多くの方が自分のキャリアを考えるときに「自分の強みとは何か?」について考えると思いますが、意外と見落としがあったり、伝え方が悪かったりして十分に活かせていないケースもあるのではないでしょうか。
自分が認識する「強み」が、最も役立つものとは限らない
自分の「強み」がなにかについて、考える方は多いのではないでしょうか。
個人事業主であれば自分のセールスポイントとして、会社員であれば今後の自分のキャリアを考える上での基本的な情報として、定期的に確認をする機会があると思います。
そのために、いわゆる「スキルの棚卸」として、紙に箇条書きにしてみたり、マインドマップを書いてみたりして、自分の頭の中に思い浮かぶものをまとめていくワケですが、自分の「強み」というのは意外と見えていないのではないかと。
例えば、私自身、自分にとっての「強み」を挙げなさいと言われたとすると、
- 税金の計算ができます(所得税・法人税・消費税だけじゃなく、相続税もできます)
- FPの資格があるので、ライフプランの相談にも乗れます
- ITツールについてもそれなりに使いこなせます
- メーカーで経理やってたので、会社の経理のことよく知ってます
- 海外出向していたので、英語もそれなりにわかります
といったことを真っ先に挙げます。
ところが、キャリアを考える上での「強み」というのは、何かの役に立つ必要があるわけで、上に書いたような大仰なものではなく、
- 人にわかりやすく説明できる
- 資料の作り方が上手
- 相手の話を聞いて、本当の問題点を見つけ出せる
といった、他人にとって価値はあるけど、自分にとっては当たり前すぎて「強み」と認識していないことが結構あるのではないかと。
そうした点を意識しておかないと、野球で言うところのホームラン狙いみたいな「強み」ばかり挙げてしまって、コツコツとヒットを打つような「強み」を見落としてしまうのではないかと考えています。
自分の「強み」は、そのままではきちんと伝わらない
とはいえ、自分ができることを正しく認識できたとしても、次に難しいのがそれをどうやって他人に伝えるかという点。
自分のセールスポイントとして伝えるのであれば、聞いた人が「自分にとってどんな役に立つのか」をわかるように伝えないと、伝えていないのと同じことになってしまいます。
例えば、先ほどの内容をもう一度列挙してみると、
- 税金の計算出来ます
- ライフプランの相談に乗れます
- ITツール使えます
- 製造業の経理の経験あります
- 英語も多少使えます
と並べたところで、それを聞いた人からすれば、その人にとってどういう役に立つのか、という点が見えてきません。
そうではなくて、例えば、
- わかりにくい税金を、理解できるようにお伝えできます
- ITツールを使って、メンドウな経理処理をラクにするお手伝いができます
- 日常業務で英語に関するちょっとしたお困りごとがあればサポートします
といった形で伝えれば、聞いた人は具体的にどんなときに助けてもらえるのかイメージすることができますので、自分の「強み」をきちんと他人に伝えることができます。
とりあえず「強み」を列挙してそのまま伝えるというのではなくて、「こんなことを助けてくれる人いないかな」と困っている人に伝わるように、具体的なシーンを想定して、そこでどのように役立つかが明確になるように伝える、そうした伝え方が大事です。
わからないことは他人に素直に聞いてみる
自分の「強み」に結構見落としがあるんじゃないか、そしてその「強み」を他人に伝わるように伝えられていないんじゃないか、といったことを書きましたが、そうはいっても「自分の強みって、やはりよくわからない」という方も多いのではないでしょうか。
そうした場合は、やはり素直に「他人に聞く」というのが最も確実な方法です。
全般的に日本人は謙虚な方が多いので、できることであっても「自分は大したことない」と思ってしまうケースが多いものです。
会社に勤めている人であれば上司との面談の機会や同僚との雑談の中で、個人事業主の方であればお客様に(直接聞きづらければ、アンケートといった形を取るなどして)聞いてみるのが、大きなヒントを得る機会になるでしょう。
意外と自分のことは見えていないことも多く、他人からの一言で
「そんなことが人の役に立っているの?!」
と驚かされるケースも多いわけです。
「スキルの棚卸って、いつもうまくまとまらない」と感じているのであれば、
- 自分でまず書き出す
- 他人の意見を聞いて、見落としがないかチェックする
- 出てきた「強み」がどういうケースで役立つのか考えてみる
といった手順で整理してみてはいかがでしょうか。
投稿者
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大学卒業後、大手上場企業に入社し約19年間経理業務および経営管理業務を幅広く担当。
31歳のとき英国子会社に出向。その後チェコ・日本国内での勤務を経て、38歳のときスロバキア子会社に取締役として出向。30代のうち7年間を欧州で勤務。
40歳のときに会社を退職。その後3年で税理士資格を取得。
中小企業の経営者と数多く接する中で、業務効率化の支援だけではなく、経営者を総合的にサポートするコンサルティング能力の必要性を痛感し、「コンサル型税理士」(経営支援責任者)のスキルを習得。
現在はこのスキルを活かして、売上アップ支援から個人的な悩みの相談まで、幅広く経営者のお困りごとの解決に尽力中。
さらに、商工会議所での講師やWeb媒体を中心とした執筆活動など、税理士業務以外でも幅広く活動を行っている。
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