年1回しか行わない業務は前年の作業内容を確認したりするなど、定期的なものと比較して効率が落ちやすいものです。こうした業務を効率的に進める方法を検討してみましょう。
個人であれ法人であれ申告は年に1回の業務
前回、個人事業者向けに来年の申告に向けた準備について書きました。
今回は税理士側の視点で検討してみましょう。
所得税の申告に限らず、法人税の申告であってもその個人や会社という観点では通常は年1回しかありません。
そのため、いざ決算や申告書作成などを行おうとすると細かい内容を忘れてしまっているものです。
前回の記事で
「一年後の自分に向けた引継書を作る」
という内容を書きましたが、税理士も同様に自分に向けた「引継書」となるべきものを作るべきです。
では具体的にどのようなソフトやサービスを使うかですが、過去にはkintoneを使ったりEvenoteでメモやチェックリストを作ったりといろいろやりました。
ただどれもしっくりこなかったため、最終的にTrelloのチェックリストを使う方法に落ち着いています。
Trelloのチェックリストの活用法
引継書的なものを作ろうとした場合、最初に失敗したのは
「長々とした文章で書いてしまったこと」
でした。
もちろんきちんと読めば内容はわかるのですが、自分が書いたものであっても長文を読むのは大変です。
しかも自分で書いたはずなのに、1年後に読むと内容がよくわからないということもあったりします。
長文で書かずに1年後の自分に伝えるにはどうすべきかと考えた結果
- 伝えたい内容をひとつひとつの作業(タスク)にまで落とし込む
- タスクをTrelloのチェックリストにする
- 繰り返しタスクにして申告時期が来たら自動的に表示させる
- チェックリストに書ききれない内容は「説明」欄に補足を書いておく
という方法に落ち着きました。
イメージとしてはこんな感じになります。
チェックリストには、作業する順に上からタスクを並べていきます。
作業する順番に並べておくことで作業リストとして使えますので、ここを見れば作業の流れが理解できます。
さらにチェックリストの形で作っていますので、作業モレを防ぐためのチェックリストとしても活用できます。
終わった作業を消し込んでいけば進捗が見える化できて、チェックを付け終わったときには業務が終了しているわけです。
チェックリストの項目が長くなりすぎて読みにくくなる場合には、「説明」欄に補足説明を入れておきます。
今回のサンプルで言えば、提出してもらう資料の一覧をチェックリスト内ではなく「説明」欄に書きました。
もし毎年同じようなメールの文面で資料を依頼しているのであれば、メールの文面を説明欄に貼付けておくのもひとつの方法です。
実際に作業をする中で
「この作業がチェックリストに書いてない」
「この書き方だと何をするのかわかりにくい」
と感じた点については、来年に向けてチェックリストを見直します。
作る際のポイントは
- 読めば何をすべきかすぐにわかるレベルまで細分化する
- 1年後の自分が理解できる書き方をする
の2点です。
このようにチェックリストと「説明」欄を見れば何をすればよいのかすぐにわかる形にすることで、自分宛の「引継書」が完成します。
なおチェックリストの作成方法やカードを一定の日に自動的に表示させる方法については、以下の記事をご参照ください。
ちなみに「説明」欄の箇条書きなどは、以前はマークダウンという方法で書く必要があったのですが、最近機能追加されてボタンで選べるようになりました。
「えーっと、何するんだっけ?」を最大限減らす
いざ作業をするときに、過去の資料を引っ張り出して1年前の作業内容を確認するのは効率的とはいえません。
今回ご紹介したような形で作業リスト兼チェックリストにまとめておけば、すぐにはじめることができます。
所得税の確定申告などの場合、全員期限が同じですからどうしても仕事が立て込んで来るものです。
そうした状況では疲労による注意力散漫といった状況になりやすいですから、できるだけ脳のリソースを余分なこと(=前回の作業内容を確認するなど)に割かないようにしておくべきでしょう。
今回はTrelloを使った方法をご紹介しましたが、Teamsを使っている環境であれば、Microsoft Plannerでも同じようなことが可能です。
Plannerについても以前一度記事にしておりますので、ご興味があればご参照ください。
投稿者
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大学卒業後、大手上場企業に入社し約19年間経理業務および経営管理業務を幅広く担当。
31歳のとき英国子会社に出向。その後チェコ・日本国内での勤務を経て、38歳のときスロバキア子会社に取締役として出向。30代のうち7年間を欧州で勤務。
40歳のときに会社を退職。その後3年で税理士資格を取得。
中小企業の経営者と数多く接する中で、業務効率化の支援だけではなく、経営者を総合的にサポートするコンサルティング能力の必要性を痛感し、「コンサル型税理士」(経営支援責任者)のスキルを習得。
現在はこのスキルを活かして、売上アップ支援から個人的な悩みの相談まで、幅広く経営者のお困りごとの解決に尽力中。
さらに、商工会議所での講師やWeb媒体を中心とした執筆活動など、税理士業務以外でも幅広く活動を行っている。
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