プログラミングをする際に、すべてをプログラムで何とかしようとすると、不慣れな方にとっては大きな負担となります。初心者はいろんなものを組み合わせて上手に対応しませんかというお話です。
全部をプログラムだけでやろうとしない
ChatGPTなどの生成AIを使えば、プログラムのコードを書くのは以前と比べてかなりラクになりました。
とはいえ、業務の効率化をすべてプログラムだけでやろうとすると、プログラムのコードは当然長くなります。
コードが長くなると内容を理解するのも大変になりますし、内容を理解せずに実戦投入してしまうと思わぬトラブルが生じる可能性もあります。
以前、Pythonを使ってExcelの金銭出納帳から弥生会計へのインポートデータを作成するということをやってみました。
このときは免税事業者を前提にコードをつくっていますが、課税事業者にも対応しようとした場合どうすべきでしょうか?
勘定科目に応じて何重にも条件分岐するようなコードを書く、というのもひとつの方法でしょう(スマートではありませんが)。
もしくは勘定科目と税区分を組み合わせた辞書データをつくっておいて、そこから税区分を読み込む方法も考えられます。
こうしたケース、私の場合どうするかといえば、Pythonで対応せずExcelファイルの中で勘定科目ごとの消費税率を付与する、という方法を採ります。
どこまでやるか役割分担を明確にする
「なんじゃそれりゃ」と思うかもしれませんが、すべてプログラミングで対応しようとすると、作業自体はラクになりますがプログラムのメンテナンスが大変になります。
専任のプログラマーがいるわけではない、つくる人と使う人が同じようなケースだと、メンテに時間がかかって、逆に効率的にならない可能性が高いです。
その一方で、同じExcelファイルを複数人が使う場合は
- 税区分が追加されたり、変更されたときのメンテナンスが大変(すべてのExcelファイルを差替える必要がある)
- ユーザーが式を潰して間違った内容を入力する可能性がある
といった問題は起こりえるでしょう。
こうしたケースでは、プログラムの方で一括管理した方が効率的かもしれません。
結局のところ、状況に応じて
「どのツールにどこまでやってもらう」
という役割分担を明確にすることが大事です。
Excelファイルの中でデータはここまで準備するので、プログラムにはその後のこの部分を自動化してもらう、といった具合にです。
このような対応をすることで、持っているスキルのレベルに応じた対応が可能となります。
30点のスキルを組み合わせることを考える
プログラミングのスキルをトコトン突き詰めて、極めるということを否定するつもりはありません。
ただこうしたことってやはり初心者にはハードルが高いものですし、時間や労力もかかります。
なんでもすべてプログラミングで解決できるようなスキルを仮に100点だとすると、初心者の方が無理せず到達できるレベルって恐らく30点くらいではないでしょうか。
だけど、30点のスキルしかないと諦める必要はありません。
Excelについても30点のスキルを既に持っているのであれば、これらを組み合わせればいいわけです。
プログラムを作って免税事業者の出納帳からインポートデータを作れるようになったので、課税事業者に対応する場合にはExcelの方でなんとかする、というのがこうした組合せの一例です。
何らかの課題を解決しようとする際に
「自分のスキルなんて大したことないから、この課題解決には役に立たない」
と考えずに、持っているスキルを組み合わせてなんとかならないかまずは考えてみましょう。
すべてをひとつのスキルで解決するのでなく、上手に組み合わせることで意外と解決につながるかもしれません。
投稿者
-
大学卒業後、大手上場企業に入社し約19年間経理業務および経営管理業務を幅広く担当。
31歳のとき英国子会社に出向。その後チェコ・日本国内での勤務を経て、38歳のときスロバキア子会社に取締役として出向。30代のうち7年間を欧州で勤務。
40歳のときに会社を退職。その後3年で税理士資格を取得。
中小企業の経営者と数多く接する中で、業務効率化の支援だけではなく、経営者を総合的にサポートするコンサルティング能力の必要性を痛感し、「コンサル型税理士」(経営支援責任者)のスキルを習得。
現在はこのスキルを活かして、売上アップ支援から個人的な悩みの相談まで、幅広く経営者のお困りごとの解決に尽力中。
さらに、商工会議所での講師やWeb媒体を中心とした執筆活動など、税理士業務以外でも幅広く活動を行っている。
最新の投稿
- 年末調整2024年12月22日年末調整では正確な所得税の計算が難しいと税理士が考える理由
- Google2024年12月19日Gemini Businessアドオンを使ってみた感想
- 税金2024年12月15日2025年1月以降、税務署で受付印を押してもらえないってご存じですか?
- 節税2024年12月12日「節税」には「利益予測」が欠かせないという話