広告

来年10月のインボイス制度開始に向けて、「早めに登録しましょうね」という広報をよく見かけます。今回は、不慣れな人がこの申請をオンラインで本当にできるのかという疑問についてです。

インボイスの登録申請、電子申告でも大変そう

インボイスを発行するためには税務署に登録申請をする必要があります。

税務署からの広報では、多くの場合

「早めに登録申請してね、申請はe-Taxですると便利ですよ」

と案内されます。

最近ある方から

「e-Taxでインボイス登録申請するのって結構メンドクサイ」

という話を聞く機会があり、少し気になったので確認してみました。

※税理士は通常は利用している税務ソフトで電子申告しますので、e-Taxソフトを使ってインボイス申請をする機会はほとんどありません。

e-Taxを使ってインボイス登録申請をするために国税庁が提供しているマニュアルがこちら。

適格請求書発行時業者の登録申請データ作成マニュアル~e-Taxソフト(Web版)ver.~

うん、凄いですね。紙だとたった2枚の申請書を提出するために、全部で27ページのマニュアルを読まないといけない。

申請手続についての説明ページには

 「e-Taxソフト(WEB版)」及び「e-Taxソフト(SP版)」による申請については、画面に表示された質問に回答していくことで、入力漏れ等がなく、スムーズに申請データを作成することができる「問答形式」を採用していますので、ぜひ、e-Taxをご利用ください!

とありますが、この「問答形式」の入力にたどり着く前の準備だけでマニュアルの10ページほどが使われています。

税理士じゃなかったら、恐らく私も準備作業の段階で心折れてるでしょう。

インボイス制度の導入により、今まで消費税の納税と縁がなかった免税事業者の方が登録するケースも増えてくるはず。

こうした方は税理士とのお付き合いがない方も多いでしょうし、普段e-Taxソフトを使う機会もほとんどなく、そもそもこうした税務署に提出する書類作成に慣れていません。

そうした方に超えてもらうハードルとしては、ちょっと高いんじゃないか、というのがマニュアルに目を通した上での感想です。

税務行政DXって「税務署に行かずにすべての手続ができる」のではなかったの?

国税庁は昨年「税務行政のデジタル・トランスフォーメーション―税務行政の将来像2.0-」という資料を公表し

「あらゆる税務手続が税務署に行かずにできる社会」

の実現を目指すとしています。

インボイス登録申請の手続きなどをみていると、まだまだ道のりは遠いと感じる次第です。

自宅からでも提出できる環境は整えられていますが

入力方法や手順がよくわからない → 質問しようとしても問合せ手段がコールセンターしかない → 画面を見ながら話ができないのでよくわからない → 諦めて税務署に聞きに行く又は紙で提出する

というケースが起きているのではないでしょうか。

インボイスに関する問い合わせ先として

軽減・インボイスコールセンター(消費税軽減税率・インボイス制度電話相談センター)

が設置されていますが、(確認はしていないものの)e-Taxの操作については、e-Tax側の窓口に問合せするよう言われるんじゃないかと。

インボイス制度に関する手続きを電子申告でする場合には

  • 制度に関する相談(質問に対してどちらを選ぶべきかなど)
  • 電子申告の操作に関する相談(マイナンバーカードの読み取りなど)

の両方に答えてもらえる窓口でないと処理がスムーズに終わらない可能性が高いです。

私の想像でしかありませんが、コールセンターに問い合せても1回で解決しないというケースも結構あるのではないでしょうか。

広告

訪問してもらわなくても対応できる仕組みを検討する

ざっと確認した感じでは、納税者ご自身でインボイス申請をしようとしても、電子申告での申請手続きを断念して税務署に相談に行ったり、紙で提出する方が一定数いらっしゃるのではないかと。

こうした方を減らそうとするのであれば

  1. 疑問が浮かばないようなシンプルな制度・仕組みにする
  2. わかりやすいマニュアルを作って配布する
  3. 対面でなくても対面と同じように対応できる仕組みを作る

といった施策が必要です。

とはいえ、今さら急に制度を大きく変えることはできないでしょうから、1については期待薄。

制度を元にe-Taxの入力画面に落とし込んでるなら、2もこれ以上わかりやすくはならないかも。

ということで1・2はあまり期待できないかもしれません。

あとはせめてコールセンターじゃなくて、予約制でもいいのでビデオ会議で操作説明してくれる窓口があれば多少は状況が改善するんじゃないかと思うんですが、そこまでできる人材がいるかどうか。

ビデオ会議の場合、受付者の顔を出ししたくないといった理由があるのかもしれませんが、今ならアバター使うとかやり方はいろいろあります。

電子申告の相談だから、アバターはすべてイータ君でとか思いましたが、目の前の画面にずっとイータ君がいるとか怖いですね・・・。

よくよく考えみると、今回の内容って他人事ではなくて、自社の生産性を上げようと思ったら「どうやって問合せを減らすか」というのは常に考えておく必要があります。

「人の振り見て我が振り直せ」ではないですが、自らが提供している仕事についても、同様の状況になっていないか気をつけておかないといけませんね。

投稿者

加藤 博己
加藤 博己加藤博己税理士事務所 所長
大学卒業後、大手上場企業に入社し約19年間経理業務および経営管理業務を幅広く担当。
31歳のとき英国子会社に出向。その後チェコ・日本国内での勤務を経て、38歳のときスロバキア子会社に取締役として出向。30代のうち、7年間を欧州で勤務。

40歳のときに会社を退職。その後3年で税理士資格を取得。

中小企業の経営者と数多く接する中で、業務効率化の支援だけではなく、経営者を総合的にサポートするコンサルティング能力の必要性を痛感し、「コンサル型税理士」(経営支援責任者)のスキルを習得。

現在はこのスキルを活かして、売上アップ支援から個人的な悩みの相談まで、幅広く経営者のお困りごとの解決に尽力中。
広告