新しいWebサービスを利用する場合、意外と使いこなせずに挫折するケースは多いのではないでしょうか?最近実際に経験した事例とそこから考えられる税理士業務における初期対応について考えてみます。
新しいサービスを試してみたら使い方がわからない
最近、時間管理のためのクラウドサービスを新たに試してみたのですが、実は全然使い方がわかりません。
サービスの乗り換えを検討することが目的でしたので、事前に「こういう使い方をしたい」と抱いていたイメージがありました。
色々と試してみて最低限の基本的な操作は理解できたのですが、イメージしたことを実現する方法がまったくわかりません。
日本でも紹介されているサイトはありましたが、詳細な使い方になると日本語の情報はほとんどなし。
想定していた使い方ができるか判断したかったのですが、そこまで行き着かないという感じです。
今回試したサービスは海外企業が提供するものであるため、日本語での説明がないというのも原因のひとつかもしれません。
とはいえ、こうしたクラウド上のサービスって、ある程度はいろいろ試してみると使い方が見えてくるものなのですが、今回はダメでした。
もちろんサービス提供者が効率的だと考えたやり方に基づいて提供されているものですから、事前にイメージしたものよりも効率的であれば、今のやり方を変えても構わないと考えていました。
でも、今回はそうした将来につながるような検討をするところまで、行きつきませんでした。
「オンボーディング」という考え方
クラウドサービスなどは最初の30日間無料といったケースが多く、その間にしっかりと使ってもらえないと有料ユーザーへと移行してもらえません。
そのためこうしたお試し期間中にきちんと使いこなせるようサポートすることを
「オンボーディング」
といったりするそうです。
※マーケティングの専門家はないので、細かい点で正しくないかもしれませんが、その点はご容赦を。
例えば新しいクラウドサービスを使い始めたときに、ポイントを絞って使い方を説明するメールが最初の1週間、毎日届いたりしませんか?
そうした対応がオンボーディングのひとつだと理解していますが、今回試したサービスは、こういうのが無かったんです。
世界的にはそれなりに有名なサービスなのかもしれませんが、そんなのしなくても使えるだろうという考え方だったのか、個人ユーザーにまで対応していられないということだったのかはわかりません。
最初の1週間に届いたメールは、登録時の「Welcome!」的なメールと、あと「タスク登録したけど終わってないよ」と催促するメール。
実を言うとこのタスクを完了するやり方すらよくわからない状況。
私がチュートリアルやマニュアルを見つけられていないだけかもしれませんが、初心者がつまずきそうな部分を先回りして対応しないと、サービスをしっかり使ってもらうのは難しいでしょう。
今回の事例で、サービスを使い始めたときのサポートって大事だな、と改めて思った次第です。
税理士の仕事にオンボーディングの考え方は必要ない?
クラウドサービスとは異なり、税理士の仕事だと、1年間の顧問契約を締結してからサービスを提供するケースが多いものです。
事前に年間契約が確定した状態で仕事が始まるので、お試し期間から有料ユーザーに移行してもらうためのオンボーディングのような考え方は、あまり重要ではないかもしれません。
ただ自動更新のケースが多いとはいえ、1年後に契約を継続してもらうためには、提供するサービスに満足していただく必要があります。
自分が提供するサービスに関しては、新たに契約した方はいってみれば「初心者」です。
だからこそ、先ほども書いたように、初心者の方がつまずきそうな部分を先回りして対応するという視点は必要でしょう。
ここをきちんと対応しないと、税理士と契約したけど何もしてくれないので、何のためにお金を払っているのかわからない、という不満を持たれてしまいかねません。
もちろん顧問契約って、何かあったときに相談できるという内容ですから、申告書作ってもらう以外に相談すべきことがないのは、会社が順調にいっているともいえます。
ただ税理士といえどもサービス業。そうした状況にあぐらをかくのはよくありません。
新規に契約して新たにサービスをご利用いただく方に対しては、例えば
- 記帳代行を受けているケース:資料の受け渡しのしやすさ・負担の軽減
- 顧問契約だけのケース:相談しやすい状況やどういった相談が可能かの提示
など、満足度を高めるために、配慮できる部分はいろいろとあるのではないでしょうか。
提供するサービスについて「使いやすい」「満足できる」という感覚を持ってもらえるような取組みは、やはり欠かせません。
クラウドサービスの方は思うように活用できませんでしたが、反面教師として自身の対応を見直し、きちんとよい方向に変えていきたいものです。
投稿者
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大学卒業後、大手上場企業に入社し約19年間経理業務および経営管理業務を幅広く担当。
31歳のとき英国子会社に出向。その後チェコ・日本国内での勤務を経て、38歳のときスロバキア子会社に取締役として出向。30代のうち7年間を欧州で勤務。
40歳のときに会社を退職。その後3年で税理士資格を取得。
中小企業の経営者と数多く接する中で、業務効率化の支援だけではなく、経営者を総合的にサポートするコンサルティング能力の必要性を痛感し、「コンサル型税理士」(経営支援責任者)のスキルを習得。
現在はこのスキルを活かして、売上アップ支援から個人的な悩みの相談まで、幅広く経営者のお困りごとの解決に尽力中。
さらに、商工会議所での講師やWeb媒体を中心とした執筆活動など、税理士業務以外でも幅広く活動を行っている。
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