広告

海外生活の経験がありますが、その間はカルチャーショックの連続でした。海外に限らず自分にとっての「異文化」とどう付き合うべきか、考えてみました。

海外赴任中の異文化体験、思い出話など

サラリーマンをしていた頃に、通算で約7年ヨーロッパに住んでいました。

イギリス・チェコ・スロバキアと3カ国での生活を経験しましたが、それぞれいわゆるカルチャーショック的なものはありましたので、それぞれご紹介しておきます。

広告

イギリス(ウエールズ)

イギリスといっても、住んでいたのはウエールズ地方のカーディフという街でした。

当時一番驚いたのは、

「看板などに英語以外の言語が書かれている」

ということでした。

具体的には、ウエールズ語という言語があり、道路標識などには英語とともにウエールズ語が記載されていました。

ウエールズ語が表示された看板。残念ながら道路標識の写真ありませんでした・・・。

住所なども、私が住んでいたのは”HEOL Y BARCUD”というところで(確かHEOLがStreetの意味だったかと)、全く英語とはかけ離れた地名でした。

実際のところ、当時(もう15年以上前のことですが)でも、ウエールズ語は主に老人が使えるくらいで、若い人で話したりできる人はあまりいないと言われていました。

とはいえ、「イギリス=英語の国」という思い込みで赴任した者にとっては、英語以外の言語が公に使われているということは驚きでした。

広告

チェコ

その後イギリスからチェコに外地間転勤をしたのですが、そこでの驚きは、

  • スーパーマーケットでのレジで英語が通じない
  • 車が左ハンドル、右側車線

などなどありました(当たり前のことなんですが・・・) 。

英語を母国語としない国のため、英語を話せない人も多くいます(住んでいたのがプラハではなく地方都市であったことも原因でしょう)。

スーパーでの買い物の際に、チェコ語でレジで何か言われても全く理解できないという体験は、最初の頃はかなり恐ろしいものでした。「何が起きているのか理解できない」というのは、本当に不安になるものです。

ところが、これも慣れてくると「チェコ語話せません(Nemluvim Ceskyだったかな?)」というチェコ語だけ覚えて、何か聞かれても「わからないんだから仕方ないでしょ」くらいの開き直りができるようになりました。慣れとは恐ろしいものです。

あと自動車の運転です。事前にわかってはいたものの、貸与されたカンパニーカーは左ハンドルのマニュアル車。直線は問題ないのですが、右折・左折時は少し気を抜くと、入る車線を間違えそうになりました。

自動車ルールについては、日本とイギリスとが特殊だと気付かされたわけです。

スロバキア

チェコから帰国して、日本で何年間か働いた後、再びスロバキアに赴任することとなったのですが、ここでの一番のカルチャーショックは、

「チェコ語とスロバキア語は別の言語」

ということでした。

年代による差があるとは思いますが、子どもの頃に習った地図には、国としての「チェコスロバキア」が載っていたわけです。

そうした記憶があるものからすると、「なぜ言葉が違うのに、同じ国としてやっていけていたの?」という疑問が湧いてきます。

この点スロバキア人のスタッフに聞いてみたところ、

  • 別の言語といっても、かなり似通っていて同じ言葉もある(例えば、「こんにちは」を意味する「Dobry Den」は同じなど)
  • チェコスロバキア時代は、テレビなどではチェコ語が流れていたため、チェコ語を理解できる人が多かった

と教えてくれました。

ただスタッフ曰くは、「今後若い世代はチェコ語に対する理解が下がっていくだろうから、チェコ人とのコミュニケーションは少し難しくなるかも」とも。

また自分たちの言葉に対するプライドも当然持ち合わせています。スロバキアへの赴任直後のことですが、帰り際に「Na shledanou」(チェコ語で「さようなら」の意味)と言って帰ろうとしたら、周りにいたスタッフ全員から

「それチェコ語!スロバキア語じゃない!」

と一斉に突っ込まれて、驚いたことも。

言葉の違いやそれに対するプライド、そんなことを知るよい機会となりました。

スロバキア語で「さようなら」は、この看板にある「Dovidenia」です。

税理士にとっての異文化は何か?

海外に住んでいるときに、いろいろ体験してきましたが、翻って税理士にとっての異文化体験とは何だろうかと。

いろんな意見があるとは思いますが、ここ数年の流れで言えば、

  • クラウド会計の普及
  • RPAやAIを使った自動化
  • これらを受けた、紙中心からデータ中心への考え方の移行

といったことは、従来の税理士の仕事というイメージからすると、一つの異文化体験ではないかと思うわけです。

クラウド会計が出始めたころは、

「あんな仕訳入力しにくいソフト、使い物にならないよ」

なんて意見もあったと思いますが、年数が経つにつれて積極的に使う方も増えてきたという印象を受けます。

広告

異文化は反発するものではなく、取り込んで次へと進むべきもの

新しいもの、今までと異なるものが出てきた時に

「こんなの今までと違うから受け入れられない」

という姿勢で臨んでいたら、新しい価値を提供することもままなりません。

もちろん新しいものすべてを取り込む必要があるとは思いませんが、反発していては何も始まらないわけです。

海外でいろいろ見聞きしたときに、

「あ、そんな考え方や違いがあるんだ、面白いね」

くらいのスタンスで接していた方が疲れませんし、時が経つにつれてその「違う考え方」も段々と自分の常識へと変わっていきます。

そんな感じで、これからも異質なものに出会ったときに、「いきなり反発するのではなく、取り込んで次へ進めるようにしておきたいな」と昔のことを思い返しながら、自戒を込めて自分に言い聞かせておこうと思った次第です。

投稿者

加藤 博己
加藤 博己加藤博己税理士事務所 所長
大学卒業後、大手上場企業に入社し約19年間経理業務および経営管理業務を幅広く担当。
31歳のとき英国子会社に出向。その後チェコ・日本国内での勤務を経て、38歳のときスロバキア子会社に取締役として出向。30代のうち7年間を欧州で勤務。

40歳のときに会社を退職。その後3年で税理士資格を取得。

中小企業の経営者と数多く接する中で、業務効率化の支援だけではなく、経営者を総合的にサポートするコンサルティング能力の必要性を痛感し、「コンサル型税理士」(経営支援責任者)のスキルを習得。

現在はこのスキルを活かして、売上アップ支援から個人的な悩みの相談まで、幅広く経営者のお困りごとの解決に尽力中。

さらに、商工会議所での講師やWeb媒体を中心とした執筆活動など、税理士業務以外でも幅広く活動を行っている。
広告