前回海外赴任中の生活において感じたギャップについて書きましたが、その続きとして海外で仕事をする中で感じたこと、そしてコミュニケーションのあり方について書いてみたいと思います。
目次
最近「ウエールズ」という文字をやたらよく見ると思ったら・・・
前回海外赴任時の話の中で、イギリスのウエールズに住んでいたと書きましたが、その後なにかと「ウエールズ」という文字が目に飛び込んでくるような感覚が・・・。
(ちなみにトップ画像の写真はウエールズの国旗に描かれている赤い竜のぬいぐるみです)
よく考えたら、ラグビーのワールドカップが始まって、ウエールズのチームも日本に来ていたという、それだけのことでした(笑)。
ラグビーについては、ヨーロッパにいた頃も、6カ国対抗とかいう大会もありましたが(確か今もやってるはずです)、この6カ国対抗の内訳見ると、「イングランド・ウエールズ・スコットランド」という名前が。
「参加国の半分イギリス・・・」「別々に参加するって、お互いどんだけ仲悪いねん」と当時から思っていました・・・。
ラグビーの話題はこれくらいにして、ウエールズというのは私が初めて海外赴任をした場所のため、やはりいろいろ思い入れはあります。
前回は主に生活面の話をしましたが、せっかくなので海外で働いたときに感じたギャップなども、書いておきたいと思います。
働いていたと言っても、地方の工場のため、各国の首都で働くホワイトカラーの方達とは少し異なるかもしれませんが、そのあたりは割り引いて読んでいただければ。
海外で感じた働き方の違い・価値観の違い
1.仕事が終わっていなくても定時に確実に帰る
今でこそ日本も「働き方改革」を推進していますが、私がウエールズで働いていたのは、今から15年以上前のことです。
当時は私も日本の働き方に毒されていましたので、頼んだ仕事が終わっていなくても時間通りに帰るスタッフにイライラすることが度々ありました。
特に定時前後に会議などがあると、戻ったら事務所はもぬけの殻、なんてこともよくありましたので、その日のうちに必要な資料などがあったときは、メールをして、さらに直接本人に念押ししてなどと何度も念押ししてから会議に参加していました。
彼らにしてみれば、時間が来れば帰るのは当たり前、なんで日本人はそんなに必死に仕事をするんだ?という感覚だったのでしょう。
今思えば定時になればためらいなく帰る姿は、潔くも感じます。
仕事ばかりしていたらあるとき現地の同僚から、
「Work for lifeであってLife for workじゃないんだよ」
と言われたこともありました。当時はあまり納得できていませんでしたが、今だとよくわかります。
2.頼んだ仕事が期日通りに出てこない
定時に帰ることとも関連しますが、頼んだ仕事が期日までに出てこなくて、イライラということもしばしば。
最初の頃は口頭で伝えていたのですが、それだと言った言わないになることもありましたので、途中から仕事の依頼はメールで、かつ必ず期日を明記するようにしました。
こうした経験を踏まえて変わったのは、仕事をする上で「阿吽の呼吸」に頼らないこと。
慣れない海外の環境で働いていると、ついつい
「外国人だからダメなんだ」
と思い込んでしまっていましたが、日本人でも期日を守ってくれない人、普通にいますよね。
「これくらい相手もわかってくれるだろう」
という考え方では、今まで全く違う経験・環境で働いてきた人たちとうまく仕事をすることはできません。
この考え方は海外で働くときに限ったものではなく、普段日本で働くときも同じです。
「自分が理解しているとおりに相手が理解しているとは限らない」
こんな風に考えるようになってからは、丁寧に伝えるべきことを伝えようとする姿勢に変わりました。
3.大声出してはいけない
上で書いたようなことが重なると、こちらもイライラ、スタッフもイライラとなってきます。
あるとき、意見が合わずついカッとなって声を荒げて怒ってしまったことがありました。
これが現地の組合で問題になったらしく、当時上司だったローカルスタッフから諫められたことがありました。
(その彼が組合対応をしてくれたらしく、大事には至りませんでしたが)
今でこそ日本でも「パワハラ」という言葉が一般的になりましたが、当時の日本ではそんな言葉や考え方など皆無。
日本のやり方をそのまま押しつけていたら、問題が起きることもあるということを学んだ事例でした。
伝わるまで伝えてこそコミュニケーション
海外で働く中で当時感じたことをまとめてみましたが、書いている内容はほとんどがコミュニケーションに基因する問題です。
今思うと「外国人だから」「日本人とは違うから」という偏見に囚われていた部分が多かったように思います。
使う言語が違い慣習や考え方も違うので、意思疎通を図るのは実際のところ大変です。「頑張って話せばすべてわかり合える」とまで言うつもりもありません。
それでも、例えば仕事の期日の重要性を理解してもらえないのなら、理解してもらえるまでもう少し丁寧に繰り返し説明する必要があったんじゃないかと思います。
「1回説明したから、もうわかるでしょ」というのは少し傲慢かなと。
仕事をする上では、相手に動いてもらわないと仕事にならないわけですから、その目的を達成するために何をすべきか、そんな風に考える必要があります。
そう考えると、「こちらの意図が相手に伝わっていないのであれば、伝わるまで丁寧に伝える必要がある」というスタンスをとれるのではないかと。
とはいえ、仕事する上でこちらの思うように動いてもらえないとイライラするのも事実。そんなときは、何のためにコミュニケーションしているのか、その目的をしっかり認識することが大事ですね。
最後に海外赴任の愚痴をちょっとだけ。
海外に出向すると、日本からは日本の価値観で仕事を要求されて、現地スタッフからは現地の価値観で反論されるので、中間管理職の悲哀を多々味わいます。
今振り返ってこうすべきだったかな、と反省しながら今回まとめましたが、もしもう一度出向するようなことになったら、今回書いたように対応できるか、うーん、ちょっと自信がないような気もします。
それくらい、海外出向は大変だった、ということで。
投稿者
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大学卒業後、大手上場企業に入社し約19年間経理業務および経営管理業務を幅広く担当。
31歳のとき英国子会社に出向。その後チェコ・日本国内での勤務を経て、38歳のときスロバキア子会社に取締役として出向。30代のうち7年間を欧州で勤務。
40歳のときに会社を退職。その後3年で税理士資格を取得。
中小企業の経営者と数多く接する中で、業務効率化の支援だけではなく、経営者を総合的にサポートするコンサルティング能力の必要性を痛感し、「コンサル型税理士」(経営支援責任者)のスキルを習得。
現在はこのスキルを活かして、売上アップ支援から個人的な悩みの相談まで、幅広く経営者のお困りごとの解決に尽力中。
さらに、商工会議所での講師やWeb媒体を中心とした執筆活動など、税理士業務以外でも幅広く活動を行っている。
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