今年も個人の確定申告が始まりますが、確定申告には色々と間違いやすいポイントがあります。今回は所得税に関して間違いやすいポイントを取り上げます。
目次
所得税などの確定申告が始まります
2月16日から所得税の確定申告時期が始まります。
確定申告に関連する情報として国税庁が
というサイトを準備しています。
所得税以外にも消費税や贈与税に関するQ&Aが(記事執筆時点で)48問掲載されています。
今回はこのうち所得税に関するものから、間違いやすいポイントについて取り上げたいと思います。
所得税確定申告で間違いやすいポイント
所得税の確定申告時期は?(Q2)
今年でいえば2024年2月16日(金)から3月15日(金)までとされています。還付申告については2月15日以前でも行えます。
ただ実際には確定申告書等作成コーナーを使えば現時点でも提出は可能です。
これについては通達が出ていて
その年分の確定申告書(法第122条第1項《還付等を受けるための申告》に規定する申告書を除く。)がその年の翌年2月15日以前に提出された場合には、当該申告書は通則法第17条第2項《期限内申告》に規定する期限内申告書に該当するものとする。
所得税基本通達120-2
とされています(太字は筆者)。要するに、期限前に提出しても確定申告期間に提出したものとして扱いますよということです。
そのため
「どうせ提出できないから、確定申告時期が始まってから着手しよう」
と考えてもらう必要はありません。今すぐ申告の準備を始めましょう。
還付申告の期限はいつまで?(Q6)
「還付申告については5年間できる」という知識をお持ちの方も多いかもしれません。
この点について注意すべきは、いつから5年間かという点です。
還付申告ができる期間は確定申告期限(3月15日)からではなく、還付の対象となる年の翌年1月1日から5年間となります。
つまり2023年分の還付申告については、2024年1月1日~2028年12月31日まで行うことが可能です。
2029年3月になって提出しても受け付けてもらえませんのでご注意ください。
なお、55万円や65万円の青色申告特別控除を受けるためには、申告期限(3月15日)までに確定申告書を提出する必要があります。
このような場合には、還付申告であっても法定申告期限内までに提出する必要がありますのでご注意ください。
転居等により源泉徴収票の住所と違うけどどうすればいい?(Q8)
会社から源泉徴収票を受け取ったけれど、その後転居や結婚などにより確定申告を行う時点では住所や氏名が変わっているケースもあるでしょう。
こうした場合については、申告時の住所・氏名を記載することになります。
ちなみにこうしたケースでは還付申告となることが多いと思いますが、還付金の振込先口座の名義は、申告する氏名と同じものを指定してくださいとのことです。
間違いの多いポイントは?(Q17)
確定申告の際に誤りやすいポイントとして次のようなものが挙げられています。
- 副業収入の申告漏れ
- インターネットなどを使ったサイドビジネスについても、副収入等によって20万円を超える所得を得ている場合には確定申告が必要となります。こうした漏れに対する税務署の目は厳しくなっていますのでご注意ください。
- 一時所得の申告漏れ
- 生命保険の満期金や一時金などを受け取った場合には確定申告が必要となるケースがあります(税金がかからないケースもあります)。生命保険会社等からの案内で申告が必要かどうか確認しておきましょう。
- 医療費控除の計算誤り
- 薬局で購入した治療に必要な医薬品の購入は医療費控除の対象ですが、同時に購入した日用品は対象外ですので医療費控除の計算に含めないよう注意してください。レシートが一緒になっていても、対象となる金額だけを集計してください。
- ふるさと納税の適用漏れ
- ワンストップ特例を申請していたとしても、確定申告を行う場合はワンストップ特例を申請した分も含めて、改めて寄附金控除のために必要な項目を記載する必要があります。必要事項を記載しないとふるさと納税をしたにもかかわらず控除を受けられません。
- 予定納税額の記載漏れ
- 事業所得者などの方で、予定納税として納税した金額を確定申告書に記載しないと、過大に税金を払うことになってしまいますのでご注意ください。
提出した確定申告が間違っていました。どうすればいい?(Q20)
提出後その年の申告期限までに誤りに気付いた場合には、訂正した申告書を期限までに提出すれば問題ありません。
一般的にこれを「訂正申告」といいます。
ただし、還付申告の場合ですでに還付税金が支払われていて、訂正することで還付税金が減ってしまったり、還付ではなく納税になってしまう場合には、既に還付済みの税金との精算(納付)の手続も必要となりますので、事前に税務署に確認することをお勧めします。
なお申告期限後に誤りに気付いた場合には
- 税額が減ることになるケース:更正の請求
- 税額が増えることになるケース:修正申告
という手続きが必要となります。
通常の申告書の提出とは異なる様式での提出が必要であったり、過少申告加算税という税金が追加でかかるケースもありますのでご注意ください。
余裕を持って申告することをお勧めします
国税庁が公表しているQ&Aから間違いそうなポイントをピックアップして確認しました。
今回確認したように、2月16日を待たずに申告書を提出することは可能ですし、もし提出後に間違いに気付いたとしても期限内であれば再提出が可能です。
申告期限ギリギリになって慌てて申告書を作成して提出するとなると、気持ちは焦りますし、ミスする可能性が高くなってしまいます。
確定申告といった面倒な作業は早めに済ませてしまう方が精神的にもよいでしょう。
まだ2023年の確定申告に手をつけていないという方は、ぜひ今から準備を進めていきましょう。
投稿者
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大学卒業後、大手上場企業に入社し約19年間経理業務および経営管理業務を幅広く担当。
31歳のとき英国子会社に出向。その後チェコ・日本国内での勤務を経て、38歳のときスロバキア子会社に取締役として出向。30代のうち7年間を欧州で勤務。
40歳のときに会社を退職。その後3年で税理士資格を取得。
中小企業の経営者と数多く接する中で、業務効率化の支援だけではなく、経営者を総合的にサポートするコンサルティング能力の必要性を痛感し、「コンサル型税理士」(経営支援責任者)のスキルを習得。
現在はこのスキルを活かして、売上アップ支援から個人的な悩みの相談まで、幅広く経営者のお困りごとの解決に尽力中。
さらに、商工会議所での講師やWeb媒体を中心とした執筆活動など、税理士業務以外でも幅広く活動を行っている。
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