コミュニケーションがうまくいかず、こちらの意図が正しく伝わらないということは、常に起こり得ることです。今回は、こうしたトラブルを避けるために気をつけるべき点について考えてみます。
それって支払い終わったの?終わってないの?
税金を金融機関に行かずに支払う方法のひとつに「ダイレクト納付」があります。
この方法で支払う場合には
- 国に支払う税金の場合:e-Tax
- 地方自治体などに支払う税金の場合:eLTAX
という仕組みを使います。
(ちなみにどちらも税金なんだから、同じ仕組みを使わせてくれれば支払側はかなり楽になるのですが・・・)
ダイレクト納付での支払が終わると、支払が終わったことを伝えるメールが来ます。
この文面なのですが、e-Taxの場合は
「e-Taxをご利用いただきありがとうございます。ダイレクト納付が完了しましたので、ご連絡します。」
となっていて支払が完了したことがハッキリとわかります。
ところがeLTAXの場合は
「eLTAX(地方税ポータルシステム)をご利用いただきありがとうございます。納付結果に関するメッセージをeLTAXのメッセージボックスに格納しました。」
となっていて、この文面を見る度に
「支払は無事終わったの?終わってないの?どっちなの?」
というモヤモヤしたものを感じます。
一応eLTAXから送られて来るメールのタイトルは
「eLTAXからのお知らせ:納付の完了」
となってますので、納付は終わってるんだろうと判断できるのですが、だったら本文にもきちんとそう書いておいてくれれば、と毎回感じている次第です。
まずは「本当に伝えるべきこと」を明確にする
とはいえ気をつけないと、いつのまにか自分も同じようなことをしてしまっている可能性はあります。
仕事柄、経営状況や税額、資金繰りなどいろんな情報をお客様にお伝えするわけですが、毎回伝えたい内容は違います。
短期的に資金繰りに気をつけないといけない状況なのに、赤字か黒字かといった利益の話ばかりしてしまっていないか。
税金の予測に基づいて決算対策の検討をすべきなのに、資金繰りの話ばかりしていないか。
こんな風に、最も伝えたいことではない話に、時間を多く割いてしまうことは十分にあり得ます。
もっと極端な例でいえば、税金を支払ってもらうために紙の納付書を郵送で送ったものの、その方が紙の納付書に不慣れなため
「税理士から書類が送られてきたので、保存しておけばよいと思った」
と誤解して、期日までに税金を払ってもらえなかったというケースも考えられます。
この事例でいえば、最も伝えるべき情報である
「この書類を持って金融機関に行き、○月×日までに支払うこと」
がきちんと伝わらなかったことが原因です。
特にこちら側が慣れている仕事などの場合
「相手も当然理解できるはず」
と無意識のうちに考えてしまうものです。
「相手に本当に理解してもらいたいことは何か」という点を少し意識することで、相手に伝えるべき情報が明確となり、そのことが相手に誤解を与えないコミュニケーションの第一歩となります。
「伝え方」を磨くことも大事
相手に伝えたいことが明確になったとしても、それがきちんと伝わらなければ、結局は相手側で誤解が生じてしまいます。
だからこそ「どうやって伝えるか」という点も重要です。
先ほどの納付書の例でいえば
「この書類を持って金融機関で○月×日までに税金を払ってください」
と書いたメモを納付書に貼付けておくか、別途メールで連絡するといった方法が考えられます。
人によっては、添付されたメモをきちんと読まない人もいるかもしれませんし、納付書と別にメールが来ると逆に理解しにくい人がいるかもしれません。
また経営数字の報告の例でいえば
- 強調したい部分にマーカーを引いたり、吹き出しのコメントをつける
- 最初に報告内容のサマリーをつけて、重点項目のみ記載しておく
- 報告の最後に「今回これだけは覚えといてください」と改めて強調する
といった方法が考えられます。
とはいえ、相手に情報を伝える方法には様々なやり方がありますので、「どうやって伝えるか」については、絶対的な正解はないと考えています。
伝えるべき内容や相手の性格・状況などいろんな要素により、そのときのベストといえる方法は変わってくるものです。
だからこそ、「伝え方」については常に改善していく必要があるんだろうと。
相手に誤解を生じさせないコミュニケーションというのは非常に難しい問題ではありますが
- 「本当に伝えるべきこと」を自分の中で明確にする
- そのとき最も効果的に伝わる「伝え方」は何かを考える
という2点を意識するだけでかなり変わってくるのではないでしょうか。
「コミュニケーションの行き違いで最近トラブルが多い」と感じている方であれば、上記の2点について一度見直してみることをお勧めします。
投稿者
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大学卒業後、大手上場企業に入社し約19年間経理業務および経営管理業務を幅広く担当。
31歳のとき英国子会社に出向。その後チェコ・日本国内での勤務を経て、38歳のときスロバキア子会社に取締役として出向。30代のうち7年間を欧州で勤務。
40歳のときに会社を退職。その後3年で税理士資格を取得。
中小企業の経営者と数多く接する中で、業務効率化の支援だけではなく、経営者を総合的にサポートするコンサルティング能力の必要性を痛感し、「コンサル型税理士」(経営支援責任者)のスキルを習得。
現在はこのスキルを活かして、売上アップ支援から個人的な悩みの相談まで、幅広く経営者のお困りごとの解決に尽力中。
さらに、商工会議所での講師やWeb媒体を中心とした執筆活動など、税理士業務以外でも幅広く活動を行っている。
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