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経理は税金を計算するために必要となりますが、そのためだけに使っていたのではもったいないです。今回は数字を「分ける」ことによる活用法を確認しておきましょう。

数字を「分ける」ことで見えてくることがある

法人であれ個人事業者であれ、経理処理をして経営成績をまとめます。

なおどれくらいの頻度でまとめるかというポイントもありますが、今回のテーマではありませんので今回はその点には触れません。

経営成績をまとめたものの、例えば試算表を見ていて

「結局、何をすべきなのかわからない」

と感じたことはありませんでしょうか。

こうしたケースで考えられる原因のひとつが、数字がごちゃ混ぜになっているというものです。

具体的にいうと

  • 複数の店舗を経営している
  • 複数の事業(小売業とサービス業など)を経営している
  • 特徴の大きく異なる商品を取り扱っている

といったケースで経営成績が合計しかないという状況です。

このときに複数店舗や複数事業の数字が合計しかないと

「店舗別に利益はきちんと出ているのだろうか?」
「事業ごとにきちんと利益は出ているのだろうか?」

といった疑問が頭に浮かぶものの、数字で確認できないためモヤモヤしてしまいます。

実際、合算で利益が出ていると安心していたところ、数字を分けてみたら大きな黒字と大きな赤字が相殺されて辛うじて利益が出ていたなんてこともありえるわけです。

このように全体の数字を眺めても見えてこないことも、数字を「分ける」ことで見えてくることがあります。

どこまで分けるかは目的と工数のバランスで

こうした場合に使うべき会計ソフトの機能が「部門」です。

部門の設定については

  • 店舗別の収益を管理したい場合:店舗ごとに部門を設定する
  • 事業ごとの収益を管理したい場合:事業ごとに部門を設定する

となります。

ただ口で言うのは簡単ですが、部門別に数字を分けるためには

  • 仕訳入力時にすべて部門を入力する
  • 複数の部門に共通する経費などについてはあとで按分方法を決めて割り振る

といった作業が必要です。

そのため部門別の管理を始める際には

  • 売上だけ分ける
  • 粗利まで分ける
  • 利益まで分ける
  • 利益だけでなく、現預金や借入金など財産(貸借対照表)も分ける

など、どこまで行うか最初に決めなければなりません。

もちろん利益も財産もすべて部門別に分けられれば得られる情報は増えますが、経理処理の工数は確実に増加します。

「何のために」部門別に分けるのかを明確にした上で、どこまで工数を掛けて分けるべきか十分に検討してから始めましょう。

ちなみに

「売上の内訳だけわかれば十分」

ということであれば、わざわざ部門を設定する必要はありません。売上科目に補助科目を設定すれば欲しい情報は十分得られます。

もし利益まできちんと分けるとなった場合には、共通する経費などの按分基準は意外と頭を悩ませるものであることも知っておきましょう。

利益を計算したものの

「この事業が赤字のはずがない」

など、経営者のイメージと合わないこともよくあります。

そうした場合に

「経費の按分方法がおかしいのでは?」

といった指摘を受けることはよくあることです。

また例えば複数事業の経理処理をひとりの社員が行っている場合に、その人件費を売上比率でそれぞれの事業に割り振ったとします。

もし赤字の事業があってやめることにした場合、経理社員がひとりしかいないのであれば、やめた後も経理社員はゼロにはなりません。

つまり赤字の事業に割り振られていた人件費は、部門別利益を計算する上では、その後残った事業のコスト増加として現れます。

このように部門別の利益の意味をきちんと理解した上で数字を使わないと、判断を誤ることになりかねませんので注意が必要です。

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数字は使ってこそ意味がある

このように部門別に利益を集計することについては万能ではない側面もありますが、合計の数字をなんとなく眺めていてもやるべことは見えてきません。

数字は切り口を変えることで、その意味合いが大きく変わることがあります。

毎月試算表を眺めるだけで、そこから経営改善に向けたアクションを起こせていないのであれば、数字を「分ける」ことを検討してみてはいかがでしょうか。

やり方や仕組みの作り方がわからないということであれば、税理士に相談してみるのもひとつの方法です。

せっかく苦労してまとめた数字が活用されないのはもったいない状況です。

経営数字はまとめることよりも活用することが大事なポイントとなりますので、どのように活用できるか一度検討いただければと思います。

投稿者

加藤 博己
加藤 博己加藤博己税理士事務所 所長
大学卒業後、大手上場企業に入社し約19年間経理業務および経営管理業務を幅広く担当。
31歳のとき英国子会社に出向。その後チェコ・日本国内での勤務を経て、38歳のときスロバキア子会社に取締役として出向。30代のうち、7年間を欧州で勤務。

40歳のときに会社を退職。その後3年で税理士資格を取得。

中小企業の経営者と数多く接する中で、業務効率化の支援だけではなく、経営者を総合的にサポートするコンサルティング能力の必要性を痛感し、「コンサル型税理士」(経営支援責任者)のスキルを習得。

現在はこのスキルを活かして、売上アップ支援から個人的な悩みの相談まで、幅広く経営者のお困りごとの解決に尽力中。
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