1.2019年1月から何が変わるのか?
2019年1月4日から、e-Taxでわりと大きな変更が2点ありました。
平成31年1月4日から開始するe-Taxの主な利便性向上施策等について(平成31年1月4日)|e-Tax
一つは、マイナンバーカード不要で電子申告が可能な「ID・パスワード方式の導入」。
もう一つは、「メッセージボックスのセキュリティ強化」です。
今回取り上げるのは、後者のセキュリティ強化についてです。
e-Taxでは、申告書を提出した受付結果や申告の案内が、各個人のメッセージボックスに表示されるのですが、今後個人の方はマイナンバーカード等なしにこのメッセージボックスを見ることができなくなりました。
これを読んで、「で、何が困るの?」と感じた方の方が多いと思います。そうなんです、一般の方が困ることはほとんどありません。
ご自身で電子申告をされている方であれば、恐らくマイナンバーカードを使って申告されていると思いますので、特に問題は生じません(確認する際の認証の手間は増えますが)。
一方マイナンバーカードをお持ちでなくても、税理士に電子申告を依頼されているのであれば、申告書の受信結果は税理士のメッセージボックスにも表示されますので、税理士に確認してもらうことが可能です(この点については、仕様変更後に申告をしていないので、もし違っていた場合はアップデートします)。
では何が困るのかというと、(特に税理士にとって)確定申告の時期に表示される「申告のお知らせ」という資料を確認できなくなることです。
この「申告のお知らせ」には、予定納税として前年に支払った税額や消費税の届出書の状況などが記載されているため、正しい申告書を作成するためには、確認をしておく必要があります。
2.e-Taxでの税理士との委任関係の設定
こうした課題があるため、e-Taxにおいて、「私はこの税理士さんに申告を依頼しています」という登録ができるようになりました。
この登録をすると、 本人のメッセージボックスにのみ格納される「申告のお知らせ」を、登録した税理士のメッセージボックスに自動的に転送することができます。
こうして、マイナンバーカードを持たず税理士に電子申告を依頼している方の「申告のお知らせ」を税理士が確認できることになります。
今後、税理士から「e-Taxで委任関係の登録をお願いします」とか「e-Taxで転送設定をお願いします」と言われるかもしれませんが、それはこうした理由によるものです。
ただ、税理士に申告を依頼されている方の中には、e-Taxにログインしたことすらないという方も多々おられると思います。
そうした方達に、上記のような設定をお願いできるかといえば、正直厳しいでしょう。
最終手段としては、税理士の方で設定せざるを得ませんが、これも勝手に設定するわけにはいきませんので、お客さまから事前に同意をいただくことになります。
3.セキュリティはバランスも大事
今回のようなお客さまへの設定作業の依頼や設定作業そのものについては、利益や効率化を生み出すものではありませんので、正直にいえばあまりやりたくはありません。
(個人的には、情報セキュリティは重要だと考えていて、セキュリティを守るために必要な対応は行っている方だと思っていてもです。)
今回の変更は、セキュリティ対策の観点から実施されたということで、申告書には個人情報満載ですから、セキュリティ対策を実施すること自体は理解できます。
それでもお叱りを覚悟でいえば、 「申告のお知らせ」をそこまで過剰に保護する必要があったのかどうかいまだに疑問があります。
セキュリティは向上させればさせるほど、仕事は煩雑になりますので、バランスを考慮してそのレベルを設定しないと、生産性はどんどん落ちていきます。
電子申告がそれなりに普及したのは、ある種の割り切り・思い切りのよさがあったからだと理解しています。今後行政の電子化を進める上では、業務をスムーズにすすめるための割り切りも必要かと思いますので、こうした点を考慮していただけたらと。
なお余談ですが、先週マイナポータル(これ使っている方いるのでしょうか?)からメールが来て久しぶりにログインすると、e-Taxのメッセージボックスの内容が、マイナポータルにも通知されるようになったみたいです(e-Taxと連携させていたことも完全に忘れていました。)。
一瞬「マイナポータルで、e-Taxのメッセージボックスを見られるようになった!」と思いましたが、よく読むと新しいメッセージが登録されたという連絡が来るだけのようです。
e-Taxにメールアドレスを登録しておけば、e-Taxからメールが来ますので、この機能使う方いるのでしょうか?
行政の電子化で生活が便利になるのはまだまだ先かな・・・、と思わずにはいられない内容でした。
投稿者
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大学卒業後、大手上場企業に入社し約19年間経理業務および経営管理業務を幅広く担当。
31歳のとき英国子会社に出向。その後チェコ・日本国内での勤務を経て、38歳のときスロバキア子会社に取締役として出向。30代のうち7年間を欧州で勤務。
40歳のときに会社を退職。その後3年で税理士資格を取得。
中小企業の経営者と数多く接する中で、業務効率化の支援だけではなく、経営者を総合的にサポートするコンサルティング能力の必要性を痛感し、「コンサル型税理士」(経営支援責任者)のスキルを習得。
現在はこのスキルを活かして、売上アップ支援から個人的な悩みの相談まで、幅広く経営者のお困りごとの解決に尽力中。
さらに、商工会議所での講師やWeb媒体を中心とした執筆活動など、税理士業務以外でも幅広く活動を行っている。
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