この仕事をする上でデータ化サービスを利用しますが、データの正確性は100%ではありません。この点をどう扱うべきかについて考えてみたいと思います。
カタカナのミスが多いような・・・
お客さんの中には諸々の事情によりネットバンキングを使っていない方もたまにいらっしゃいます。
そうした方の通帳から仕訳を作成する際にはSTREAMEDというデータ化サービスを使います。
このSTREAMEDというサービス、全般的には満足しているのですが時々正しくデータ化されないことがあります。
特に振込入金が多く、カナカナの摘要が増えてくるとミスする可能性が高いという印象です。
具体的には「テ」を「ケ」、「キ」を「ト」といったケースなど。
海外で対応されていることを考慮すると、チェック時の見落としもあり得るかなと思えたりはしますが・・・。
ウエブサイトでの案内などでも100%の正確性を保証されているわけではありませんので、こうしたミスがあったとしてもやむを得ないと思っています。
(今後の改善のために「間違っている」というのは都度連絡したり、機能改善の要望を出したりはしますが)
実際のところ、こうしたミスがあったとしても少なくとも9割以上は正確にデータ化されているという印象です。
もしデータ化精度100%のサービスを要求してしまうと、料金は恐らく倍ではすまないでしょう。
完璧を求めてしまうと実現するためのコストは跳ね上がりますので、ある程度の精度が保証されるのであれば、その前提で利用するのがコストと効率化を踏まえた現実的な対応だと考えます。
自衛手段としてミスを見つける仕組みを準備する
そうはいっても、当然こちらとしては正確な帳簿を作成する必要がありますので、間違ったデータのまま帳簿を作成するわけにはいきません。
ではデータ化サービスにミスがあることを前提に、どのような方法及び考え方で運用しているかといいますと
- 摘要から仕訳を作成する学習ルールをできるだけ登録する(学習ルールが適用されないデータを減らす)
- 通帳のデータ化については最終的に残高でチェックする(個別の金額チェックはしない)
- レシートのデータ化が必要な仕事は原則として受けない
としています。
もう少し具体的に説明します。
そもそもなぜ正しくデータ化されていないものに気付くかといいますと、事前に登録した学習ルールが適用されないからです。
学習ルールが適用されない理由としては、銀行側や振込側が振込時の摘要を変更してしまうケースもありますが、そんなに頻繁に起きるものではありません。
そのため学習ルールが適用されるはずのデータがそのままになっていると
「あ、データ化が間違ってる」
と気付くというわけです。
つまり、できるだけ通帳の摘要に対して学習ルールを登録しておけば、「摘要」データ化のミスに気付くことができます。
では「金額」のデータ化についてははどうかといいますと、これは学習ルールではチェックはできないケースの方が多いです。
実際「金額」データについては、各データの金額が正しいかはチェックしていません。
会計ソフトにインポートした後に帳簿残高と通帳残高を照合し、もし合っていなければそこから原因を調査することにしています。
(今まで金額が間違っていたことはほぼなかったと思います)
通帳のデータ化であればこのように残高で最終的に金額チェックができるのに対して、レシートではこうした方法を使うことができません。
そのため正確に記帳するのであれば、データ化された金額が正しいかSTREAMEDの画面で一枚ずつ確認する必要があります。
この作業は紙をデータ化する手間を省くためにサービスを利用していることからすると、効率的とはいえません。
別途レシートの金額を集計しておいてトータルで合せるという方法もありますが、やり方が違うだけでムダな作業であることに変わりはありません。
そのためSTREAMEDは
「ネットバンキングを使えない場合の通帳をデータ化するために使うもの」
という位置づけにして、大量のレシートを預かってこちらで記帳が必要な仕事は受けないことにしています。
用途を明確にすることで精度が100%でない部分を補うことにしているというわけです。
サービスのクセを理解して上手に活用する
繰り返しになりますが、100%正確なサービスを求めてしまうとコストとして現実的なレベルを超えてしまいます。
リーズナブルな値段で提供されているサービスを上手に活用することが大事です。
またサービスごとに「クセ」のようなものはあります。
こうした「クセ」を把握・理解した上で利用すれば、足りない部分を補いつつ業務の効率化に役立てることができます。
「100%の正確性じゃないなんておかしい」と考えずに、今あるサービスを上手に活用することを検討しましょう。
投稿者
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大学卒業後、大手上場企業に入社し約19年間経理業務および経営管理業務を幅広く担当。
31歳のとき英国子会社に出向。その後チェコ・日本国内での勤務を経て、38歳のときスロバキア子会社に取締役として出向。30代のうち7年間を欧州で勤務。
40歳のときに会社を退職。その後3年で税理士資格を取得。
中小企業の経営者と数多く接する中で、業務効率化の支援だけではなく、経営者を総合的にサポートするコンサルティング能力の必要性を痛感し、「コンサル型税理士」(経営支援責任者)のスキルを習得。
現在はこのスキルを活かして、売上アップ支援から個人的な悩みの相談まで、幅広く経営者のお困りごとの解決に尽力中。
さらに、商工会議所での講師やWeb媒体を中心とした執筆活動など、税理士業務以外でも幅広く活動を行っている。
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