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ITは便利なツールですが、どこまで活用すべきでしょうか。そんな線引きについて考えてみたいと思います。

市町村の読み方って意外とわかりません

個人の方の確定申告も大詰めを迎えていますが、所得税の確定申告をしていると、ふるさと納税を受けるために市町村の名前を入力することがあります。

入力していていつも思うのは

「読み方がわからない市町村って意外と多い・・・」

ということ。

「おそらくこう読むのだろう」と思って入力してみたものの、正しく変換されず、やむを得ず漢字を一文字ずつ入力するなんてこともよくありました。

最近ではIME(変換ソフト、現在はATOKを使用)の性能の向上は素晴らしく、少々読み方を間違って入力しても自動的に正しく変換してくれるため、こうした苦労もかなり減り助かっています。

さらに今年入力していて気付きましたが、間違った読み方で入力したものを正しく変換した上で

「正しい読み方はこうですよ」

と表示までしてくれます。

ATOKによる変換時の表示。宇城市の皆様、正しく読めなくてゴメンナサイ。

ここまで来ると少々お節介な気もしますが、間違った知識を正してくれるという点では便利な機能だと思います。

こうした機能を上手に活用すれば、市町村の読み方を正しく覚えていなくても、必要とする文字を入力することができます。

考えてみれば、京都の地名でも読めないものは結構あります。

「烏丸丸太町」を観光客の方が「とりまる まるふとちょう」と読んで、地元の人がどこかわからなかったみたいな話が昔ありましたが、確かに初見で読めないですよね(正しくは「からすま まるたまち」と読みます)。

脳のリソースは有限、記憶にばかり労力を割かない

こうした「ITで便利になったよね」という話をすると、稀に

「そうやって自分できちんと覚えようとしないから、脳が衰えていく」

といった論調の反論があるような、ないような。

脳の専門家ではありませんので、実際のところどうなのかはよくわかりませんが、最近は聞かなくなってきたようにも思います(パソコンやスマホが出始めた頃にこうした話が多かったような気もします)。

記憶するという行為にITを活用することについては、個人的には大賛成です。

言葉の意味を調べるのに辞書(紙は電子かは別として)を使わない方はまずいないでしょう。

記憶していることが大事と言う方であっても、辞書の内容をすべて覚えている方はまずいないはず。

文字や紙がない時代であれば、口伝で知識を伝えるしかありませんでしたが、文字や紙の発明により、知識のすべてを覚えておく必要は無くなったわけです。

最初に取り上げたATOKによる入力のサポートも、私はこうした流れの延長線上だと考えています。

だから素直に活用すればいい、というスタンスです。

日常生活においても、できるだけ「覚えすぎない」ということを意識しています。

ここ数年は

  • 思いついたアイデアはすぐにスマホでメモして記憶しようとしない
  • 税金に関して調べたことで後で使いそうなものは、きちんとまとめて所定の場所に保存しておく

といった形で、短期記憶であれ長期記憶であれ

「ここを見れば自分が記憶しようとしたものがある」

ということだけ覚えるようにしています。

人間の能力には限界がありますから、「記憶」という行為にできるだけリソースを使わずに、考えることなどに力点を置くべきという考え方からこうしています。

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どこまで活用するか自分のスタンスを決めておく

このように書くと、「一切記憶する必要が無い」という考え方だと思われるかもしれませんが、実はそういうわけでもありません。

例えば税理士試験での理論暗記や英語学習における英単語の暗記など、最低限頭に入れておくべきものはあります。

税理士試験の理論の暗記は、試験の際に効率的に解答するためという側面もありますが、一度は税法理論の体系を頭の中にたたき込まないと、必要な情報をすぐに見つけることができません。

英単語にしても、英文を読んだり会話をする際に、一語一語すべて辞書で調べていたのでは、逆に効率が悪くなります。

「ある程度の知識を頭の中に入れた後は、なんでもかんでも覚えようとしなくていい」というスタンスです。

どこで線引きするかは人それぞれですが、覚えることに労力を使いすぎると、他にできないことが出てきてます。

自分なりのスタンスをきちんともって、自分のアタマを上手に活用していきましょう。

投稿者

加藤 博己
加藤 博己加藤博己税理士事務所 所長
大学卒業後、大手上場企業に入社し約19年間経理業務および経営管理業務を幅広く担当。
31歳のとき英国子会社に出向。その後チェコ・日本国内での勤務を経て、38歳のときスロバキア子会社に取締役として出向。30代のうち7年間を欧州で勤務。

40歳のときに会社を退職。その後3年で税理士資格を取得。

中小企業の経営者と数多く接する中で、業務効率化の支援だけではなく、経営者を総合的にサポートするコンサルティング能力の必要性を痛感し、「コンサル型税理士」(経営支援責任者)のスキルを習得。

現在はこのスキルを活かして、売上アップ支援から個人的な悩みの相談まで、幅広く経営者のお困りごとの解決に尽力中。

さらに、商工会議所での講師やWeb媒体を中心とした執筆活動など、税理士業務以外でも幅広く活動を行っている。
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