「コンサル型税理士」(経営支援責任者)のスキルを習得。

現在はこのスキルを活かして、売上アップ支援から個人的な悩みの相談まで、幅広く経営者のお困りごとの解決に尽力中。
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