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自分が思いついたアイデアや工夫というのは、なんとなく捨てがたいものです。それをあえて捨てる勇気を持つことが大事、そんなことを考えてみました。

ノーベル化学賞受賞の記事を読んで感じたこと

昨日、ノーベル化学賞に吉野彰氏が選ばれたというニュースが流れました。

ここ数年毎年のように日本人が選ばれているというのは、本当にすごいことだと思います。

民間企業からも二人目の選出ということで、大学に限らず研究開発の裾野が広がっているということでしょう。

今朝、その受賞に関する新聞記事を読んでいたのですが、その中で研究者として重要な条件として、

  • 頭が柔らかくないといけない
  • 最後まであきらめない

という2点を挙げていたという記述がありました。

これを読んで、これって別に研究者に限ったことではなく、普段仕事をする上でも同様に大事なことじゃないかと思いましたので、自分の考えをまとめておきます。

自分が思いついたアイデアを捨てるのは意外と難しい

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自分のアイデアにしがみつくのはどんなとき?

例えばExcelでマクロを組んでいるときなど、うまくマクロに落とし込めない処理があったりします。

そうしたときにいろいろと方法を考え続けていると、

「こうしたらうまく動くんじゃないか?」

というアイデアが思い浮かぶ瞬間があります。

でも実際には、それでもうまく動かないというケースが多々あり、こうしたとき、この最初に思い浮かんだアイデアって、なんとなく捨てるのが惜しい気分になります。

「せっかく頑張って考えたんだから、ちょっと変更するだけで実はうまく動くんじゃないか?」

こんな思いに囚われて、別のアイデアを考えようとする気持ちにならないことが(私は)よくあります。

また別の例でいえば、例えばお客さんが困っていることに対して、いろいろ考えた結果、

「こんなことをすれば、改善するんじゃないか?」

と思いついて、それをお客さんに説明することもありますが、こちらが期待していたほど乗り気になってもらえない、場合によっては嫌がられるなんてケースもよくあります。

このようなときも、

「せっかくいろいろ考えたのに、なんで動いてくれないんだ!」

と感じて、そこで考えることをやめてしまうことが往々にしてあります。

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自分のアイデアにしがみついた結果は、現状維持

ところが、先ほど挙げた2つのケースですが、自分のアイデアにしがみついている段階では、実は何も解決していません。

マクロは完成していないし、お客さんは改善に向けて何も行動を起こしていない。

苦労した末に自分で思いつくと、最初はそれが最上のアイデアのように思えるのですが、実際あとで見直すとたいしたものでないケースも多いワケです。

だけどその「苦労した末に」というのがくせ者で、これだけ苦労して思いついたんだから、よいアイデアに違いないと思ってしまい、ついついしがみついてしまいます。

実際にはそうしたアイデアを捨てる勇気を持たないと、物事は解決しなかったり、次のステップに進めないことも多い。

仕事をしている以上は、何らかの成果を上げないと意味がありません。

そうしたアイデアはゴミ箱に放り込んで、次の方法を考えないと何も変わらないのです。

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よいアイデア=目の前の課題解決につながるアイデア

偉そうにいろいろ書きましたが、実際のところ私もできていないことが多く、思いついたアイデアがあると、「なんとかこれ使えないかな?」としがみついている自分に気付きます。

もちろんそうしたアイデアが元になって、次のよりよいアイデアが生まれたり、元のアイデアが別の場面で使えたりすることもありますので、思いついたアイデア自体を否定する気は全くありません。

でも自分がどれだけ良いアイデアだと思っても、最終的には目の前の課題を解決できないのであれば、それはその課題にとっての「よいアイデア」にはならないということです。

「せっかく頑張って考えた良いアイデアなのに、捨てるなんてもったいない」

こんな気持ちが沸き起こったときには、

「でも、そのアイデアで、目の前の問題を少しでも解決できるの?」

と自分に問いかけてみる。

そういう意識を持っておけば、少しはアイデアを捨てる勇気を持てるのではないかと。

自分の頭の中のスペースを空けてあげないと、次のアイデアが入ってくる場所がありません。

自分で思いついたアイデア、捨てる勇気を持ちましょう。

いろいろ書きましたが、「捨てる勇気=頭が柔らかいこと」であり、「課題を解決するアイデアが出るまで考え続けること=最後まで諦めない」だと考えています。

だから、吉野さんが仰った研究者として重要な条件は、仕事をするすべての人にとって大事な条件ではないかと思うわけです。

投稿者

加藤 博己
加藤 博己加藤博己税理士事務所 所長
大学卒業後、大手上場企業に入社し約19年間経理業務および経営管理業務を幅広く担当。
31歳のとき英国子会社に出向。その後チェコ・日本国内での勤務を経て、38歳のときスロバキア子会社に取締役として出向。30代のうち7年間を欧州で勤務。

40歳のときに会社を退職。その後3年で税理士資格を取得。

中小企業の経営者と数多く接する中で、業務効率化の支援だけではなく、経営者を総合的にサポートするコンサルティング能力の必要性を痛感し、「コンサル型税理士」(経営支援責任者)のスキルを習得。

現在はこのスキルを活かして、売上アップ支援から個人的な悩みの相談まで、幅広く経営者のお困りごとの解決に尽力中。

さらに、商工会議所での講師やWeb媒体を中心とした執筆活動など、税理士業務以外でも幅広く活動を行っている。
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