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行政の電子化にとってハブとなるはずのマイナポータル。久しぶりに使ってみましたが、残念ながら相変わらず使いにくいままでした。何が問題なのかまとめておきます。

現況届の提出手順

今回児童手当の現況届を提出する必要があったのですが、送付されてきた郵便物の中にオンラインで提出できるとの記載があったため、試してみることにしました。

まずはその手順を説明します。

1.マイナポータルのサイトで、「ぴったりサービス」の「使ってみる」をクリック

2.表示された画面で、「都道府県」「市町村」を選択した後、「一覧から検索」の画面で「児童手当」を選択

3.「子育て」の中の「現況届」にチェックを入れて、「手続の説明を見る」をクリック

4.「現況届」にチェックを入れて、「申請する」をクリックし、確認メッセージが表示されたら「OK」をクリック

5.申請方法に「電子申請ができます」と表示されていることを確認して、「次へすすむ」をクリック

6.動作環境確認画面のSTEP1・STEP2で、OS・ブラウザが対応していることを確認した上で、STEP3の「お使いのブラウザで、こちら(マイナポータルAP)・・・」の中の「こちら」をクリック

以前マイナポータルにログインしたことがあったため、問題ないと思っていましたが、更新が必要とのメッセージが表示されました。

「更新」をクリックして、インストール画面に進みます。

なおこのインストール画面、非常にわかりづらいのですが、下図の青色に白抜き文字の部分がインストールのためのリンクとなっています。最初インストールのためのリンクがどこかわからず結構悩みました。

7.今回はChromeを使っていたため、「Google Chrome拡張機能をインストール(外部サイト)」をクリック

下の画面で、右上の青いバーのところに「Chromeから削除します」と表示されている場合は、既にインストール済みのため、インストールは不要です。

8.先ほどのインストール画面に戻り、「Google Chrome版マイナポータルAPのインストール」をクリック

「MPASetup_Chrome.exe」というファイルが左下にダウンロードされますので、これをクリックしてインストールを完了させます。

9.動作環境確認の画面に戻り、STEP4を確認してチェックを付けたら、「次へすすむ」をクリック

10.連絡先(メールか電話)を入力して、「次へすすむ」をクリック

11.申請者情報の入力画面で、必要事項を入力

そのまま入力してもよかったのですが、マイナンバーカードから情報を読み取りできるとありましたので、試してみることに。

「マイナンバーカードを読み取り」をクリック。

画面の指示に従って、「カードを読み取る」をクリックし、マイナンバーカードをカードリーダーにセットした後、暗証番号を入力します。

これにより、「氏名(漢字)・住所・性別・生年月日」は自動的に入力されますが、フリガナや郵便番号は手入力が必要です・・・。

他の必須項目を入力したら、「次へすすむ」をクリックします。

12.申請情報の入力画面で必要事項を入力

この画面が現況届の入力画面になりますが、なぜか先ほど入力した住所・氏名・生年月日を再度入力しなければなりません。

さらに、郵送で送られてきた資料には記載されていた子どもの氏名・生年月日等も、すべて入力しなければならない仕様になっています。

このあたりで段々イヤになってきましたが、必要事項を入力して、「次へすすむ」をクリックします。

13.紙と同じフォーマットで、入力した結果が表示されますので、間違いがないか確認したら、「次へすすむ」をクリック

14.添付書類がある場合には、ここでファイルを添付

15.次の画面で、添付した書類を確認したら、「電子署名を付与する」をクリック

16.注意書きを確認したら、「電子署名を付与する」をクリック

17.マイナンバーカードの電子証明書用パスワードを入力して「OK」をクリックし、次の画面で「送信する」をクリック

このあと、「送信完了」の画面が表示されたら完了です。

入力していて感じた3つの課題

いかがでしたでしょうか?手順が多すぎて、ここまでたどり着かずに脱落された方も多いと思います(^^;)。

ここまで手順を確認いただいて、マイナポータルを使った方がラクだと思われた方はほとんどいないでしょう。

実際に自分で入力してみて、問題があると感じたのは次の3点です。

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【1】何度も同じデータを入力させる仕様

マイナンバーカードの情報を読み取って入力した情報(住所・氏名・生年月日)を、次の画面で再度入力しなければなりません。
(マイナンバーカードから読み取っていなくても、恐らく再度入力が必要だったと思います。)

ネット上で入力する以上は、重複する情報の入力は不要にしないと、まったく意味がありません。

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【2】郵送資料に記載されていた内容が反映されていない

郵送されてきた資料には、住所・氏名・生年月日・子どもの情報など、最初から記載されている項目がありましたが、マイナポータルではこうした情報は連携されていないようです。

これでは、マイナポータルから提出しようする気が起きず、紙で提出した方がラクだと思われてしまいます。

【3】ネット上での手続きなのに、時間がかかる

マイナポータルAPの事前インストールが必要だったり、似たような画面が何度も出てきて、非常に時間がかかります。

これだけ作業や画面の切り替えが必要となると、空き時間にサッとすませてしまおう、という使い方はできません。

全般的に、ユーザーが使いやすい仕組みが考慮されていないと感じます。使っていて非常に疲れる仕組み、といえばわかりやすいでしょうか。

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ユーザー目線に立った仕組みでないと、いつまでたっても普及しない

個人的に手書きはキライなのですが、久しぶりに「紙で提出した方がラクなんじゃないか」と思いました。

今の使い勝手では、マイナポータルから書類を提出することは、お勧めできるものではありません。

マイナンバーカードが普及しないとよくいわれますが、そりゃそうでしょう。使っても便利になったと感じられないのですから。

便利になるか、使わざるを得ない状況に追い込まれないと、普及するわけがありません。そうしたことも踏まえて、健康保険証の機能をマイナンバーカードに搭載するといった議論がされているのでしょう。

ところで、今回マイナポータルを使っていて、自分の仕事の仕方でも、同じような状況になっていないかと、少し心配になりました。

自分ではイケてると思ってる仕事のやり方も、お客さまにとっては今回のような苦痛を与えていないかと。

「クラウド会計便利ですよ」とか「チャットツールの方がメールよりラクですよ」とか勧めているわけですが、言われた方がどのように感じているか。

ユーザーの立場に立ったものの見方をしておかないと、あとで痛い目に遭うな、と自分を見つめ直すよい機会になりました。
(とはいえ、二度とこんな入力したくありませんが)

投稿者

加藤 博己
加藤 博己加藤博己税理士事務所 所長
大学卒業後、大手上場企業に入社し約19年間経理業務および経営管理業務を幅広く担当。
31歳のとき英国子会社に出向。その後チェコ・日本国内での勤務を経て、38歳のときスロバキア子会社に取締役として出向。30代のうち7年間を欧州で勤務。

40歳のときに会社を退職。その後3年で税理士資格を取得。

中小企業の経営者と数多く接する中で、業務効率化の支援だけではなく、経営者を総合的にサポートするコンサルティング能力の必要性を痛感し、「コンサル型税理士」(経営支援責任者)のスキルを習得。

現在はこのスキルを活かして、売上アップ支援から個人的な悩みの相談まで、幅広く経営者のお困りごとの解決に尽力中。

さらに、商工会議所での講師やWeb媒体を中心とした執筆活動など、税理士業務以外でも幅広く活動を行っている。
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