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小規模のお客さまが多いこともあり、業務の流れを見ていて気になったときは「こんなツールあるんですが、使ってみませんか?」といった提案をすることがあります。そうした提案をする際に、どのようなスタンスで臨むべきか考えてみました。

課題と解決法が見えているのに採用してもらえないもどかしさ、感じたことありませんか?

お客さまと話をしていると、

「このサービス使えば、この作業絶対にラクになるのに」

と思うことがあります。

そうしたとき、

「こんなサービスあるんですが、使ってみませんか?」

という提案をすることもあるのですが、特にITに苦手意識を持つ方からは大体

「そんなのムリムリ。絶対に使いこなせない。」

といった返事をいただき、そこで話が終わってしまうケースがよくあります。

こちらが「こんなに便利なのに」と思っていても、相手にとっては始めるハードルが高い。

こうしたケースでは課題も解決策も自分には見えていることから、非常にもどかしく感じることが多いのですが、こんなときどのようなスタンスで臨めばよいか、改めて自分の考えを整理してみることにします。

導入してもらうために大事なのは「ムリに勧めないこと」

そもそもツールなどの導入について最も大事な前提は、導入して使う人が「使ってみたい」と思うことです。

提案を受けた相手が「それ、使ってみたいんだけど」という姿勢にならない限り、導入はうまくいきません。

こちらがどんなに便利だと思っていても、「これ便利ですよ、絶対に使うべきですよ」というスタンスで強く勧めることは押し売りと変わりません

提案を受ける相手からすれば、見たことも聞いたこともないツールをいきなり勧められても、「うまく使えずに、業務上トラブルや面倒なことに巻き込まれるのでは?」と思って身構えるのが当然でしょう。

相手にとっては未知のものである以上、最初は警戒心をもたれて当然というスタンスで対応しなければなりません。

では、どのように対応すべきか?私は「ムリに勧めないこと」が大事だと考えています。

例えば、請求書を作成するのに、納品書を電卓で集計して、表紙を手書きで記入している人がいたとして、この人にいきなり、

「請求書作成できるネットのサービス導入しましょうよ。絶対ラクになりますから。」

と話をしたとしても、「使ってみたい」とは絶対に思ってもらえません。

そうではなくて、例えば相手の方から

「この前請求書の集計間違えて、お客さんに怒られちゃったよ」

といった話が出たときに

「そうですか、それは大変でしたね。そういえば、こんなサービがあるんですけど、これだと集計は自動的にやってくれるので、そうしたお客さんとのトラブルは防げるかもしれませんね。」

という感じで、相手にとってのメリットを伝える必要があります。

いくら提案をしても、自分に関係のあることとして認識してもらえなければ、全く効果がありません。そのため、こうした相手が興味を持ちそうなタイミングを捉えることが大事です。

仮にここで相手が興味を示さなかったとしても、あまり気にしない。こちらの提案にいきなり興味を示すことの方が珍しいのですから。

最初は、「そんなサービスがあるんだ」と認識してもらえれば十分でしょう。

あとは、慌てず同様の機会を捉えて、時間をかけて相手の方にとってのメリットを理解してもらい、同時に導入の障害となっている点をひとつずつ取り除いていく

こんな風に時間をかけて、ムリに強く勧めたりせず、少しずつ「使ってみたい」という気持ちを持ってもらうことが、結局は導入してもらうための近道だと、最近は考えています。

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こちらの都合を押しつけていないか?相手のメリットを考えた提案になっているか?もう一度考えてみよう。

それと、こうしたサービスを勧めるときに、導入することによりこちらの作業も楽にしたいという思惑があるときは注意が必要です。

相手に作業を押しつけてこちらにだけメリットが出るような提案をして、そうしたものを無理に勧めると、こちらの思惑はカンタンに見透かされてしまいます。

私自身基本的なスタンスとしては、こちらだけが楽になる提案はしないように気をつけています。

あくまで双方にメリットがあるもの、もしくは相手にメリットがありこちらにデメリットはないものを提案することにしています。

こちらの都合だけを押しつけていては、絶対に「使ってみたい」という気持ちになってもらうことはできません。

結局のところ、ITが苦手な人にITツールを勧めるときには、

  • 初心者にとって使いやすいサービスを勧めること。(相手のスキルを考慮しているか?)
  • 相手にきちんとメリットを理解してもらって、相手から「導入したい」と言ってもらうこと。(導入に対する不安・ハードルをきちんと取り除けているか?)
  • 焦らないこと。時間をかけて説明する覚悟を決めること。(こちらの都合だけで、導入を焦っていないか?)

といったことを心がける必要があるでしょう。

こうした提案をする際には、早く導入したいという気持ちはもちろんありますが、そこをぐっとこらえて、相手の立場・気持ちに立った提案になっているか、もう一度見直してみましょう。

 

投稿者

加藤 博己
加藤 博己加藤博己税理士事務所 所長
大学卒業後、大手上場企業に入社し約19年間経理業務および経営管理業務を幅広く担当。
31歳のとき英国子会社に出向。その後チェコ・日本国内での勤務を経て、38歳のときスロバキア子会社に取締役として出向。30代のうち7年間を欧州で勤務。

40歳のときに会社を退職。その後3年で税理士資格を取得。

中小企業の経営者と数多く接する中で、業務効率化の支援だけではなく、経営者を総合的にサポートするコンサルティング能力の必要性を痛感し、「コンサル型税理士」(経営支援責任者)のスキルを習得。

現在はこのスキルを活かして、売上アップ支援から個人的な悩みの相談まで、幅広く経営者のお困りごとの解決に尽力中。

さらに、商工会議所での講師やWeb媒体を中心とした執筆活動など、税理士業務以外でも幅広く活動を行っている。
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